通所介護(デイサービス)の収入は、基本報酬に加算を積み上げることで増やすことができます。処遇改善加算は職員の賃金に充てるものですが、それとは別に、事業所の体制や取り組みに対して算定できる「体制加算」があります。
この記事では、通所介護で取得できる主な体制加算として、口腔機能向上加算・個別機能訓練加算・入浴介助加算を中心に、要件と単位数を整理します。
体制加算とは何か
通所介護の加算は大きく2種類に分けられます。
1つは処遇改善加算(介護職員等処遇改善加算)で、職員の賃金改善に充てることが義務づけられています。
もう1つが体制加算です。口腔機能向上・個別機能訓練・入浴介助・サービス提供体制強化・栄養改善など、事業所の体制や専門職の配置に対して算定できる加算が含まれます。体制加算の収入は職員給与に使途が限定されないため、事業運営に柔軟に活用できます。
口腔機能向上加算
算定単位数
| 区分 | 単位数 | 算定条件 |
|---|---|---|
| 口腔機能向上加算(Ⅰ) | 150単位/回 | 月2回を限度 |
| 口腔機能向上加算(Ⅱ) | 160単位/回 | 月2回を限度・LIFE登録あり |
出典:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」指定居宅サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(告示第94号)
算定の要件
口腔機能向上加算を算定するには、次の人員と体制が必要です(平成11年厚生省令第37号 第95条の規定および告示要件)。
- 言語聴覚士・歯科衛生士・看護職員のうち1名以上が配置されていること
- 利用者ごとに口腔機能改善管理指導計画を作成すること
- 3か月ごとに口腔機能の改善状況の評価を行い、計画を見直すこと
Ⅱを算定するには、LIFEへのデータ提出とフィードバックの活用が追加要件になります。
収入への影響
仮に1日10名の利用者が月2回算定する場合、10名×2回×150単位×地域単価(10.21円・6級地の場合)≒約3万円/月の加算収入になります。
個別機能訓練加算
算定単位数
| 区分 | 単位数 | 算定方法 |
|---|---|---|
| 個別機能訓練加算(Ⅰ)イ | 56単位/日 | 専従の機能訓練指導員1名以上・専従配置(サービス提供時間中) |
| 個別機能訓練加算(Ⅰ)ロ | 76単位/日 | Ⅰイの要件に加え、複数の職種と共同でのアセスメント |
| 個別機能訓練加算(Ⅱ) | 20単位/月 | LIFE登録・フィードバック活用 |
出典:同告示第94号
算定の要件
- 専従の機能訓練指導員(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護師・准看護師・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師等)を配置すること
- 利用者ごとに個別機能訓練計画を作成し、訓練を実施すること
- (Ⅰ)ロは、Ⅰイの要件に加え、医師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・介護職員・生活相談員等の多職種が共同でアセスメントを行うこと
収入への影響
個別機能訓練加算(Ⅰ)イは日単位の加算です。1日16名利用×22日稼働×56単位×10.21円の場合、月約20万円の加算収入になります。体制加算の中でも収入への影響が大きい加算です。
一方、専従の機能訓練指導員を配置するための人件費も必要になります。加算収入と人件費のバランスで算定の判断を行います。
入浴介助加算
算定単位数
| 区分 | 単位数 | 条件 |
|---|---|---|
| 入浴介助加算(Ⅰ) | 40単位/日 | 入浴介助を適切に行える人員・設備がある |
| 入浴介助加算(Ⅱ) | 55単位/日 | 医師等による利用者宅の浴室環境の確認・個別計画の作成 |
出典:同告示第94号
算定の要件
入浴介助加算(Ⅰ)は、入浴介助を適切に行うことができる人員・設備を有しており、実際に入浴介助を行った場合に算定できます。
入浴介助加算(Ⅱ)は、Ⅰの要件に加えて以下が必要です。
- 医師・理学療法士・作業療法士・介護支援専門員等が利用者宅を訪問し、浴室環境を確認すること
- 利用者が自宅で自立して入浴できることを目標に個別の入浴計画を作成すること
- 個別の入浴計画に基づき入浴介助を行うこと
収入への影響
入浴介助加算は比較的取得しやすい加算の一つです。1日10名が入浴×22日稼働×40単位×10.21円の場合、月約9万円の加算収入になります。入浴設備のある事業所では、まず(Ⅰ)を算定する事業所が多いです。
サービス提供体制強化加算
サービス提供体制強化加算も、体制加算の一つです。
| 区分 | 単位数 |
|---|---|
| サービス提供体制強化加算(Ⅰ) | 22単位/回 |
| サービス提供体制強化加算(Ⅱ) | 18単位/回 |
| サービス提供体制強化加算(Ⅲ) | 6単位/回 |
出典:同告示第94号
区分ごとの算定要件は以下のとおりです(告示第94号)。
- Ⅰ(22単位/回):介護職員のうち介護福祉士の割合が60%以上、または勤続10年以上の介護福祉士の割合が25%以上
- Ⅱ(18単位/回):介護職員のうち介護福祉士の割合が40%以上、または勤続7年以上の介護職員の割合が30%以上
- Ⅲ(6単位/回):介護職員のうち勤続3年以上の職員の割合が30%以上
開業直後からⅠを算定するのは難しい場合がありますが、Ⅲ(勤続3年以上30%以上)であれば比較的早い段階で取得できる可能性があります。スタッフの経験・資格の状況を確認しながら、算定できる区分を検討してください。
栄養改善加算
栄養状態の低下が見られる利用者に対して、管理栄養士が栄養改善計画を作成し支援を行う場合に算定できます。
| 区分 | 単位数 |
|---|---|
| 栄養改善加算 | 200単位/回(月2回限度) |
管理栄養士の外部からの訪問(連携)によっても算定できます。要件:管理栄養士が栄養改善計画を作成し、栄養改善サービスを行うこと。
加算を取得する際の注意点
届出が必要な加算がある
体制加算は、算定する前に都道府県(または市町村)へ算定体制の届出が必要なものがあります。届出が受理されてから算定が開始されます。届出なしに算定すると過誤請求になるため、指定申請時や加算取得時に担当窓口に確認してください。
人員要件を継続して満たす必要がある
加算の要件となっている人員(機能訓練指導員・管理栄養士等)が欠けた場合、加算の算定を停止しなければなりません。採用や体制管理が重要になります。
LIFEへの対応
一部の加算(口腔機能向上加算Ⅱ・個別機能訓練加算Ⅱ等)はLIFE(科学的介護情報システム)へのデータ提出が要件になっています。LIFEへの入力・提出の体制も整える必要があります。
まとめ
通所介護の主な体制加算を整理します。
| 加算名 | 単位数 | 主な要件のポイント |
|---|---|---|
| 口腔機能向上加算(Ⅰ) | 150単位/回 | 言語聴覚士・歯科衛生士・看護職員の配置 |
| 口腔機能向上加算(Ⅱ) | 160単位/回 | Ⅰの要件+LIFE登録 |
| 個別機能訓練加算(Ⅰ)イ | 56単位/日 | 専従の機能訓練指導員の配置 |
| 個別機能訓練加算(Ⅰ)ロ | 76単位/日 | Ⅰイ+多職種によるアセスメント |
| 個別機能訓練加算(Ⅱ) | 20単位/月 | LIFE登録・フィードバック活用 |
| 入浴介助加算(Ⅰ) | 40単位/日 | 入浴介助の体制・実施 |
| 入浴介助加算(Ⅱ) | 55単位/日 | Ⅰ+自宅の浴室環境確認・個別計画 |
| サービス提供体制強化加算(Ⅰ) | 22単位/回 | 介護福祉士60%以上 等 |
| サービス提供体制強化加算(Ⅱ) | 18単位/回 | 介護福祉士40%以上 等 |
| サービス提供体制強化加算(Ⅲ) | 6単位/回 | 勤続3年以上30%以上 |
| 栄養改善加算 | 200単位/回 | 管理栄養士が計画・支援 |
体制加算は、取得するために人員・体制・書類作成が必要ですが、収入を安定的に増やす手段の一つです。開業計画の段階から、どの加算を取得するかを検討しておくと、人員採用の方針も立てやすくなります。


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