甲種第4類の製図問題で点を落とす人の多くは、「手順は覚えた。計算もできる。でも本番で間違えた」という経験をします。感知面積の表の読み間違い・配線本数の計算ミス・条件の見落としが、得点に直結する失点の原因です。
この記事では、甲4の製図問題のパターンごとに「どこで点を落とすか」「何を確認すれば防げるか」を整理します。感知面積の計算・梁による区画・系統図の空欄補充・配線本数の4つのパターンで、失点しやすい箇所と確認のポイントをまとめます。
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製図問題の4パターン
甲4の製図は実技試験の中の2問を占めます。出題されるのは次の4つのパターンのいずれか、またはその組み合わせです。
| パターン | 内容 | 主な根拠条文 |
|---|---|---|
| 感知器の個数の計算 | 部屋の平面図を見て、感知器の設置個数を計算して答える | 規則第23条第4項 |
| 感知器の配置 | 個数だけでなく、配置位置(壁からの距離・梁による区画)も問われる | 規則第23条第2項・第3項 |
| 系統図の空欄補充 | 受信機から感知器・発信機・地区音響装置への配線図の空欄を埋める | 規則第24条 |
| 配線本数の計算 | P型受信機の回路ごとの配線本数を計算する | 規則第24条第1項・第2項 |
試験の2問は、「1問がパターン①②(平面図系)・1問がパターン③④(系統図系)」という構成が多いです。平面図系と系統図系の両方を対策しておくことが基本になります。
出典:消防法施行規則第23条・第24条
パターン①:感知器の個数の計算でよくある失点
感知器の個数の計算は、規則第23条第4項第三号ロの「感知面積の表」を根拠にします。感知面積は「取付面の高さ」と「感知器の種別」と「構造(耐火か非耐火か)」の3つの条件の組み合わせで変わります。
失点①:耐火構造か非耐火構造かを問題文で確認しないまま計算する
「鉄筋コンクリート造」「耐火構造」と書いてあっても読み飛ばすと、非耐火の感知面積で計算してしまいます。感知面積は耐火と非耐火で変わるため、個数が変わります。
問題文の冒頭に「建物の構造:〇〇」と書いてある場合は最初に確認します。書いていない場合は「図面の説明文・凡例」を見る習慣をつけます。
失点②:切り上げを忘れる
感知器の個数は「床面積 ÷ 感知面積」で計算しますが、端数は「切り上げ」です(規則第23条第4項第三号ロ)。
例:床面積50㎡・差動式スポット型2種・耐火構造・取付高さ4m未満のとき、感知面積は70㎡なので「50÷70=0.71…」となり、切り上げて1個が正解です。「0.71だから0個では?」と迷う受験者がいますが、端数が出た場合は必ず1個以上にします。
失点③:取付高さの区分を間違える
規則第23条第4項の感知面積の表は、取付高さによって区分が変わります。区分の境界(4m・8m等)は「以上」か「未満」かで変わるため、境界値の判断を間違えると感知面積の値が変わります。
「4m以上8m未満」と「4m未満」は別の列です。問題の図に「天井高さ:4.2m」と書いてあれば「4m以上8m未満」の列を使います。
出典:消防法施行規則第23条第4項第三号ロ(感知面積の表)
パターン②:感知器の配置でよくある失点
個数の計算だけでなく、「どこに置くか」も製図問題で問われます。配置に関しては規則第23条第2項・第3項に詳細な基準があります。
失点④:梁(はり)による感知区域の分割を見落とす
天井から0.4m以上突き出た梁(はり)がある場合、梁で区切られた部分はそれぞれを独立した感知区域として扱います(規則第23条第2項)。梁を無視して部屋全体の面積で個数を計算すると、必要な感知器の数が少なくなります。
問題の平面図に梁が書いてある場合は、まず「梁の高さ(天井からの寸法)が0.4m以上か未満か」を確認します。0.4m以上なら感知区域を分割して、区画ごとに個数を計算します。
失点⑤:壁からの距離の基準を守っていない
感知器は壁・梁・柱の端から一定の距離以上離して取り付けなければなりません(規則第23条第3項)。距離の基準は感知器の種別によって異なります。
差動式・定温式・煙感知器の場合、壁やはりから0.6m以上離して設けることが定められています(規則第23条第3項)。配置問題で「×印をつける位置を選べ」という形式の場合、壁に近すぎる位置に×をつけると減点されます。
出典:消防法施行規則第23条第2項・第3項
パターン③:系統図の空欄補充でよくある失点
系統図問題は「受信機から各末端機器への接続の流れ」を図で表したものに、空欄の機器名・配線本数を書き入れる形式です。
失点⑥:地区音響装置の接続先を間違える
規則第24条第1項の規定により、地区音響装置は「受信機」または「中継器」に接続します。系統図で発信機・感知器と並べて書かれると、接続先が混乱しやすいです。
「感知器ループ(感知器回路)」と「音響装置の回路」は別の系統です。系統図を見るときは、どれが感知器回路でどれが音響回路かを最初に確認します。
失点⑦:P型1級と2級の接続の違いを混同する
P型1級の受信機は発信機のランプ応答線(表示灯線)が必要ですが、P型2級の受信機は発信機と受信機の接続がシンプルになります(規則第24条第3項・第4項)。
問題文に「P型1級受信機」と書いてある場合は、発信機との接続に「ランプ応答線」を含めます。「P型2級」の場合はこの線が不要なため、問題ごとに受信機の種別を確認してから系統図を読む習慣をつけます。
出典:消防法施行規則第24条第3項・第4項
パターン④:配線本数の計算でよくある失点
P型受信機の回路では、各機器(感知器・発信機・終端抵抗)を接続する際の配線本数に基準があります。
失点⑧:共通線と一般線の本数の数え方を間違える
P型2級受信機の感知器回路は「共通線(コモン)+送り線」の2本が基本ですが、P型1級はアドレス式でない場合、回路線(L線)とコモン線(C線)で構成されます。
系統図で配線本数を問われた場合は、まず「P型1級か2級か」「R型か」を確認します。R型(アドレス式)は配線本数の計算方法が異なり、問題でR型と明示されている場合は別の基準で考えます。
失点⑨:終端抵抗の位置を間違える
P型受信機の感知器回路には、回路の末端に終端抵抗を設ける必要があります(規則第24条第1項)。「どの感知器が末端か」を系統図で間違えると、終端抵抗の記入位置を誤ります。
系統図の末端の感知器(受信機から最も遠い位置にある感知器)の記号の近くに終端抵抗の記号を書きます。問題によっては「末端の感知器に並列に接続」と書かれている場合もあります。
出典:消防法施行規則第24条第1項(終端器の設置)
試験本番での時間配分と優先順位
甲4の実技試験は、鑑別5問+製図2問の計7問です。実技試験全体の試験時間は筆記と合わせて設定されており、時間の余裕は多くありません。
製図問題で時間をかけすぎると、鑑別の問題を焦って解くことになります。製図は次の順番で着手することを勧めます。
- 問題文を読んで「平面図系か系統図系か」を確認する
- 建物の構造(耐火か非耐火か)と取付高さを先に書き出す
- 梁の有無と梁の高さを確認して、感知区域の分割が必要かを判断する
- 感知面積の表から該当する値を確認して計算する
- 系統図系なら受信機の種別(P型1級・2級・R型)を確認する
各ステップを「確認してから進む」という流れにすると、条件の読み間違いを防げます。感知面積を確認せずに「多分この値」で進めると、間違えたときに計算全体をやり直す羽目になります。
感知面積の表の効率的な覚え方
規則第23条第4項の感知面積の表は試験で頻出です。すべての数値を暗記するより「変化する3つの条件」を押さえた方が覚えやすいです。
| 変化する条件 | 感知面積への影響 |
|---|---|
| 耐火構造か非耐火か | 耐火の方が感知面積が広い(感知器1個でカバーできる面積が大きい) |
| 取付高さ(4m未満・4m以上8m未満等) | 高い天井ほど感知面積が狭くなる(感知器1個でカバーできる面積が小さくなる) |
| 感知器の種別(差動式1種・2種、煙感知器等) | 種別によって感知面積が異なる |
「耐火で低い天井」が最も感知面積が広く、「非耐火で高い天井」が最も感知面積が狭くなる、という方向性を押さえると、数値を忘れても概算で確認できます。
試験では感知面積の表の持ち込みはできませんが、問題に使う組み合わせは限られています。差動式スポット型2種・煙感知器2種・耐火・取付高さ4m未満の組み合わせが最も出やすく、この組み合わせの数値を確実に覚えることが優先です。
出典:消防法施行規則第23条第4項第三号ロ
部分点を取るための考え方
製図問題は、一部の計算を間違えても残りの部分が合っていれば部分点になることがあります(試験によって採点基準は異なりますが、一般的に記述式は部分点の対象です)。
全体の答えが出なくても、「確認できた条件を書く」「計算過程を書く」「判断した根拠を書く」という姿勢が重要です。白紙で出すより、途中まで書いた方が得点になりやすいです。
特に系統図問題は、空欄ごとに採点されることが多いです。全部の空欄を埋めることができなくても、確実にわかる機器名・配線本数の空欄は必ず埋めて出します。
製図の練習をどう進めるか
製図問題は、問題集を解くことで「条件の確認→計算→記入」の一連の流れを体に覚えさせるのが効果的です。
最初の練習では、計算ミスより「条件の確認手順の省略」に注意することをすすめます。正解した問題でも「どの条件を確認したか」を振り返ることで、本番で条件を見落とさない習慣をつけられます。
練習の進め方として次の順番を勧めます。
- 感知面積の表の数値を確認し、耐火・非耐火・取付高さの組み合わせに慣れる
- 梁のない単純な平面図で個数計算を繰り返す
- 梁あり・取付高さ変化など複合条件の問題に進む
- 系統図の基本形(P型2級・シンプルな構成)から始める
- P型1級・複数回路の系統図に進む
問題集の製図問題は、解いた後に「何の条件を確認したか」「どこで迷ったか」を書き残しておくと、自分がどのステップで詰まりやすいかが見えてきます。
まとめ
甲4の製図で失点するポイントは、計算の難しさより「条件の確認もれ」にあります。耐火か非耐火か・取付高さ・梁の有無・受信機の種別という4つの条件を最初に確認する習慣をつけることが、ミスを減らす最短の対策です。
感知器の個数は「面積 ÷ 感知面積(端数は切り上げ)」という計算自体は単純です。ミスが起きるのは計算前の条件の読み取りで、感知面積の表を正しく引けていれば答えは自然に出ます。
系統図は「P型1級か2級か・R型か」を先に確認してから配線を読む習慣をつけると、接続の混乱を防げます。部分点も活用して、確実にわかる空欄から埋めることが本番の得点につながります。
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出典:消防法施行規則第23条第2項(梁による感知区域の分割)/消防法施行規則第23条第3項(感知器の取付位置の制限)/消防法施行規則第23条第4項第三号ロ(感知面積の表)/消防法施行規則第24条第1項(P型受信機・終端器)/消防法施行規則第24条第3項・第4項(P型1級・2級の接続の違い)


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