整体院の開業 収支シミュレーター
1人運営の整体院の収支を数字で試算できます。
整体院は、施術者本人1人で開業・運営するケースが多い業態です。1人運営には固定費を抑えられるというメリットがある一方、売上の上限が決まってしまうという制約もあります。このページでは、1人運営の整体院の収支の現実を整理します。
整体院は1人で始める場合が多い
整体院の多くは個人事業として始まります。施術者本人がすべての業務(施術・予約管理・清掃・経理・集客)を担う1人運営は、初期コストを最小化できる形態です。
公庫の「小企業の経営指標調査」では、エステティック業の従業者1人当たり売上高(中央値)が8,227千円(約823万円/年)と示されています。これは施術者1人が個人事業として達成している売上の実態を反映している数字と考えられます。
出典:日本政策金融公庫総合研究所「小企業の経営指標調査」(2025年度調査)エステティック業(p.39、n=105)
1人の施術者が1日にできる件数の上限
1人運営の最大の制約は、施術件数に物理的な上限があることです。
| 施術コース | 1コース当たりの時間(インターバル込み) | 1日の最大件数(8〜10時間稼働) |
|---|---|---|
| 30〜45分コース | 50〜60分 | 8〜10件 |
| 60分コース | 75〜80分 | 6〜8件 |
| 90分コース | 110〜120分 | 4〜5件 |
施術者の身体的な疲労を考えると、60分コースで1日8件前後が継続できる実質的な上限です。無理な件数を詰め込むと施術の質が落ち、リピート率の低下につながります。
1人運営の月間収支の試算
賃貸テナントで1人運営した場合の収支を試算してみます。
想定条件
- 60分コース単価:6,500円
- 1日の施術件数:7件
- 稼働日数:22日/月
- 稼働率:75%
月間売上の計算
6,500×7×22×0.75=750,750円
月間の費用内訳(目安)
| 費目 | 金額の目安 |
|---|---|
| 家賃・管理費 | 100,000円 |
| 広告費(ホットペッパービューティーなど) | 50,000円 |
| 光熱費・通信費 | 25,000円 |
| 消耗品(タオル・リネン・ジェルなど) | 20,000円 |
| 保険・その他 | 10,000円 |
| 費用合計 | 205,000円 |
月間の事業所得(概算)
752,675 − 205,000 = 545,750円
この545,750円が施術者本人の月収(事業所得)になります。ここから所得税・住民税・国民健康保険料・国民年金(約8〜12万円/月)が引かれます。手取りとしては35万〜40万円程度になるイメージです。
人件費を抑えることの効果(公庫データより)
公庫のエステティック業データでは、黒字企業の人件費対売上高比率は31.3%、全体平均は38.0%です。この差が収益性に直結しています。
1人運営の場合、帳簿上の人件費(従業員給与)は発生しません。施術者本人の収入は「事業所得」として扱われるため、人件費比率が見かけ上ゼロになります。これが1人運営の収益性が高く見える理由のひとつです。
スタッフを採用した場合、給与(月15万〜25万円)・社会保険料(給与の約15%)を合わせると、月20万〜30万円超が人件費として加わります。これは月の固定費を大幅に押し上げ、損益分岐点も高くなります。
スタッフを増やすタイミング
1人の売上が月90万〜100万円を安定して超え、それ以上の成長が見込める場合にスタッフ採用を検討するのが一般的な目安です。
スタッフを採用する前に確認しておくべき点をまとめます。
- 現在の売上が固定費を十分に超えているか:採用後に人件費が増えても黒字を維持できる水準かを事前に試算します。
- スタッフが施術できるスペースがあるか:施術台の台数・施術スペースが複数人に対応できる広さが必要です。
- 集客が安定しているか:スタッフが稼働するだけの予約数がコンスタントに確保できているかを確認します。
- 育成の仕組みがあるか:施術技術・接客の教育に投資できる時間とコストを確保します。
業務委託との違い
スタッフを増やす方法のひとつに、雇用契約ではなく業務委託契約があります。
| 比較項目 | 雇用(アルバイト・正社員) | 業務委託 |
|---|---|---|
| 社会保険料 | 事業者負担あり(給与の約15%) | なし(委託者の負担) |
| 指揮命令権 | 業務の細かい指示ができる | 原則として結果のみ指定(詳細な指示は労働者性が問われる) |
| 収益分配 | 固定給与 | 売上に応じた報酬が多い |
| リスク | 売上が少なくても賃金支払い義務あり | 売上に連動するため固定費のリスクが低い |
業務委託は固定人件費を抑えられる点で小規模な整体院には使いやすい形態です。ただし、業務委託の形を取りながら雇用関係と同等の指揮命令を行うと「偽装請負」として問題になります。委託内容・指示の範囲・報酬体系について、契約時に明確にしておく必要があります。
1人運営のリスクと対策
1人運営の整体院には、固有のリスクがあります。
- 体調不良・怪我による休業リスク:施術者本人が動けなくなると、売上がゼロになります。所得補償保険(就業不能保険)の加入を検討します。
- 施術件数の上限による収益の頭打ち:1人では売上に物理的な上限があります。業務委託の導入や、オンラインコンテンツ(動画・テキスト販売)による収益の多角化が対策になります。
- 廃業リスク:1人運営は機動力が高い反面、施術者個人の健康・体力に事業の存続が依存します。定期的な身体メンテナンスと休暇の確保が長期運営の条件です。
整体院の開業 収支シミュレーター
1人運営の収支・損益分岐点・資金繰りを試算できます。


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