整体院の損益分岐点は、固定費から逆算して計算する。

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損益分岐点を含めた3年分の収支を試算できます。

整体院を開業するとき、「月いくら売れれば赤字にならないか」という質問は必ず出てきます。これが損益分岐点です。固定費が分かれば、損益分岐点は計算で求めることができます。

損益分岐点とは何か

損益分岐点とは、売上と費用がちょうど同額になる売上高のことです。売上が損益分岐点を超えると黒字、下回ると赤字になります。

計算式は次のとおりです。

損益分岐点売上高 = 固定費 ÷(1 − 変動費率)

整体院はサービス業であり、変動費(施術ごとに発生するタオル・消耗品など)の比率は低く、ほとんどのコストが固定費です。そのため、「固定費を月々の売上が超えられるか」という計算が基本になります。

整体院の固定費の内訳

固定費とは、売上の多い月も少ない月も変わらずかかるコストです。整体院の主な固定費は次のとおりです。

費目 賃貸テナントの目安 自宅開業の目安
家賃・管理費 8万〜20万円 0〜1万円(光熱費按分)
光熱費 1万〜3万円 5,000〜1万円
通信費(Wi-Fi・電話) 1万〜2万円 5,000〜1万円
広告費(ホットペッパービューティー等) 3万〜10万円 1万〜5万円
リネン・タオル等消耗品 1万〜3万円 5,000〜1万5千円
保険(賠償責任保険等) 3,000〜1万円/月 3,000〜1万円/月
人件費(スタッフがいる場合) 15万〜30万円/人 0(1人運営)

賃貸テナントで1人運営の場合、人件費を除いた月々の固定費は15万〜40万円程度になります。自宅開業であれば3万〜10万円程度に抑えることができます。

変動費の考え方

整体院の変動費は、売上に比例して発生するコストです。主なものはタオル・リネンの洗濯費用・消耗品(施術用ジェル・紙タオルなど)です。

整体院の場合、変動費率は売上の5〜15%程度が目安です。公庫のデータ(エステティック業)では、人件費を除いた費用のうち変動費的な性質を持つものは少なく、大半が固定的な費用として計上されています。

ここでは計算を単純化するため、変動費率を10%と仮定して損益分岐点を計算します。

損益分岐点の計算例

賃貸テナントで1人運営の場合の例を計算してみます。

  • 家賃:10万円
  • 広告費:5万円
  • 光熱費・通信費:2万円
  • 消耗品・その他:1万円
  • 月固定費合計:18万円
  • 変動費率:10%

損益分岐点売上高 = 180,000 ÷(1 − 0.10)= 200,000円

この例では、月売上が200,000円を超えれば黒字になります。60分コース6,000円換算で、1か月に約34件(1日1.5〜2件程度)の施術をこなせば損益分岐点を超えます。

ただし、これは施術者本人の生活費(食費・住居費・税金・保険など)を除いた計算です。個人事業主の場合は、施術者自身の生活費も事業から捻出する必要があり、実質的な必要売上はさらに高くなります。

全国の損益分岐点比率を確認する

日本政策金融公庫の「小企業の経営指標調査」(2025年度調査)では、損益分岐点比率が公表されています。整体院に近いエステティック業のデータは次のとおりです。

全国の整体院・エステと自院の損益分岐点比率を比べたい場合は、整体院は収益が出るか、全国平均と比べて考えるをご参照ください。

出典:日本政策金融公庫総合研究所「小企業の経営指標調査」(2025年度調査)エステティック業(p.39、n=105)

損益分岐点比率100%は、売上と費用がちょうど同じ状態です。中央値が100.1%ということは、エステティック業の半数がほぼ利益ゼロまたは赤字の水準で運営していることを示しています。全体平均が113.8%と大きく上回っているのは、赤字の事業者の割合が多いことを反映しています。

黒字企業の損益分岐点比率98.2%は、売上の約2%が利益になる水準です。これは厳しいように見えますが、個人事業主の場合は「役員報酬(給与)」という概念がなく、事業所得の全体が施術者の収入になることを考慮する必要があります。

損益分岐点を下げるための方法

損益分岐点を下げる(黒字化に必要な売上を減らす)には、固定費を抑えることが最も効果的です。

  • 家賃を抑える:自宅開業や居抜き物件の活用。賃貸の場合も、駅近の高家賃物件より少し離れた物件を選ぶ選択肢がある
  • 広告費を口コミに転換する:有料広告(ホットペッパービューティーなど)への依存度を下げ、口コミ・Googleマップ・SNSによる自然な集客に移行していく
  • 単価を上げる:提供する価値の質を高め、施術単価を引き上げる。固定費が同じであれば、単価が高いほど損益分岐点の件数が下がる
  • 1人運営を維持する:スタッフを増やすと人件費(月15万〜30万円/人)が増え、損益分岐点が大きく上がる。スタッフ採用は売上が安定してから検討する

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固定費・単価・件数を入力して、損益分岐点を自動で計算できます。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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