通所介護(デイサービス)の人員基準は、「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(平成11年厚生省令第37号)に定められています。管理者・生活相談員・看護職員・機能訓練指導員・介護職員の5つの職種について、それぞれ必要な配置人数や資格要件が規定されています。
この記事では、通所介護の人員基準を職種別に整理します。兼務の可否・常勤換算の考え方も含めて確認します。
通所介護の人員基準は5つの職種で構成される
通所介護に配置が必要な職種と基準(概要)は次のとおりです。
| 職種 | 配置基準(概要) | 資格要件 | 兼務の可否 |
|---|---|---|---|
| 管理者 | 1名(常勤) | 特になし(実務経験等が望ましい) | 専従が原則。ただし事業所の管理に支障がない場合は兼務可 |
| 生活相談員 | 利用者15名以下→1名以上 15名超→増員必要 |
社会福祉士・介護支援専門員等(都道府県により異なる) | 介護職員との兼務可 |
| 看護職員 | 1名以上 | 看護師・准看護師 | 介護職員との兼務可。医療機関との連携でも可(応需体制の確保が要件) |
| 機能訓練指導員 | 1名以上 | 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護師・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師など | 看護職員との兼務可(配置基準を満たす場合) |
| 介護職員 | 利用者3名に対して1名以上(最低2.5名以上・常勤換算) | 特になし | — |
出典:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第93条・第95条・第97条。この表は概要です。実際の基準の適用は都道府県・市区町村の解釈・通知によって異なる場合があります。必ず所管の自治体窓口に確認してください。
管理者は1名・常勤が原則
管理者は常勤の職員1名を配置する必要があります(平成11年厚生省令第37号 第95条第1項)。
管理者は事業所の運営全般を管理します。専従が原則ですが、事業所の管理に支障がない場合は同一事業所内の他の職種との兼務が認められています。ただし、他の事業所の管理者との兼務は原則として認められません。
管理者に特定の資格要件は法令上定められていませんが、都道府県によっては実務経験を求めることがあります。開業前に所管の自治体に確認することをお勧めします。
生活相談員は利用者15名以下で1名以上
生活相談員は、利用者の相談対応・ケアプランとの連携・居宅介護支援事業所との調整を担当します(平成11年厚生省令第37号 第93条第1項第1号)。
サービス提供時間帯を通じて1名以上の配置が必要です。利用者数が15名を超える場合は追加の配置が必要になります。
生活相談員に必要な資格要件は、都道府県によって異なります。社会福祉士・介護支援専門員(ケアマネジャー)のほか、都道府県が認める資格・実務経験年数を要件としている場合があります。
看護職員は1名以上・医療機関との連携も認められる
看護職員は看護師または准看護師で、利用者の健康管理・医療的なケアの必要時の対応を担います(平成11年厚生省令第37号 第93条第1項第2号)。
サービス提供時間帯を通じて1名以上の配置が必要です。ただし、次の要件をすべて満たす場合は、看護職員をサービス提供時間帯に専従で配置しなくても基準を満たせる場合があります(平成11年厚生省令第37号 第93条第1項第2号・第95条第2項ただし書き)。
- 病院・診療所・訪問看護ステーション等と連携している
- サービス提供時間帯を通じて、連携先の医療機関等の看護師等が、利用者の健康状態の確認および緊急時等の対応を行う体制が確保されている
ただし、このただし書きの適用は都道府県の解釈に委ねられている部分があります。開業前に所管の都道府県・市区町村窓口に必ず確認してください。
看護職員と機能訓練指導員は資格要件が重複する部分があり(看護師は機能訓練指導員の資格要件を満たします)、兼務が認められています。
機能訓練指導員は1名以上・多くの資格が認められている
機能訓練指導員は、利用者の日常生活上の機能向上のための訓練を担います(平成11年厚生省令第37号 第93条第1項第3号)。
機能訓練指導員として認められている資格は次のとおりです。
- 理学療法士
- 作業療法士
- 言語聴覚士
- 看護師・准看護師
- 柔道整復師
- あん摩マッサージ指圧師
- 一定の実務経験を有するはり師・きゅう師
看護職員と兼務ができるため、看護師1名で看護職員と機能訓練指導員の両方の配置基準を満たすことが可能です。
個別機能訓練加算Ⅰイ(56単位/日)を算定するには機能訓練指導員の専従1名以上、加算Ⅰロ(76単位/日)では専従2名以上が必要です。加算の算定を目指す場合は通常の配置基準より多くの機能訓練指導員が必要になります。
介護職員は利用者3名に対して1名以上・常勤換算で2.5名以上
介護職員は、通所介護における直接的な介護サービス(食事介助・入浴介助・機能訓練等の補助)を担います(平成11年厚生省令第37号 第93条第1項第4号)。
配置基準は次のとおりです。
- サービス提供時間帯を通じて、利用者数3名に対して1名以上(端数切り上げ)
- 常勤換算で2.5名以上
定員20名・稼働率80%(1日16名)の場合、1日に必要な介護職員は16÷3の切り上げで6名です。ただし常勤換算2.5名以上という下限があるため、少人数の日でも常勤換算で2.5名以上の職員配置が必要です。
| 定員 | 稼働率 | 1日の利用者数 | 必要な介護職員数(概算) |
|---|---|---|---|
| 20名 | 60% | 12名 | 4名以上(常勤換算2.5以上) |
| 20名 | 70% | 14名 | 5名以上(常勤換算2.5以上) |
| 20名 | 80% | 16名 | 6名以上(常勤換算2.5以上) |
| 20名 | 90% | 18名 | 6名以上(常勤換算2.5以上) |
当方の整理。概算であり、実際の必要人数は利用者の要介護度・サービス内容・兼務の状況によって異なります。
常勤換算の考え方
常勤換算とは、常勤職員1名の勤務時間を1.0とし、非常勤職員の勤務時間を換算して合算する計算方法です。
たとえば、常勤の1週間の勤務時間が40時間の場合:
- 常勤職員1名:1.0
- 週20時間勤務のパート職員:0.5
- 週30時間勤務のパート職員:0.75
常勤換算2.5名を確保するためには、常勤2名+週20時間のパート1名(2.0+0.5=2.5)などの組み合わせが可能です。パート職員を活用することで人件費を抑えながら基準を満たすことができますが、日によってサービス提供時間帯に職員が不足しないよう、シフト管理が重要になります。
人員基準違反は指定取消のリスクがある
人員基準を下回った状態でサービスを提供した場合、都道府県・市区町村から改善勧告・指定取消などの行政処分を受ける可能性があります。また、人員基準を満たさない期間の介護報酬は原則として返還の対象になります。
職員が急に退職した・体調不良で欠勤した場合でも人員基準を満たすことが求められるため、最低限必要な人員より多めに採用しておくこと・複数の資格を持つ職員を採用しておくことが有効です。
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