短期入所の感染症研修は年2回以上、日中支援型と宿泊ありでは対策の深さが違う。
短期入所の感染症研修は、他の義務テーマより多い年2回以上の実施が求められる。訓練も年1回以上が義務だ。
短期入所は利用者が事業所内に泊まることができる。これが他の通所系サービスと異なる点だ。泊まりのある短期入所(宿泊型)では、閉鎖的な空間での長時間滞在が感染症を広げやすい。だからこそ感染症研修だけが年2回以上と多く設定されている。
根拠は基準省令(指定障害福祉サービス等基準省令)と厚生労働省の解釈通知(障発0330第12号)だ。「定期的」の水準として研修は年2回以上・訓練は年1回以上と定められている。
基準省令の感染症に関する条文。
基準省令は感染症対策として、感染症の予防と対処のための計画の策定・研修・訓練の3点を義務として定めている。研修・訓練に関する条文は次のように規定している。
指定短期入所事業者は、感染症の予防及びまん延の防止のための対策として、当該指定短期入所の従業者に対し、感染症の予防及びまん延の防止のための研修及び訓練を定期的に実施しなければならない。
(指定障害福祉サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準 短期入所に関する条文より引用)
「定期的」の内訳は、解釈通知が研修を年2回以上、訓練を年1回以上と示している。この回数は他の研修義務テーマ(年1回以上)とは異なる。誤って「全テーマ年1回でOK」と理解していると、感染症だけ不足が出る。
宿泊型と日中支援型で感染症対策の深さが違う。
短期入所には大きく2つの形がある。1つは宿泊を伴う形(泊まり)、もう1つは日帰りの日中支援型だ。
宿泊を伴う短期入所では、利用者が長時間にわたり同じ空間にとどまる。食事・入浴・排泄の介助など密接な身体接触が複数回発生する。こうした環境では、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症・ノロウイルスなどの感染症が広がりやすい。
感染症研修では、泊まりの利用者が多い事業所ほど深い内容が必要だ。
- 宿泊中の体調変化の確認方法(体温測定・様子観察の記録)
- 複数の居室間での感染を防ぐゾーニングの考え方
- 夜間帯に感染者が出た場合の対応手順
- 利用者の家族への連絡タイミングと連絡の内容
日中支援型の短期入所では宿泊はないが、利用者が複数集まる環境であることは同じだ。飛沫感染のリスクを考えた空間づくりや手洗い・消毒の徹底は欠かせない。
訓練で確認する内容。
年1回以上の訓練で確認すべき主な内容は次のとおりだ。
第1に、感染者が出た場合の対応フローの確認だ。誰に連絡し、どのように部屋や区域を分けるか(コホーティング)、他の利用者への周知をどう行うかを机上で確認する。
第2に、防護具(マスク・手袋・ガウン)の正しい着脱だ。特に脱ぐ順番を間違えると自己汚染が起きる。訓練で実際に着脱の手順を確認しておく。
第3に、保健所への報告の手順だ。感染症の種類によっては法定の届出が必要になる場合がある。担当機関の連絡先と報告のタイミングを確認しておく。
短期入所の法定研修の年間回数の全体像。
| テーマ | 研修の年間回数 | 訓練の年間回数 | 委員会 |
|---|---|---|---|
| 虐待防止 | 年1回以上 | なし | 年1回以上 |
| 身体拘束の適正化 | 年1回以上 | なし | 年1回以上 |
| 感染症 | 年2回以上 | 年1回以上 | なし |
| BCP | 年1回以上 | 年1回以上 | なし |
| 非常災害(夜間を含む) | 年1回以上 | 年2回以上(うち1回は夜間想定) | なし |
短期入所の特徴は、非常災害訓練が年2回以上で、うち1回は夜間の利用者が在所していることを想定した訓練が必要な点だ。夜間の避難誘導と感染症対応の両方が、通所サービスより手厚い訓練を求められている。
感染症研修の記録で残すべき内容。
研修記録として残す内容は次のとおりだ。
- 実施日と参加した職員の名前・確認の署名
- 研修のテーマと使用した資料
- 訓練の場合は実施した内容・参加者の反応・改善点
感染症だけは年2回の記録が必要になる。4月と9月・6月と11月など、半年おきに配置する形が継続しやすい。訓練は年1回でよいため、研修と同日でも別日でも構わない。
運営指導では、研修の記録・訓練の記録・感染症の計画書の3点がセットで確認される。計画書は「作っただけ」の状態にならないよう、研修と訓練の実施記録が紐づいていることが重要だ。
短期入所向けの法定研修ツール。
短期入所向けの法定研修・訓練キットを公開している。感染症を含む12テーマの研修資料・確認テスト・受講記録・年間計画を1つのツールで作れる。感染症については、宿泊型を想定した感染経路の図・対応フロー・防護具の着脱手順・記録様式が含まれている。
無料版では虐待防止の1テーマをすべての機能で試すことができる。


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