生活介護の利用定員は、原則20人以上と省令で決まっている。

生活介護の利用定員は、原則20人以上と省令で決まっている。 生活介護

生活介護を開設しようと制度を調べると、「20人以上」という数字が出てきます。これは事業所の規模についての省令の定めで、原則として20人以上の利用者を受け入れられる規模が求められます。ただし例外があり、実際には定員20人未満で運営している事業所もあります。

この記事では、20人以上という定めの条文、例外、定員によって変わる報酬と人員、全国の収支の数字を、原典に沿って整理します。

生活介護事業所は、原則として20人以上の規模が必要と省令で定められている

「障害福祉サービス事業の設備及び運営に関する基準」(平成18年厚生労働省令第174号)第37条は、「生活介護事業所は、二十人以上の人員を利用させることができる規模を有するものでなければならない」と定めています。

条文には例外もあります。

場合 必要な規模
原則 20人以上
離島など国が定める地域のうち、将来も利用者を確保できる見込みがないと都道府県知事が認めた地域 10人以上
多機能型(他のサービスと一体的に運営)で、一体的に行う事業所の利用定員の合計が20人以上の場合の生活介護 6人以上
重度の知的障害と重度の肢体不自由が重複している障害者を主に通わせ、児童発達支援等を一体的に行う多機能型など 全ての事業を通じて5人以上

出典:障害福祉サービス事業の設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第174号)第37条・第89条

多機能型として小さな定員で始める場合も、組み合わせる各サービスの人員・設備・運営の基準をそれぞれ満たす必要があります。どの形で指定を受けられるかは、開設予定地の自治体に早めに確認しておくと確実です。省令は、20人という数字を選んだ理由までは示していません。

職員の数は、利用者の数と平均障害支援区分で決まる

生活介護の職員配置は「指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」(平成18年厚生労働省令第171号)第78条で定められています。看護職員・理学療法士等・生活支援員の総数は、利用者の平均障害支援区分に応じて、次の数以上が必要です(常勤換算)。

利用者の平均障害支援区分 必要な職員数
4未満 利用者の数 ÷ 6 以上
4以上5未満 利用者の数 ÷ 5 以上
5以上 利用者の数 ÷ 3 以上

出典:指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)第78条

利用者20人で平均区分が5以上なら、20÷3で約6.7人分(常勤換算)、平均区分が4以上5未満なら4人分が必要です。この部分は利用者の数に比例して増えます。

一方、同じ条文は、看護職員と生活支援員をそれぞれ1人以上(生活支援員のうち1人以上は常勤)、サービス管理責任者を利用者60人以下で1人以上(1人以上は常勤)置くことも求めています。管理者も必要です。これらは利用者が少なくても必要な人数なので、定員が小さいほど、利用者1人あたりの負担は大きくなります。

1人1日あたりの基本報酬は、定員が小さいほど高く設定されている

生活介護の基本報酬は、利用定員の区分・所要時間・障害支援区分の組み合わせで、1人1日あたりの単位数が決まります。同じ区分・所要時間でも、定員の区分によって単位数が変わります。

所要時間7時間以上8時間未満 定員11人以上20人以下 定員21人以上30人以下
区分6 1,291単位 1,150単位
区分5 966単位 854単位
区分4 669単位 584単位

出典:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第523号)別表 第6 生活介護(令和8年6月施行のサービスコード表とも一致を確認)

このように、定員の区分が小さいほど1人あたりの単位は高く設定されています。なお定員10人以下の区分は、重症心身障害者を対象に児童発達支援や放課後等デイサービスと一体的に行う場合に限って算定できると、同じ告示に定められています。

全国の平均では、定員20人以下の施設の収支差率は9.0%

令和7年障害福祉サービス等経営概況調査(令和6年度決算)の生活介護の結果を、定員の規模別に並べると次のとおりです。

定員の規模 集計施設数 平均定員 年の収入 収支差率
全体 368 28人 約7,939万円 6.3%
20人以下 219 16人 約4,089万円 9.0%
21〜40人 89 35人 約1億72万円 9.3%
41〜60人 45 54人 約1億7,272万円 6.8%
61〜80人 11 75人 約2億3,037万円 -7.9%

出典:厚生労働省「令和7年障害福祉サービス等経営概況調査」(令和6年度決算)生活介護。81人以上(4施設)は表から省略。人件費率は全体69.1%、20人以下67.5%。

調査の対象になった施設の半数以上が定員20人以下(平均16人)で、その平均の収支差率は9.0%と、全体の6.3%より高い水準でした。この数字からは「定員が小さいと赤字になりやすい」とは言えません。一方で61〜80人の区分は平均で赤字でしたが、集計施設数が11と少ないため、ばらつきの影響を受けやすい数字です。

平均は平均であり、個々の事業所の収支は、利用者の障害支援区分の構成・稼働率・職員の配置で大きく変わります。開設を考えるときは、全国平均ではなく、自分の事業所の条件で試算することが必要です。

全国の生活介護事業所は、3年余りで約1割増えた

国保連データによると、生活介護の事業所数は令和3年4〜6月の11,702か所から、令和7年1〜3月には12,990か所と、約11%増えています。

出典:厚生労働省「障害福祉サービス等の最近の動向について」(社会保障審議会障害者部会 第149回 参考資料8)国保連データ。値は各3か月分の平均値。

事業所が増えると、地域によっては利用者の確保が競争的になります。開設してすぐに定員が埋まるとは限らないため、立ち上げ期間の赤字を乗り越えるだけの資金を確保しておくことが必要です。特別支援学校の卒業時期や、地域の相談支援事業所との早い段階からの関係づくりも、利用者の確保を考えるうえでの手がかりになります。

定員は、規模の定め・報酬の区分・固定的な人員の3つから決める

生活介護の定員を決めるときは、次の3つを合わせて確認します。

  • 規模の定め:原則20人以上(離島などは10人以上、多機能型は6人以上など)
  • 報酬の区分:定員の区分が小さいほど、1人1日あたりの単位は高い
  • 固定的な人員:看護職員・生活支援員・サービス管理責任者・管理者は、利用者が少なくても必要

この3つを前提に、利用者の障害支援区分の見込みと稼働率から、開設直後から安定するまでの収支と必要な資金を確認することが起点になります。


生活介護の開業前に、定員・稼働率・障害支援区分の構成・職員配置・加算を組み合わせた収支の試算が必要な方は、以下のシミュレーターをご利用ください。無料の基本試算(損益分岐・月次収支)と、Pro版(36か月グラフ・事業計画書の印刷)があります。

▶ 生活介護 開業向け収支シミュレーター

障害福祉サービスの開業・運営ツールをまとめたページはこちらです。

▶ 福祉事業の開業と運営 — ツール一覧

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

ご質問はメールで。電話・面談はしていません。

fufumumu_designをフォローする
生活介護福祉事業の開業と運営
fufumumu_designをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました