消防設備士甲2の製図試験攻略法。ヘッド個数計算・系統図の書き方と典型問題

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消防設備士甲2の製図試験(2問)は、実技試験の中で最も得点差がつく部分です。製図試験で60%以上を取ることが実技合格の条件のため、製図を疎かにすると筆記で高得点でも不合格になります。甲2の製図試験ではフォームヘッドの個数計算と系統図の完成が出題の中心です。典型的な問題の解き方を整理しました。

製図試験の出題形式

甲2の製図試験(2問)は主に以下の2形式です。

  • 形式①:ヘッド個数計算と配置図:防護対象の面積・フォームヘッドの有効散水面積を元に必要ヘッド数を計算し、平面図に配置する問題
  • 形式②:系統図の完成:一部が省略または空欄になった泡消火設備の系統図(フロー図)に、不足している機器名・接続方向・流量・圧力値を記入する問題

この2形式が試験回ごとに組み合わせて出題されます。

ヘッド個数計算の手順

フォームヘッドの必要個数を求める計算は次の手順で行います。

ステップ 計算内容 数値の根拠
①防護面積を確認 問題文の平面図から防護区画の床面積(m²)を読み取る 問題文の図面
②1ヘッドの散水面積を確認 低発泡フォームヘッドの有効散水面積:9m²/個 消防法施行規則第19条
③ヘッド数の計算 必要ヘッド数 = 防護面積 ÷ 9m²(端数は切り上げ) 同上
④放射量の確認 1ヘッド当たり放射量:75L/min以上 消防法施行規則第19条
⑤水源水量の計算 水源水量 = 最大同時放射ヘッド数 × 75L/min × 10分 放射継続時間10分(施行規則第19条)

計算例:防護面積72m²の場合、必要ヘッド数 = 72 ÷ 9 = 8個。水源水量 = 8 × 75 × 10 = 6,000L(6m³)。この手順を繰り返し練習することで本番でも素早く計算できます。

系統図に登場する主な機器(配置順)

系統図は「水源→加圧送水装置(ポンプ)→プロポーショナー→一斉開放弁→配管→フォームヘッド」の流れで書きます。各機器の位置と役割を整理しましょう。

  • 水源(水槽):消火に使う水を蓄えるタンク。床面積と放射時間から必要容量を計算します
  • 薬剤タンク(泡消火薬剤貯蔵槽):泡消火薬剤の原液を貯蔵します。水源の近くに設置します
  • 加圧送水装置(ポンプ):電動機で駆動し、水・混合液を加圧して配管に送ります
  • プロポーショナー(比例混合装置):水と薬剤を一定比率(3%または6%)で混合します。ライン式・プレッシャー式・ポンプ式・プレミックス式の4種類があります
  • 一斉開放弁:感知器の信号で開放し、防護区画全体のフォームヘッドへ混合液を送ります
  • フォームヘッド:混合液を空気と混合して泡にして放射します

製図試験でよく出る誤りのパターン

  • 一斉開放弁を系統図に描き忘れる:開放型フォームヘッド方式では一斉開放弁が必須です。系統図に必ず含めましょう
  • ヘッド数の端数を切り捨てる:72÷9=8のように割り切れない場合(例:75÷9=8.33…)は9個(切り上げ)が正解です
  • 単位を記入しない:流量(L/min)・圧力(MPa)・水量(m³またはL)の単位を書き忘れると減点対象です
  • プロポーショナーの位置を間違える:プロポーショナーはポンプの後、一斉開放弁の前に設置します
  • 時間不足で作図を途中でやめる:計算を先に済ませ、作図は最低限の線だけ引く割り切りが必要です

製図の練習方法

  • 模範解答を写す練習から始める:テキストの系統図を白紙に写すことで、「どこに何を書くか」の感覚がつかめます
  • 計算→作図の手順を固定する:毎回同じ手順(面積確認→ヘッド数→水量→系統図)で解くことで時間を短縮できます
  • 本番と同じ時間制約で練習する:製図2問+鑑別5問を40分で解く練習を本番前に複数回行いましょう
  • 間違えた計算式を記録する:ミスのパターン(端数切り忘れ・単位なし等)を把握し、次の練習で意識的にチェックします

実技試験全体の攻略ポイント

製図は2問・鑑別は5問の合計7問で実技試験が構成されます。実技合計60%以上が必要です。

  • 製図2問で満点が難しい場合でも、計算値を記入するだけで部分点を稼げます。白紙のまま提出しないこと
  • 鑑別5問は比較的対策しやすい(写真を見て名称・用途を答える形式)。鑑別で安定して点数を取れると製図での失点を補えます
  • 時間配分の目安:鑑別に約30分・製図に約40分・予備に約15分(3時間15分の実技時間分)

鑑別問題の対策(機器を写真で識別する)

鑑別問題(5問)は、機器の写真・イラストを見て名称・用途・設置基準を答える問題です。製図より対策しやすく、安定して点数を取れると製図の失点を補えます。

  • フォームヘッド:先端にデフレクターがある。フォームヘッドの散水面積(9m²)・放射量(75L/min以上)を覚えておく
  • 一斉開放弁:ボディ(弁本体)・起動用配管接続口・手動開放レバーが特徴。開放型泡消火設備に必須の機器
  • プロポーショナー:水と薬剤を混合する装置。ライン式・プレッシャー式・ポンプ式・プレミックス式の4種類がある
  • 加圧送水装置(電動ポンプ):電動機・ポンプ・呼び水装置・圧力計・自動排水弁等で構成される。ポンプ室または機械室に設置
  • 泡消火薬剤タンク(貯蔵槽):薬剤原液を貯蔵する密閉タンク。腐食防止のためステンレス製が多い

各機器の写真をテキストで繰り返し確認し、機器名・用途をすぐに答えられるようにしましょう。

製図・鑑別の採点基準

実技試験(製図・鑑別)は記述式のため、解答の書き方も得点に影響します。

  • 機器名の正確な表記:「フォームヘッド」「一斉開放弁」等の正式名称で書きます。略称や別名では減点される場合があります
  • 単位の記入:流量(L/min)・圧力(MPa)・面積(m²)等の単位を必ず記入します。数値だけでは部分点または0点になります
  • 計算過程を書く:製図の計算問題では計算過程を書いておくと、答えが間違っていても計算の途中まで部分点が得られる場合があります
  • 白紙は0点:分からない問題でも計算値だけでも記入する。最低限の作図(機器の位置と接続線)だけでも部分点が出る場合があります

製図試験で差がつく上級テクニック

  • 防護面積の読み取り精度を上げる:平面図の縮尺を確認し、実際の面積を正確に計算します。縮尺の読み間違いはヘッド数の計算ミスに直結します
  • 計算前にメモ欄で整理する:「面積:○m²・ヘッド数:○個・放射量:○L/min・水量:○L」と計算前に書き出してから計算すると、計算式のミスや単位の書き忘れを防げます
  • 問題文の条件を見落とさない:「本設備は低発泡方式とする」「防護区画の床面積は○m²とする」等の条件は計算の前提です。見落とすと全て誤答になります
  • 過去問の系統図を暗記する:テキストの系統図サンプルを繰り返し書いて、機器の位置と流れの方向を暗記します。試験では同じパターンが繰り返し出ます

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製図試験で必ず覚えるべき数値一覧

数値 意味 使用場面
9m² 1フォームヘッドの有効散水面積(低発泡) ヘッド個数計算
75L/min以上 1ヘッドの放射量(低発泡) 水源水量計算・系統図への記入
10分以上 放射継続時間(水源水量の基準) 水源水量計算(放射量×10分)
30分以上 非常電源の容量 系統図への記入・記述問題
60秒以内 一斉開放弁の開放時間(加圧水式) 記述問題・系統図注記
1.5m以下 手動起動装置の設置高さ(床面から) 鑑別・記述問題

製図試験でこれらの数値を使う計算や記入が出てきます。試験前日に一度確認しておくと安心です。系統図への記入では流量(L/min)・水量(L)・圧力(MPa)の単位を忘れずに書きましょう。

製図試験の練習方法と学習スケジュール

製図試験は「慣れ」が大きく合否を分けます。初めて系統図を書いたときは手間取る方が多いですが、繰り返し練習することで速度と精度が上がります。以下の学習ステップを参考にしてください。

  • 第1ステップ(基礎理解):テキストの系統図サンプルを見ながら機器の名称・役割・接続方向を確認します。まず全体の構成(薬剤タンク→プロポーショナー→ポンプ→配管→ヘッド)を頭に入れましょう
  • 第2ステップ(模写練習):テキストの系統図を見ながら自分でノートに書き写します。3〜5回繰り返すと機器の位置関係が体に染み込みます
  • 第3ステップ(再現練習):テキストを閉じた状態で白紙に系統図を書いてみます。書けない機器や接続方向が分からない箇所を確認し、テキストに戻って確認します
  • 第4ステップ(過去問演習):消防試験研究センターが公開している試験例題や参考書の模擬問題を時間を計って解きます。制限時間(通常90分)を意識した練習が実戦力を高めます
  • 第5ステップ(数値確認):試験前日に数値一覧を見直します。9m²・75L/min・10分・30分・60秒・1.5mの6つの数値は暗記必須です

製図試験で多くの受験者が難しいと感じるのは「慣れていないから」という理由が大きいです。3〜4週間でも毎日30分の製図練習を続ければ、試験本番で慌てずに作図できるレベルに達する方が多いです。製図を後回しにせず、筆記試験対策と並行して早めに着手しましょう。

製図試験を突破するための最終確認

試験直前(1〜2週間前)に以下を確認しましょう。

  • □ 防護面積からフォームヘッド個数を計算できる(9m²/個)
  • □ ヘッド個数から1分間の放射量・水源水量を計算できる(75L/min・10分)
  • □ 系統図を白紙から書ける(薬剤タンク・プロポーショナー・ポンプ・一斉開放弁・ヘッドの配置と接続)
  • □ 鑑別写真で主要機器(フォームヘッド・一斉開放弁・起動装置・プロポーショナー)を名称と特徴で答えられる
  • □ 採点で減点されない書き方(単位記入・正式名称・計算過程)を身につけている

製図試験の合否は練習量に比例します。合格者の多くは「製図を繰り返し書いた」と語っています。残り時間を逆算しながら計画的に練習を積み、甲2合格を目指しましょう。

出典:消防法施行規則第19条(e-Gov)・消防試験研究センター試験規則

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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