ITパスポートのテクノロジ系(45問)では、ネットワークとデータベースが重点テーマです。ネットワークはIPアドレス・DNS・VPN・ファイアウォールを中心に、データベースはリレーショナルDB・SQL・正規化・ACID特性が頻出です。IT未経験でも、用語の意味と役割を整理すれば十分に得点できる範囲です。
テクノロジ系の出題数とネットワーク・データベースの位置づけ
テクノロジ系は全92問中45問を占める最大の分野です(IPA「令和8年度シラバス」)。テクノロジ系の中に、ネットワーク・セキュリティ・データベース・アルゴリズム・ハードウェアなど複数のテーマが含まれます。
テクノロジ系の足切り基準は300点(1,000点満点)です。45問でも苦手分野に偏ると分野別の300点を下回ることがあるため、ネットワークとデータベースをまとめて対策しておくと安定した得点につながります。
ネットワーク分野の重要語句
ネットワーク分野では、「何のためにある仕組みか」「何と何の違いか」という角度で問題が作られます。暗記だけでなく役割のイメージを持つと選択肢を絞りやすくなります。
| 用語 | 役割・意味 | よく問われる角度 |
|---|---|---|
| IPアドレス | ネットワーク上の機器を識別する番号。IPv4(32ビット)とIPv6(128ビット)がある | IPv4とIPv6の違い・クラスの種類 |
| DNS | ドメイン名(例:fufumumu-design.com)をIPアドレスに変換する仕組み | 役割の説明・「名前解決」との関係 |
| HTTP / HTTPS | Webページのデータをやり取りするプロトコル。HTTPSはTLSで暗号化 | HTTPとHTTPSの違い・暗号化の有無 |
| TCP/IP | インターネット通信の基本プロトコル群。TCPは信頼性、IPはアドレス管理を担う | TCPとUDPの違い(信頼性・速度) |
| VPN | インターネット上に仮想的な専用線を作り、暗号化された安全な通信を実現する技術 | テレワーク・リモートアクセスとの関連 |
| ファイアウォール | 不正なネットワークアクセスを遮断するセキュリティ機能。パケットフィルタリングが代表例 | DMZとの組み合わせ・役割の説明 |
| プロキシサーバ | クライアントとサーバの間に入り、通信を中継するサーバ。キャッシュ機能も持つ | 役割の説明・リバースプロキシとの違い |
| DHCP | ネットワークに接続した機器に自動でIPアドレスを割り当てるプロトコル | 手動設定との違い・役割の説明 |
| LAN / WAN | LAN:建物内など限られた範囲のネットワーク、WAN:広域ネットワーク(インターネット含む) | 範囲の違い・有線と無線LAN |
| MACアドレス | ネットワーク機器(NIC)に固有に割り当てられた物理アドレス(48ビット) | IPアドレスとの違い(論理/物理) |
データベース分野の重要語句
データベース分野では、リレーショナルデータベースの構造と操作方法(SQL)が中心です。「表」「行(レコード)」「列(フィールド)」「主キー」「外部キー」という基本構造を最初に押さえると、以降の用語が理解しやすくなります。
| 用語 | 役割・意味 | よく問われる角度 |
|---|---|---|
| リレーショナルDB(RDB) | データを表形式で管理し、表同士を関連付けて扱うデータベース。Oracle・MySQL・PostgreSQL等 | 階層型・ネットワーク型との違い |
| SQL | RDBを操作する言語。SELECT(検索)・INSERT(挿入)・UPDATE(更新)・DELETE(削除)が基本 | SELECT文の読み方・WHERE句の役割 |
| 主キー(プライマリキー) | 表内の行を一意に識別する列。重複と空値(NULL)を許さない | 主キーの条件・外部キーとの違い |
| 外部キー | 別の表の主キーを参照するための列。表同士の関連(結合)に使われる | 参照整合性制約との関係 |
| 正規化 | データの重複や矛盾を防ぐために表を分割・整理する設計手法。第1〜第3正規形が基本 | 正規化のどの段階かを問う問題 |
| トランザクション | 「口座の振込」のように、一連の処理を一体として扱う単位。全部成功か全部取消(ロールバック) | コミットとロールバックの違い |
| ACID特性 | トランザクションが保証すべき4特性:原子性・一貫性・独立性(隔離性)・耐久性 | 各特性の意味の識別 |
| インデックス(索引) | 検索を高速化するために作成するデータ構造。ページに付く索引と同じ概念 | メリット(検索速度)・デメリット(更新コスト) |
| 正規化と非正規化 | 正規化はデータ整合性優先、非正規化は検索速度優先で意図的に冗長を持たせる設計 | トレードオフの説明 |
| NoSQL | RDB以外のデータベース。Key-Value型・ドキュメント型等がある。大量データや柔軟な構造に向く | RDBとの違い・向いている場面 |
つまずきやすいポイントと対策
IPアドレスのクラスやサブネットの計算
IPアドレスのクラス(ClassA/B/C)やサブネットマスクの計算は、2進数の知識と組み合わせて出題される場合があります。クラスの範囲(ClassA:1〜126、ClassB:128〜191、ClassC:192〜223)は暗記が確実です。サブネットの詳細な計算は、ITパスポートの試験範囲ではそこまで深く問われないため、まず用語の意味と役割を理解することを優先します。
SQLの読み方に慣れておく
SQLの完全な記述はITパスポートでは問われませんが、SELECT文の骨格(SELECT 列名 FROM 表名 WHERE 条件)を読めるようにしておくと、「このSQL文が何を取り出しているか」という問題に対応できます。
SELECT 商品名, 価格
FROM 商品テーブル
WHERE 価格 > 1000;
上のSQL文は「商品テーブルから、価格が1,000円より高い商品の商品名と価格を取り出す」という意味です。このような読み方の練習が試験対策になります。
正規化の段階の見分け方
正規化は「第1〜第3正規形」が基本ですが、各段階の条件の違いで迷う受験者が多い項目です。
| 正規形 | 条件のポイント |
|---|---|
| 非正規形 | 繰り返しグループ(1セルに複数の値)がある状態 |
| 第1正規形 | 繰り返しグループを解消した状態(各セルに1つの値) |
| 第2正規形 | 部分関数従属を解消した状態(複合主キーの一部への依存をなくす) |
| 第3正規形 | 推移関数従属を解消した状態(主キー以外の列どうしの依存をなくす) |
試験では「どの正規形か」を表の例から判定する問題が出ます。「繰り返しグループがある→まず第1正規形へ」という方向性だけ押さえて、過去問で繰り返し練習するのが最も効率的です。
文系・IT未経験者への勉強法
ネットワークとデータベースは、IT未経験者が「難しそう」と感じやすい分野です。ただし、ITパスポートの問題は「概念の理解」を問うものが大半で、実際に設定ファイルを書いたりSQLを実行したりするスキルは問われません。
おすすめの流れは次のとおりです。
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 1 | この記事の用語表を1周読んで、知らない用語に印をつける |
| 2 | 印をつけた用語だけシラバスまたは参考書で意味を確認する |
| 3 | IPA公開の過去問でネットワーク・データベース関連問題を10問解く |
| 4 | 不正解の問題の解説を読んで、どの用語の理解が足りなかったかを確認する |
| 5 | 不正解が多い用語だけ再度確認して、翌日に同じ問題を解き直す |
IPA公式サイトでは、過去問(公開問題)が無料で公開されています。問題文の中でネットワーク・データベース用語がどのように使われるかを、実際の問題文で確認することが最もよい練習になります。
OSI参照モデルとTCP/IP階層モデルの対応
ネットワークプロトコルの階層を整理する「OSI参照モデル(7層)」と「TCP/IP階層モデル(4層)」の対応関係は試験で問われることがあります。全部を暗記する必要はなく、各層の役割と代表的なプロトコルの対応を把握することが優先です。
| TCP/IP層 | OSI層(対応) | 代表プロトコル・機器 | 役割 |
|---|---|---|---|
| アプリケーション層 | 第5〜7層(セッション・プレゼンテーション・アプリケーション) | HTTP・HTTPS・SMTP・FTP・DNS | ユーザーが直接使うサービスの通信 |
| トランスポート層 | 第4層(トランスポート) | TCP・UDP | 通信の信頼性(TCP)・速度優先(UDP)の制御 |
| インターネット層 | 第3層(ネットワーク) | IP・ICMP・ルータ | IPアドレスによる経路制御 |
| ネットワークインタフェース層 | 第1〜2層(物理・データリンク) | Ethernet・MACアドレス・スイッチ | 物理的な接続とデータの送受信 |
試験では「HTTPSは何層のプロトコルか」「IPアドレスはどの層で使われるか」という問われ方が多いです。アプリケーション層にHTTPS・DNS、インターネット層にIPアドレス・ルータという対応を覚えておくと、問題が絞りやすくなります。
NoSQLとリレーショナルDBの使い分け
NoSQLはRDB(リレーショナルデータベース)以外のデータベースの総称で、大量データや構造が定まっていないデータを扱う場面で使われます。
| 項目 | リレーショナルDB(RDB) | NoSQL |
|---|---|---|
| データの形式 | 表(テーブル)形式。行と列で管理 | Key-Value型・ドキュメント型・グラフ型など |
| スキーマ | 事前にテーブル構造を定義する(スキーマあり) | 構造を事前に定義しなくてよい(スキーマレス) |
| 向いている用途 | 金融・販売管理など、データの整合性が重要な場面 | SNSのログ・センサーデータなど大量データや構造が変化する場面 |
| 代表例 | MySQL・PostgreSQL・Oracle Database | MongoDB・Redis・Amazon DynamoDB |
| ACID特性 | 原則としてACID特性(原子性・一貫性・独立性・耐久性)を保証する | ACID特性より可用性・分散性を優先する設計が多い |
ITパスポートではNoSQLの種類まで詳細に問われることは少なく、「RDBとNoSQLの違い・向いている場面の違い」という角度で出題されます。RDBとNoSQLを比較する選択肢問題では、「スキーマレス」「大量データへの対応」がNoSQLの特徴として問われます。
TCPとUDPの違い
トランスポート層のプロトコルであるTCPとUDPは、通信の目的によって使い分けられます。試験では「信頼性が必要な通信にはどちらを使うか」という問われ方が多いです。
| 項目 | TCP | UDP |
|---|---|---|
| 特徴 | 送達確認あり。データが確実に届くことを保証する | 送達確認なし。確認なしに送り続ける |
| 速度 | 確認処理があるため遅い | 確認しないため速い |
| 向いている用途 | Webページの表示・メール送信・ファイル転送 | 動画ストリーミング・音声通話・オンラインゲーム |
| データの順序 | 順序どおりに届けることを保証する | 順序が変わる場合がある |
「信頼性が高い通信にはTCP」「速度優先・多少のロスを許容する通信にはUDP」という分け方を覚えておくと、選択肢を絞りやすくなります。
この記事のまとめ
- テクノロジ系(45問)でネットワーク・データベースは重点テーマ
- ネットワークはIPアドレス・DNS・VPN・ファイアウォール・TCP/IPが頻出
- データベースはRDBの構造・SQL・正規化・ACID特性・トランザクションが頻出
- 用語の「役割と意味」を整理することが対策の核心
- SQLはSELECT文が読めるレベルで十分
- 正規化は過去問で繰り返し練習するのが最も効率的


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