認知症が進むと「クレジットカードの使い方がわからなくなる」「支払いの意味が理解できなくなる」「不正使用やフィッシング詐欺に引っかかりやすくなる」という問題が生じる。認知症とクレジットカード・キャッシュレス決済の問題・対処法を整理した。
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「認知症の進行」でクレジットカードが使えなくなるリスク
認知症が進んだ場合のクレジットカード・キャッシュレス決済に関するリスクを整理した。
- 「暗証番号を忘れる・使い方がわからなくなる」:認知症が進むと暗証番号(PIN)を忘れたり、カードリーダーの操作方法がわからなくなったりする。この結果、日常の買い物もできなくなる
- 「何度もATMで引き出す・同じ請求に気づかない」:判断能力が低下すると「すでに引き出した・支払った」ことを忘れて同じ操作を繰り返す。また「今月の引き落とし明細」の意味が理解できなくなり、不正請求に気づかない
- 「電話・メールによる詐欺(フィッシング)への被害」:「カードが不正利用されました。すぐに暗証番号を教えてください」等の詐欺電話・メールに対して、判断能力が低下した状態では正常な判断が難しくなる。クレジットカード・電子マネーに関連した特殊詐欺被害が認知症高齢者に多い
- 「家族に無断で多額の決済をする」:判断能力が低下して「いくら使ったかわからない」状態で、テレビショッピングや訪問販売等で多額の決済をしてしまうケースがある
クレジットカードの「解約・利用停止」の手続き
認知症の親・配偶者のクレジットカードを解約・利用停止する手続きを整理した。
- 「本人が解約する」(意思能力がある段階):まだ意思能力がある段階では、本人が自らカード会社に解約を申し込むことが最もスムーズ。電話またはウェブサイトから解約の申込みができる
- 「家族からカード会社への連絡」(意思能力が失われている場合):本人の意思能力が失われている場合でも、家族からカード会社に「本人が認知症で判断能力がないため利用停止・解約をしたい」と申し出ることができる。各社の対応は異なるため、まずカード会社のサポートセンターに相談する
- 後見人が選任されている場合の手続き:後見人が選任されている場合は「後見登記証明書」を提示してカード会社に後見人として手続きを申し出ることができる。後見人として本人の代理でカードの解約手続きを進められる
- 「カードを物理的に保管する」応急処置:手続きが完了するまでの間、カードを本人の手の届かない場所(家族が保管する等)に移すことが応急処置として有効だ。ただしこれはあくまで暫定対応であり、カードの不正利用のリスクは残る
「後見開始後」のキャッシュレス決済・銀行口座の管理
後見が開始されてからのキャッシュレス決済・銀行口座の管理方法を整理した。
- 後見人が「日常の生活費」を管理する:後見人は本人の日常の生活費(食費・光熱費・日用品代等)を管理する。日常の生活費については「現金で渡す」または「後見人が引き出して支払う」方法で管理することが多い
- 「後見人専用口座」の開設:本人の銀行口座を後見人が管理する場合、金融機関によっては「後見人専用口座(後見人名義の信託口口座等)」の開設を求められることがある。家庭裁判所・金融機関と相談して管理方法を確認する
- 「電子マネー・QRコード決済」の解約・停止:交通系ICカード(Suica等)・PayPay・LINE Pay等の電子マネー・QRコード決済は後見人が各サービスのサポートセンターに連絡して停止・解約の手続きを進める。残高がある場合は払い戻しの手続きも必要だ
「認知症でも使えるキャッシュレス」の工夫
認知症が進んでも比較的安全に使えるキャッシュレス決済の工夫を整理した。
- 「限度額設定付きカード・プリペイドカード」の活用:利用限度額を低く設定できるカードやプリペイドカード(電子マネー)を使うことで、万が一不正利用されても被害を限定できる。スーパー・コンビニ限定のプリペイドカードは詐欺被害にも使われにくい
- 「家族カード(代理カード)」の活用:家族カードを作成して家族(子・配偶者)が日常の買い物の支払いを代わりに行う方法がある。ただし本人のカード自体も別途管理(保管または解約)する必要がある
- 「デビットカード」への切り替え:デビットカードは引き出し時に即座に口座から引き落とされるため、使いすぎ・多重引き落としのリスクが少ない。口座残高以上は使えないため支出の管理がしやすい
「特殊詐欺被害」に遭った場合の対処法
認知症の親がクレジットカードに関連した特殊詐欺被害に遭った場合の対処法を整理した。
- カード会社への連絡(不正利用のキャンセル・返金):クレジットカードの不正利用が判明した場合は、すぐにカード会社に連絡して「不正利用の報告・カードの一時停止・返金申請」を行う。一般的にクレジットカードの不正利用は「カード会員規約上の補償制度」で返金されることが多い
- 警察への被害届:特殊詐欺(電話詐欺・フィッシング詐欺等)の被害を受けた場合は「最寄りの警察署(生活安全課等)」または「警察相談専用電話(#9110)」に相談・被害届を提出する
- 消費生活センターへの相談:消費者契約法・特定商取引法に基づく「取消し」が可能な場合は、消費生活センター(消費者ホットライン:188)に相談する。認知症による「意思能力の欠如」を理由とした契約取消しの可能性を確認できる
「認知症と通帳・キャッシュカード」の管理方法
認知症の進行に伴う通帳・キャッシュカードの管理方法を整理した。
- 「通帳・キャッシュカードを家族が預かる」応急処置:認知症の症状が進んで「何度もATMで引き出す」「通帳を紛失する」等の問題が起きている場合は、家族が通帳・キャッシュカードを預かることが応急処置として有効だ。ただし本人の財産の「流用(家族が自分のために使う)」は絶対に避ける
- 「口座名義人以外の代理引き出し」の問題:家族が「親の通帳・キャッシュカードを使って代わりに引き出す」ことは、一般的に銀行の規定に違反する。ただし多くの金融機関では「日常的な生活費の範囲での代理引き出し」に対しては柔軟な対応をとっている場合がある。事前に金融機関に相談することが重要だ
- 「キャッシュカードの限度額の設定」:1回の引き出し限度額・1日の引き出し限度額をキャッシュカードに設定することで、万が一不正に引き出されても被害を限定できる。金融機関のATMまたは窓口で設定できる場合がある
- 「通帳・カードの紛失」が繰り返される場合の対応:通帳・カードを繰り返し紛失する場合は「再発行手続き(金融機関の窓口で本人確認の上で再発行)」が必要。認知症が進んでいる場合は「本人確認が困難」として再発行を断られることもあるため、後見人の選任を急ぐことが解決策になる
「認知症の親の公共料金・定期引き落とし」の管理
認知症が進んだ場合の公共料金・定期引き落とし(サブスクリプション等)の管理を整理した。
- 「口座残高不足で引き落とし失敗」のリスク:認知症が進んで口座管理ができなくなると、公共料金(電気・ガス・水道)・家賃・保険料等の口座引き落としが残高不足で失敗するリスクがある。電気・ガスが止まることで生活に影響が出る前に対処が必要だ
- 「後見人が引き落とし口座を管理する」:後見人が選任された場合は、後見人が本人の「引き落とし口座(生活費用の口座)」を管理する。毎月の必要額を引き落とし口座に移すことで、公共料金等の支払いを継続できる
- 「不要なサブスクリプションの解約」:認知症になる前から契約していた「使っていないサブスクリプション(動画配信・音楽配信・雑誌等)」が継続課金されているケースがある。後見人は本人の生活に不要な定期課金を把握して解約の手続きを進めることが望ましい
「認知症の親の財産管理」と家族間の役割分担
認知症の親の日常の財産管理(通帳・クレジットカード・電子マネー等)を家族間で分担する場合の注意点を整理した。
- 「財産管理は一人の家族に集中させない」:通帳・キャッシュカード・クレジットカード等の財産管理を一人の家族に任せると「使い込み・横領」の疑惑が生じやすい。「複数の家族で記録を共有する」「定期的に収支を報告し合う」体制が重要だ
- 「家族間の合意書(書面)」の作成:誰がどの財産を管理するか・いくらまでの支出を認めるか等を「書面(合意書)」で残しておくことで、後で「知らなかった」というトラブルを防げる
- 「後見人が選任された場合は家族の管理は終了」:後見人(家族または専門職)が選任されると、後見人が財産管理の「法的な権限と責任」を持つ。家族が勝手に財産に触れることは後見人の権限侵害になる可能性があるため、後見開始後は後見人に財産管理を一元化する
この記事のまとめ
- 認知症の進行でクレジットカードに関するリスク:暗証番号の忘失・不正請求への気づきにくさ・特殊詐欺被害・無断での多額決済等
- カードの解約・停止:意思能力があれば本人が解約。意思能力がない場合は家族からカード会社に相談。後見人が選任されていれば後見登記証明書を提示して手続き
- 電子マネー等の停止:後見人が各サービスのサポートセンターに連絡して停止・解約・残高払い戻しの手続きを行う
- 被害後の対処:カード会社への報告(返金補償)→警察への被害届(#9110)→消費生活センター(188)への相談で取消しの可能性を確認
- 相談先:カード会社サポートセンター・警察(#9110)・消費生活センター(188)・弁護士(後見申立て・消費者契約法に基づく取消し)
出典:消費者契約法第4条(取消しの要件)・第5条(追認)、特定商取引法、民法第3条の2(意思能力)
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