CO2消火設備は不活性ガス消火設備の一種で、液化二酸化炭素(CO2)を高圧で貯蔵し、防護区画に放出して酸素濃度を下げることで消火します。甲種第3類(以下、甲3)の試験では、CO2消火設備の構造・各部品の機能・高圧式と低圧式の違い・設計濃度の数値が筆記と製図の両方で出題されます。
この記事では、甲3の試験で出るCO2消火設備の知識を整理します。
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CO2消火設備の消火の仕組み。窒息消火と冷却消火
CO2消火設備の消火原理は主に「窒息消火」です。防護区画内の空気に高濃度のCO2を混合して酸素濃度を消火点(約15%)以下に下げることで消火します。副次的に液化CO2が気化する際の吸熱で冷却効果もあります。
CO2消火設備の特徴は次のとおりです。
- 電気絶縁性がある(不導電性)ため、電気設備の火災に使える
- 消火後に残留物がない(CO2は気体)ため、精密機器や電気室に向いている
- 水損がないため、水で消火できない場所(電気室・通信機器室)に使われる
- CO2は人体に有害なため、全域放出方式では人が退避してから放射する必要がある
高圧式と低圧式の違い
CO2消火設備の貯蔵方式は高圧式と低圧式に分かれます。試験では両者の違いが問われます。
| 項目 | 高圧式 | 低圧式 |
|---|---|---|
| 貯蔵温度 | 常温(約20℃) | -18℃以下(冷凍保管) |
| 貯蔵圧力の目安 | 約5〜6MPa(高圧ガス) | 約2MPa |
| 充填比 | 1.5kg/L以下 | 1.34kg/L以下 |
| 用途の目安 | 小〜中規模の防護区画 | 大規模防護区画(大型工場・発電所等) |
| 設備の特徴 | 冷凍機不要。容器本数が多くなる場合がある | 冷凍機が必要。容器数を少なくできる |
充填比の数値(高圧式1.5kg/L以下・低圧式1.34kg/L以下)は試験の頻出数値です。低圧式の方が充填比が低いのは、液化CO2を低温・低圧で保管するため体積に対して充填できる質量が少なくなるためです。
CO2消火設備の主な構成機器
CO2消火設備の系統は次の機器で構成されます。試験では機器の名称・機能・設置位置が問われます。
| 機器名 | 役割 | 設置位置 |
|---|---|---|
| 貯蔵容器 | 液化CO2を高圧で貯蔵する | 貯蔵容器室・防護区画外 |
| 容器弁(開放型・封板型) | 貯蔵容器の出口を開閉する | 貯蔵容器の口部 |
| サイフォン管 | 容器内の液相CO2を取り出すための管 | 貯蔵容器内部 |
| 起動用ガス容器 | 窒素ガスで容器弁を開放する | 貯蔵容器付近 |
| 操作管(起動用配管) | 起動信号(窒素ガス)を容器弁まで伝える配管 | 起動装置から容器弁まで |
| 集合管 | 複数の貯蔵容器をまとめる配管 | 貯蔵容器の出口側 |
| 選択弁 | 複数防護区画がある場合に区画を選択する | 防護区画ごとの分岐部 |
| 安全弁・破裂板 | 配管内が過圧になった場合に安全放出する | 集合管・配管系統の適切な位置 |
| 配管・管継手・ノズル | CO2を輸送する | 集合管から噴射ヘッドまで |
| 噴射ヘッド | CO2を防護区画に均一に放出する | 防護区画の天井付近 |
| 起動装置(手動・自動) | 設備を起動する | 防護区画外の操作しやすい位置 |
| 音響警報装置 | 放射前に警報を鳴らして人を退避させる | 防護区画内外 |
| 非常電源 | 停電時でも設備を動作させる電源 | 設備の電源系統 |
設計濃度の基準。CO2消火設備の3段階
CO2消火設備の全域放出方式では、防護区画内のCO2濃度が設計濃度以上になるよう薬剤量を設計します。
| 対象 | 設計濃度 | 適用の例 |
|---|---|---|
| 一般(通常の可燃物) | 34%以上 | 駐車場・倉庫・機械室等 |
| 深部火災(電気設備等) | 70%以上 | 電気室・変電設備・電算機室等 |
| 特殊可燃物 | 75%以上 | 指定された特殊可燃物の防護区画 |
深部火災が「70%以上」と高いのは、電気設備の内部(配線・ケーブル内)まで消火薬剤が浸透する必要があるためです。表面の火が消えても内部の燃焼が継続することがあるため、高い濃度で確実に消火します。
全域放出方式と局所放出方式の違い
CO2消火設備は、放出の方式によって全域放出方式と局所放出方式に分かれます。
| 方式 | 内容 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 全域放出方式 | 防護区画全体に消火薬剤を放出して区画全体を消火する。区画を密閉できることが条件 | 電気室・変電室・通信機器室・駐車場 |
| 局所放出方式 | 防護対象物の周囲に直接噴射して消火する。区画全体を密閉できない場所でも使える | フライヤー・変圧器・特定の機械設備 |
全域放出方式は区画の密閉性が重要で、開口部がある場合は開口部補正量を加算して薬剤量を増やします(消防法施行規則で規定)。局所放出方式は防護対象物の表面積や周囲の条件から薬剤量を計算します。
安全装置と退避の仕組み
CO2は高濃度で吸入すると窒息の危険があるため、全域放出方式では人が退避してから放射する手順が消防法施行規則で定められています。
- 手動起動装置は防護区画外に設置する(区画内から人が逃げてから操作できるよう)
- 自動起動方式では、感知器作動から放射まで20秒以上の遅延を設ける
- 放射前に音響警報装置を鳴らして区画内の人を退避させる
- 防護区画の出入口に「CO2消火設備放射中」の表示灯を設ける
この「20秒以上」の遅延時間と「放射前に音響警報」の仕組みは試験でよく問われます。
CO2消火設備の設置対象
CO2消火設備を設置しなければならない防火対象物は、消防法施行令第13条・消防法施行規則第20条で規定されています。設置基準の対象となる主な場所は次のとおりです。
- 指定可燃物を貯蔵・取り扱う場所で消防法施行令別表第2に定められた防火対象物
- 高圧の電気設備が設置された場所(変電設備・変圧設備等)
- 飛行機格納庫・車両の格納庫(消防法施行令で規定された用途)
設置対象の詳細は消防法施行令・消防法施行規則で規定されています。試験では設置基準の条文の内容が問われることがあります。
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出典:消防法施行令第13条・消防法施行規則第20条・不活性ガス消火薬剤の規格を定める省令。
作成日:2026年11月5日

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