消防設備士 甲種第3類(以下、甲3)の試験では、設計濃度・充填比・薬剤量計算・噴射ヘッドの設置間隔など、具体的な数値が問われる問題が多く出ます。構造・機能及び工事整備(規格)の10問・基礎的知識(機械)の10問・製図の2問で計算問題や数値問題が集中します。数値を正確に覚えることが高得点への近道です。
この記事では、甲3の試験で出る数値を科目ごとに整理します。試験直前の確認にも使えます。
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CO2消火薬剤の充填比。高圧式と低圧式で異なる
充填比とは、容器の内容積(L)に対して充填する消火薬剤の質量(kg)の比率です。充填比が高すぎると容器内の圧力が上がりすぎるため、規格で上限が定められています。
| 種別 | 充填比 | 貯蔵圧力の目安 |
|---|---|---|
| 高圧式(液化CO2) | 1.5kg/L以下 | 常温で約5〜6MPa(高圧ガス) |
| 低圧式(液化CO2) | 1.34kg/L以下 | -18℃で約2MPa(低温保冷) |
高圧式は常温保管できますが、設備スペースが必要です。低圧式は大型の防護区画に使われ、冷凍機で低温保管します。充填比の数値(1.5と1.34)はそれぞれ異なるため正確に覚えてください。
設計濃度。消火対象と設備の種類で異なる
設計濃度とは、防護区画の空気に対して消火薬剤を混合する濃度のことです。消火対象と設備の種類によって定められています。
CO2消火設備の設計濃度
| 対象 | 設計濃度 |
|---|---|
| 一般(通常の可燃物) | 34%以上 |
| 深部火災(電気室・電算機室等) | 70%以上 |
| 特殊可燃物(指定された可燃物) | 75%以上 |
CO2設計濃度の「34%」「70%」「75%」は、試験の頻出数値です。深部火災は電気設備の内部に浸透させて消火するため、一般より高い濃度が必要です。
粉末消火設備の消火薬剤量(全域放出方式)
粉末消火設備(全域放出方式)の単位体積あたりの消火薬剤量は、防護区画1m³あたりの量で規格に定められています。薬剤の種別(第1種〜第4種)によって異なります。
| 粉末消火薬剤の種別 | 主成分 | 対応火災 | 単位体積あたり薬剤量 |
|---|---|---|---|
| 第1種(炭酸水素ナトリウム) | NaHCO₃ | B・C火災 | 0.60kg/m³以上 |
| 第2種(炭酸水素カリウム) | KHCO₃ | B・C火災 | 0.36kg/m³以上 |
| 第3種(リン酸二水素アンモニウム) | NH₄H₂PO₄ | A・B・C火災(ABC粉末) | 0.36kg/m³以上 |
| 第4種(炭酸水素カリウム+尿素) | KHCO₃+(NH₂)₂CO | B・C火災 | 0.24kg/m³以上 |
第1種は量が多く(0.60kg/m³)、第4種は最も少量(0.24kg/m³)で効果が高いことが特徴です。A火災(普通火災)にも対応できるのは第3種のみです。
CO2消火薬剤量の計算式(全域放出方式)
製図問題で頻出の薬剤量計算を整理します。
全域放出方式のCO2消火薬剤量(基本式):
消火薬剤量(kg)=防護区画体積(m³)×単位体積あたり薬剤量(kg/m³)+開口部補正量(kg)
開口部補正量は、防護区画に開口部がある場合に加算します。補正量は開口部の面積(m²)×係数(kg/m²)で求めます。
試験では防護区画の体積・単位体積あたりの薬剤量・開口部の有無が与えられ、消火薬剤量を計算する問題が出ます。計算自体はシンプルですが、開口部補正を忘れると答えが変わります。
ハロゲン化物消火設備の数値。NOAEL・LOAELとHFC-227ea
ハロゲン化物消火薬剤(HFC系)では、安全性に関する数値が出ます。
| 用語 | 意味 | 代表的な数値(HFC-227ea) |
|---|---|---|
| NOAEL(無毒性影響濃度) | この濃度以下であれば人体への悪影響がない濃度 | 9% |
| LOAEL(最小毒性影響濃度) | この濃度以上で人体への悪影響が確認される最小濃度 | 10.5% |
ハロゲン化物消火設備は有人区域に使用されることがあるため、設計濃度がNOAEL以下であることが求められます。HFC-227ea(七フッ化プロパン)はNOAEL9%以下で設計するのが基本です。試験ではNOAEL・LOAELの意味と代表的な数値が問われます。
噴射ヘッドの設置基準。設置間隔と取付け高さ
甲3で扱う消火設備(CO2・ハロゲン化物・粉末)の噴射ヘッドの設置基準も数値で出題されます。
| 方式 | 主な設置基準 |
|---|---|
| 全域放出方式 | 防護区画の体積・形状に対して均一に消火薬剤を放出できる位置・個数 |
| 局所放出方式 | 防護対象物の各部分から1m以内に噴射ヘッドを設置 |
| 移動式 | ホース接続口からノズルまでのホース長20m以内・防護対象物から歩行距離15m以内に設置 |
移動式の「ホース長20m以内」「歩行距離15m以内」は数値として問われやすい部分です。
起動装置の設置基準
甲3の起動装置に関する数値も出題されます。
| 項目 | 基準値 |
|---|---|
| 手動起動装置の操作部の高さ | 床面から0.8m以上1.5m以下 |
| 自動起動→手動に切り替える遅延時間 | 感知器作動から放射まで20秒以上(人が避難する時間を確保) |
| 音響警報装置の音圧(放射する前) | 防護区画内に音響警報を鳴らして人を退避させてから放射 |
遅延時間「20秒以上」は、全域放出方式で人がいる可能性がある区画での安全措置です。試験で頻出の数値です。
貯蔵容器の規格数値
CO2消火設備の貯蔵容器(高圧ガス容器)に関する規格数値です。
| 項目 | 規格値 |
|---|---|
| 高圧式の充填圧力(35℃換算) | 14.7MPa以上19.6MPa以下 |
| 低圧式の貯蔵温度 | -18℃以下 |
| 低圧式の安全弁作動圧力 | 2.16MPa以下 |
| 低圧式の液面計の設置 | 液面計を設けて充填量を確認できること |
| 充填比(高圧式) | 1.5kg/L以下 |
| 充填比(低圧式) | 1.34kg/L以下 |
高圧式の充填圧力「14.7MPa以上19.6MPa以下」と低圧式の貯蔵温度「-18℃以下」は、設備の違いを理解するための重要な数値です。
基礎的知識(機械)の計算問題
甲3の基礎的知識(機械)では、高圧ガス容器に関する計算が出ます。ボイル・シャルルの法則を使った気体の体積・圧力の計算が典型的な問題です。
ボイル・シャルルの法則:P₁V₁/T₁ = P₂V₂/T₂
P:絶対圧力(Pa)、V:体積(m³)、T:絶対温度(K=℃+273)
試験では「温度が変わったときのガスの体積」「圧力が変わったときの体積」を求める計算問題が出ます。摂氏(℃)ではなく絶対温度(K)で計算することを忘れないようにしてください。
甲3の数値の覚え方
甲3に登場する数値は多いため、まとめて覚えるより「なぜその数値なのか」を理解してから覚えると定着しやすくなります。
- CO2充填比(高圧式1.5、低圧式1.34):高圧式のほうが数値が大きいのは常温保管で体積が大きくなるため
- 設計濃度(34%・70%・75%):一般→深部→特殊の順で高くなる。深部火災は内部に浸透させるため70%必要
- 遅延時間20秒以上:人が避難するために必要な最低限の時間
- 手動起動装置の高さ(0.8〜1.5m):立って操作できる高さの範囲
数値の「理由」を理解すると、試験で初めて見る問題でも判断しやすくなります。
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出典:消防法施行規則・不活性ガス消火薬剤の規格を定める省令・ハロゲン化物消火薬剤の規格を定める省令・粉末消火薬剤の規格を定める省令。
作成日:2026年11月5日

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