受付に断られ続ける人が気づいていない、取り次ぎの判断基準。

営業・テレアポ

受付に断られるのは、あなたのトークが下手だからではありません。

これは言い訳ではなく、私が20年間の営業経験と、約70名の営業チームをマネジメントしてきた中で確信したことです。受付突破ができない人の多くは、「断られる理由」を間違えて理解しています。だから何年練習しても突破率が上がらない。

今回は、受付突破ができない本当の理由と、取り次いでもらうために必要な考え方を書きます。テレアポのBtoB営業をやっている方、インサイドセールスに異動したばかりの方に向けて書いています。

受付突破を「会話の技術」と捉えると、永遠に突破できません。

受付突破を学ぼうとすると、多くの人がトークスクリプトや切り返し話法を探します。「断られたときの切り返し10選」「受付を突破する魔法のフレーズ」といった情報です。

試してみて、うまくいかないと「フレーズが悪かった」「もっといい言い方があるはずだ」と別のフレーズを探す。このループに入ると、受付突破の本質から遠ざかり続けます。

受付突破は会話の技術ではありません。正確に言うと、「取り次ぎの判断材料を正しく渡せるかどうか」の問題です。受付スタッフが何を基準に取り次ぎを判断しているかを理解すると、同じフレーズでも通るかどうかが変わります。

受付スタッフの仕事を、もう一度正確に理解する。

受付スタッフの仕事は、電話を断ることではありません。担当者の時間を守ることです。

担当者が「取り次いでくれてよかった」と感じる電話は通す。「なんでこんな電話を取り次いだんだ」と怒られそうな電話は止める。それだけです。

この基準で考えると、受付スタッフにとって「営業電話かどうか」は重要ではありません。担当者が知りたいと思うかどうかが判断軸です。だから、いくら「少しだけお時間いただけませんか」と丁寧に言っても、担当者が「要らない」と判断しそうな用件は通りません。逆に、明らかに担当者が知りたいと思いそうな情報を持っていれば、多少話し方がぎこちなくても取り次いでもらえる。

これを頭に入れると、「断られた」の意味が変わります。「あなたのトークが嫌いです」ではなく、「この用件で担当者が怒る可能性がある」という受付スタッフの判断です。

受付が取り次ぎを決める、3つの判断基準。

私がマネジメントしていたインサイドセールスのチームで、電話記録を見て気づいたことがあります。取り次いでもらえるケースと断られるケースには、一定のパターンがありました。

受付が取り次ぎを判断するとき、大きく3つの軸で考えていると思います。

担当者が後で怒らないか。

受付スタッフにとって最もリスクが高いのは、担当者に「なんでこんな電話を通したんだ」と言われることです。つまり、担当者が怒らないと確信できる用件かどうかを判断しています。

「御社の△△についてご提案がある」という言い方は弱い。何をどう提案するのか分からない状態では、担当者が怒るかどうか受付には判断できません。「○○の件で、先日の会合の内容を確認したい」や「御社のサービス導入の件でご連絡させていただきました」など、担当者が「確かに聞く必要がある」と判断しそうな具体性があると、受付は動きやすい。

業務に関係がある用件か。

担当者の仕事に直接関係する用件かどうかも判断材料です。採用担当者宛てに採用ツールの話で電話をすれば、受付は「一応確認してみます」と動きます。経理担当者に向けてシステム提案の電話をすれば、「経理の担当に確認します」となる可能性があります。

逆に、役職を指定しない「御社の責任者の方へ」という入り方は弱い。誰宛てかが分からないため、受付は「確認するべき担当者」が浮かばず、取り次ぎを判断できません。

断ることが受付の仕事の範囲か。

受付は、担当者でなければ判断できないことを「担当者が決めてください」という立場に持ち込むことができます。「それは担当者に確認しないと分かりません」という言葉は、受付が責任を持って断るわけにいかない、という意味でもあります。

担当者が判断すべき用件を持ち込むと、受付は「一応確認します」という方向に動く場合があります。受付が受付の権限で断れる用件を持ち込むと、そこで終わります。

よく断られるのは、「受付に断る口実を与えている」からです。

受付突破が苦手な人のトークを聞いていると、受付が断りやすい状況を自分で作っているケースが多い。

典型的なのが「少しだけお時間よろしいでしょうか」という入り方です。「少しだけ」という時間の提示は、受付に「担当者は今忙しい」という断り理由を与えます。「お時間があるときに折り返しご連絡いただけますか」と返せる状況を作ってしまう。

「ご担当者様はいらっしゃいますか」という入り方も受付に決定権を渡す形になります。担当者がいるかどうかを受付が判断する立場に置くと、「現在席を外しております」という答えが返ってきやすい。

「〇〇の件でご確認したい件があるのですが、△△部門のご担当の方はいらっしゃいますか」という形の方が、受付が「それなら担当者に確認してみます」という動き方をしやすい。担当者が「いる・いない」を判断するのではなく、「△△部門の担当者を探す」という動きに変わります。

「誰に繋げばよいか分からないのですが」が通る理由。

私が現場でよく使っていたし、部下にも試させていた入り方があります。「すみません、○○の件でご連絡したいのですが、どなたにお繋ぎすればよいか、ご案内いただけますか」という入り方です。

これが通るのは、受付に「断る」ではなく「案内する」という別の役割を与えているからです。

「断るか通すか」という二択の状況を、「誰に繋げばよいかを教える」という動きに変える。受付スタッフにとって「案内する」は仕事の範囲内です。「○○の件でしたら、△△部の□□が担当しています」という形で情報を提供してくれることがあります。担当者名まで分かれば、次回以降の電話でその名前を出せます。

ただし、この入り方が効くかどうかは相手の会社の文化や受付の経験によっても変わります。「営業電話はお取り次ぎしておりません」という対応マニュアルを徹底している会社では通じません。どんな入り方にも万能はありません。

「断り方のパターン」は、数えると意外と少ない。

受付から断られることが続くと、毎回違う断られ方をしているように感じます。ただ実際に記録を取ってみると、断り方のパターンは限られています。

私がチームの電話記録を見てきた感覚では、大きく分けると以下のパターンに集約されます。

  • 用件を確認してから断るパターン(「担当者に確認してみます」→「やはり結構です」)
  • 用件を聞かずに断るパターン(「営業のお電話はお取り次ぎしておりません」)
  • 資料送付に誘導するパターン(「まずはメールかFAXで資料をお送りください」)
  • 折り返しに誘導するパターン(「担当者から折り返しご連絡します」で実際はかかってこない)
  • 在席確認で終わるパターン(「現在担当者が席を外しております」)

この5パターンの組み合わせで、受付からの断りはほぼ網羅できます。「またこの断り方だ」という感覚が持てるようになると、断られることへの精神的な消耗がかなり減ります。

「新しい断られ方をされた」ではなく「またこのパターンか」と思えるようになることが、受付突破率を上げる前に必要な精神的な土台です。

パターンを知っていても、実際の電話では使えない理由。

受付突破のコツを書いた記事はたくさんあります。「取り次いでもらえる入り方5選」「受付を突破するフレーズ集」という情報は検索すれば出てきます。

それを読んで「なるほど」と思う。でも実際の電話では使えない。なぜか。

人間の脳は、緊張した状態では知識として覚えたことを引き出しにくくなります。特に、「断られるかもしれない」「怒鳴られるかもしれない」という不安がある状態では、思考より先に防衛的な反応が出ます。ゆっくり考えて用件の具体性を出す前に、「少しだけお時間よろしいでしょうか」という口癖が出てしまう。

知識を「使える状態」にするには、身体で反応できるまで繰り返す必要があります。スポーツの練習と同じです。フォームを頭で理解しても、実際の試合では体が覚えた動きしか出ない。

テレアポも同じで、練習でやり続けたことしか本番では出ません。だから練習の量と質が重要です。

受付突破の練習が難しい理由。

テレアポの練習の中でも、受付突破の練習は特に難しい。

社内でロールプレイの相手を頼んでも、受付役が「本気で断る」ことをしてくれないケースが多い。先輩や上司が受付役になると、ある程度でアポが取れる展開にしてくれる。「本番に近い厳しさ」を社内で再現するのは難しい。

また、受付突破で特に難しいのは「断られ続けるストレスへの耐性」です。ロールプレイでは1〜2回断られると終わりますが、本番では同じ日に何十回も断られることがあります。その精神的な疲弊に対する練習も、社内ロールプレイではできません。

受付突破の練習に必要なのは、「本気で断ってくる相手」と「何度でも繰り返せる環境」です。

アポトレの受付突破練習について。

私が作ったAIのテレアポ練習ツール「アポトレ」では、受付突破の練習に特化した設定ができます。

相手の状況として「受付スタッフ(法人向け)」を選ぶと、AIが受付の役を演じます。態度の設定を「受付ブロック型(営業のお電話はお取り次ぎしておりません)」「用件詰め型(どのようなご用件でしょうか、とじっくり確認してくる)」「資料送付誘導型(まずは資料をお送りください)」「折り返し誘導型」などから選べます。

難易度は5段階(超簡単・初級・中級・上級・鬼)で設定でき、「上級」や「鬼」では何度試みてもなかなか突破できません。ただし、突破できなくても練習の価値はあります。「この入り方はこう返される」という体験を積むことが目的です。

音声入力に対応しているので、実際に声に出して練習できます。テキストで打ち込むより、実戦に近い緊張感で練習できます。

受付突破の練習でおすすめの使い方は、最初から「用件詰め型」の中級以上で繰り返すことです。用件を詰められる練習を積むと、用件の具体性を出す入り方が自然にできるようになります。

「時々突破できる」という実感が持てると変わる。

受付突破が苦手な人と、ある程度できる人の違いは技術よりも「実感」にあると私は見ています。

ベテランの営業パーソンが受付突破を怖れない理由は、「この入り方なら時々通ることがある」という実感を持っているからです。断られることへの構えができている。「今回は断られた、次は別の入り方で試してみよう」という切り替えが自然にできる。

この実感は、知識からは生まれません。繰り返しの体験から生まれます。練習で何度も断られ、何度か突破できる経験を積んで初めて「この程度か」という感覚になる。

受付突破ができるようになることは、単にアポ数が増えるだけでなく、テレアポという仕事全体への向き合い方が変わります。「断られる仕事」から「突破できることもある仕事」に変わる。その変化が営業としての成長の起点になることが多い。

知識は練習で初めて使えるものになります。

受付が何を基準に取り次ぎを判断するか。担当者が怒らない用件かどうか。断る口実を与えていないか。パターンを知っているか。

この記事に書いたことはすべて、知識です。読んで「なるほど」と思っても、明日の電話で使えるかどうかは別の話です。

使えるようにするには、練習で繰り返すしかありません。断られながら試して、通ったときの言い方を記憶に焼き付ける。失敗したときの言い方を修正する。その繰り返しです。

受付突破の練習に使える環境として、アポトレを作りました。無料で1日1回練習できます。プレミアム版(月額980円・税込)では回数制限なく繰り返せます。

まずは一度、受付役のAIと話してみてください。最初はうまくいかないと思います。それが現在地の確認です。

▶ アポトレ(AIテレアポ練習ツール)を使ってみる

受付突破が「苦手」から「慣れた」に変わる過程で、テレアポに対する構えそのものが変わっていきます。それはアポ数という数字の前に、仕事の向き合い方として大きい変化です。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

ご質問はメールで。電話・面談はしていません。

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