充填量の確認が必要な理由
消火器は、放射したときに充填量の90%以上を放射できることが消火器の技術上の規格を定める省令(昭和39年自治省令第27号)第9条で定められています。充填量が不足していると、この放射量基準を満たせなくなり、消火能力が低下します。
点検では、充填量が基準値の範囲内にあるかを確認することが機能点検の重要な項目のひとつです。充填量の過不足は外観では判断しにくいため、種類ごとに決まった確認方法を用います。
充填量の許容差は±5%以内
消火器に充填できる薬剤の量には許容差が設けられています。消火器の技術上の規格を定める省令(消火器規格省令)の規定により、充填量の許容差は±5%以内です。
たとえば、規定の充填量が1kgの粉末消火器であれば、950g〜1,050gの範囲が許容されます。この範囲を外れている場合は整備が必要です。
充填量の確認方法は種類によって異なる
消火器の種類によって、充填量の確認方法が異なります。
粉末消火器:質量(重さ)で確認する
粉末消火器は内部が密閉されているため、液面を直接確認できません。消火器本体全体の質量を計測し、空の本体(容器・バルブ等の総質量)との差を計算することで、充填量を確認します。本体に表示されている「総質量」や「薬剤量」と照合します。
水・強化液・泡消火器:液面で確認する
水系の消火器は、バルブを外して内部の液面を直接目視で確認できます。規定の液面位置に達しているかを確認し、不足していれば補充します。
蓄圧式消火器:指示圧力計でも確認する
蓄圧式消火器(蓄圧式粉末・蓄圧式強化液など)には指示圧力計が取り付けられており、容器内の圧力を常時確認できます。ただし、指示圧力計が示すのはガス圧であり、薬剤の充填量そのものではありません。薬剤量は質量または液面で確認し、圧力計はガス圧の確認に使います。
蓄圧式の指示圧力計:緑色範囲が正常
蓄圧式消火器の指示圧力計には、使用圧力範囲を示す緑色の範囲が表示されています。針が緑色の範囲内にあれば、ガス圧は正常です。緑色の範囲を外れている場合(針が低い・高い)は異常であり、整備が必要です。
指示圧力計は外観点検で確認できる項目のひとつです。点検要領では、針が緑色範囲内にあることを目視で確認します。
| 確認内容 | 正常の状態 | 異常の判定 |
|---|---|---|
| 指示圧力計の針の位置 | 緑色の使用圧力範囲内 | 緑色の範囲外(低圧・高圧) |
| 粉末薬剤の充填量 | 規定量の±5%以内 | ±5%を超える過不足 |
| 液系薬剤の液面 | 規定の液面位置 | 液面が不足または過多 |
加圧式と蓄圧式での確認手順の違い
加圧式粉末消火器
加圧式は、容器内にガスが充填されていない(加圧用ガス容器が別に取り付けられている)ため、指示圧力計はありません。充填量は質量計測のみで確認します。外観点検では加圧用ガス容器の封板(破封されていないか)も確認します。
蓄圧式粉末消火器
蓄圧式は、容器内に窒素ガスが充填されています。指示圧力計でガス圧を確認し、さらに質量計測で薬剤量を確認するという2段階の確認が必要です。ガス圧が正常でも薬剤量が不足している場合があるため、どちらも省略できません。
充填量が不足している場合の対処
充填量が許容範囲を外れている場合の対処は、消防設備士乙6の整備の業務範囲内です(消防法第17条の5)。
- 機能点検での放射試験:一定の条件を満たした消火器は機能点検で薬剤を放射して確認します。放射後に薬剤を補充・再充填する整備も乙6の業務です。
- 薬剤が劣化している場合:粉末薬剤で固結や含水率超過(2%超)が確認された場合は、薬剤を全交換します。
- 充填量不足のみの場合:ガス圧は正常で薬剤量のみ不足していれば、薬剤を補充して許容範囲内に調整します。
試験での出題パターン
充填量と放射量に関しては、以下のパターンが繰り返し出題されます。
- 充填量の許容差は「±何%か」を問う問題(正解:±5%)
- 放射量の基準は「充填量の何%以上か」を問う問題(正解:90%以上)
- 指示圧力計の針が緑色の範囲内にある場合の判定(正解:正常)
- 加圧式に指示圧力計がない理由を問う問題(正解:常用圧力がなく内部にガスが充填されていないため)
- 粉末消火器の充填量確認方法を問う問題(正解:質量計測)
まとめ
| 項目 | 基準・内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 放射量の基準 | 充填量の90%以上 | 消火器規格省令第9条 |
| 充填量の許容差 | ±5%以内 | 消火器規格省令 |
| 粉末の確認方法 | 質量計測 | 点検要領 |
| 蓄圧式の圧力確認 | 指示圧力計の針が緑色範囲内 | 消火器規格省令 |
| 充填量不足の対処 | 補充・薬剤交換(乙6の整備業務) | 消防法第17条の5 |
充填量の確認は、消火器が本来の消火能力を発揮できるかを判断する基本的な点検項目です。許容差±5%・放射量90%以上・圧力計の緑色範囲という3つの数値を根拠とともに押さえておきましょう。


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