認知症で急な入院。口座が使えない状況で入院費を払う方法

親が認知症で急に入院することになった。入院費をどうすれば払えるか、急いでお金を用意しなければならないが親の口座が使えない——このような状況は珍しくない。急な入院のとき、家族が取れる現実的な対応策を整理した。

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急な入院時に最初にすること(72時間以内)

親が認知症で急入院したとき、最初の72時間でやるべきことは次の通りだ。

  1. 限度額適用認定証の申請:高額の医療費が発生する前に、病院のソーシャルワーカーまたは市区町村の国民健康保険課(後期高齢者医療担当窓口)で申請する。認定証があれば窓口での支払いが高額療養費の自己負担限度額に自動的に抑えられる
  2. 入院費の支払い方法を病院に確認する:入院時に「どの口座から支払うか」「カード払いができるか」を確認する。多くの病院でクレジットカード払いが可能
  3. 親の口座・代理人カードの確認:代理人カードがすでにあればATMから引き出せる。なければ取引銀行に連絡して緊急対応を相談する

限度額適用認定証で入院費の窓口負担を抑える

75歳以上の方(後期高齢者)は「後期高齢者医療限度額適用認定証」を申請することで、入院・外来での自己負担を高額療養費の限度額内に抑えられる。

自己負担の上限額(月額)は所得によって異なる。住民税非課税世帯(低所得II)の方は月額24,600円、一般の方(現役並み所得者を除く)は月額57,600円が目安だ(2024年時点)。

申請は市区町村の後期高齢者医療担当窓口で行う。入院が決まった段階ですぐに申請する。認定証が届くまで時間がかかる場合は、病院の窓口に「申請中」と伝えると対応してもらえることが多い。

親の口座が使えない場合の入院費の支払い方法

親の口座が凍結されて使えない場合、入院費の支払いには次の方法を検討する。

  • 家族が一時的に立て替える:後から後見人の選任後または相続後に精算する前提で立て替える。立替の記録(領収書・振込記録)を残しておく
  • クレジットカード払い(家族のカード):多くの病院でクレジットカード払いが可能。後日、後見人の権限で本人口座から返金してもらう
  • 銀行窓口への相談:「入院費の支払いのために資金が必要」と取引銀行に事情を説明する。介護・医療目的の緊急引き出しに対応してくれる金融機関もある
  • 法テラスへの相談:収入要件を満たす場合は法テラスで費用立替の相談ができる場合がある

入院が長期化する場合は後見申立てを急ぐ

入院が1か月以上続く場合や、退院後に施設入所が必要な場合は、成年後見申立てを急いで進める必要がある。入院費・施設費用を継続して本人の財産から支払うためには、後見人が必要だ。

「入院中で急いで後見申立てをしたい」と司法書士または弁護士に伝えると、緊急対応で書類準備を進めてもらえることが多い。申立てから選任まで通常2〜4か月かかるが、その間の資金需要には「審判前の保全処分」の活用も相談する。

入院後に必要な書類・手続き

親が入院した後に必要になることが多い書類・手続きは次の通りだ。

  • 傷病手当金・高額療養費の申請(医療費の払い戻し)
  • 介護保険の区分変更申請(入院によって状態が変わった場合)
  • 生命保険・医療保険の入院給付金の請求(指定代理請求人が登録されていれば家族が請求できる)
  • 施設入所の準備・ケアマネジャーへの連絡(退院後の生活の準備)

この記事のまとめ

  • 急入院時は「限度額適用認定証の申請」を最初に行う(入院費の窓口負担を上限額内に抑えられる)
  • 口座が使えない場合は家族の立て替え・クレジットカード払い・銀行への緊急相談で対応する
  • 入院が1か月以上続く場合は法定後見申立てを急いで進める
  • 医療保険の入院給付金は指定代理請求人として登録された家族が請求できる

出典:高齢者の医療の確保に関する法律(後期高齢者医療)、健康保険法・高額療養費制度(限度額適用認定証)、家事事件手続法第105条以下(審判前の保全処分)

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この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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