ネイルサロンの損益分岐点はどこか

飲食店の開業



ネイルサロンの損益分岐点は、月の固定費を貢献利益率で割った売上額です。この水準を超えた売上から初めて利益が出ます。1人経営で固定費が25万円・変動費率20%の場合、損益分岐点売上は約31万円です。単価5,000円なら月63件(1日約2.9件、月22日営業)が黒字の最低ラインになります。

作成:fufumumu_design(ふふ)/作成日:2026年10月21日/数字の出典は各表の下に記載しています。

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損益分岐点の計算式

損益分岐点は、固定費と変動費を使って計算します。

費用の種類 内容 ネイルサロンの主な例
固定費 売上に関わらず毎月かかる費用 家賃・リース料・保険料・スタッフの基本給
変動費 売上に応じて増減する費用 ネイル材料・消耗品・成果報酬型広告費

損益分岐点の計算式は次のとおりです。

損益分岐点売上 = 固定費 ÷ (1 – 変動費率)

ネイルサロンの変動費率は整体院より高い

ネイルサロンはジェル・チップ・ファイル・コットンなどの施術材料を毎回使います。材料費は施術件数に比例して増えるため、変動費として扱います。

変動費率(材料費÷売上)は17〜20%程度が目安です。

出典:日本政策金融公庫総合研究所「小企業の経営指標調査」2025年度・エステ系サービス業(サービス業 業種別)n=105。

計算例(固定費25万円・変動費率20%の場合)

固定費が25万円、変動費率が20%のネイルサロンの損益分岐点売上を計算します。

損益分岐点売上 = 25万円 ÷ (1 – 0.20)= 25万円 ÷ 0.80 = 31.25万円

単価5,000円の施術なら31.25万円÷5,000円=62.5件、月22日営業であれば1日あたり約2.9件施術すれば損益分岐点をクリアできます。

固定費の水準で損益分岐点は変わる

自宅サロンとテナント(借り物件)では家賃の差が大きく出ます。スタッフを雇うと人件費(固定費)がさらに増えます。固定費が上がると損益分岐点も上がり、黒字になるために必要な売上が増えます。

固定費の水準 変動費率 損益分岐点売上 単価5,000円での必要件数/月
15万円(自宅サロン・1人) 20% 約18.8万円 約38件
25万円(テナント・1人) 20% 約31.3万円 約63件
45万円(スタッフ1人雇用) 20% 約56.3万円 約113件
70万円(スタッフ2人雇用) 20% 約87.5万円 約175件

※変動費率20%は目安です。実際の費用構造に応じて計算してください。

スタッフ2人を雇って固定費が70万円になると、月に175件の施術が必要になります。これはネイルテーブルを複数台フル稼働させる規模の店舗が目安です。最初は固定費を小さく抑えた状態で立ち上げ、稼働率が安定してから人員を増やす順序が堅実です。

損益分岐点比率でエステ系の全国データと比べる

損益分岐点比率は「損益分岐点売上 ÷ 実際の売上 × 100」で計算します。この比率が100%なら収支トントン、100%を下回れば利益が出ている状態です。

日本政策金融公庫総合研究所「小企業の経営指標調査」(2025年度・エステ系サービス業n=105)のデータは次のとおりです。

区分 損益分岐点比率
全体平均 113.8%
黒字企業の平均 98.2%
中央値 100.1%

出典:日本政策金融公庫総合研究所「小企業の経営指標調査」2025年度・エステ系サービス業(サービス業 業種別)n=105、n(黒字)=47。調査対象は従業員20名以下の法人または個人企業。

全体平均が113.8%というのは、収支がトントンになる売上(損益分岐点)が実際の売上の113.8%の位置にある状態が平均的、ということです。実際の売上より13.8%多く売ってやっと黒字という水準です。黒字企業に絞ると98.2%で、損益分岐点が実際の売上を下回っており黒字が出ています。中央値が100.1%ということは、調査対象の半分は損益分岐点比率100%以下(黒字)、もう半分は100%超(赤字またはトントン)という分布です。

損益分岐点を下げるための考え方

損益分岐点を低く保つには、固定費を削るか、変動費率を下げるかです。ネイルサロンで実践しやすいポイントを示します。

費用の種類 削減の考え方
家賃 自宅サロン・シェアサロン・2階以上のテナントで家賃を抑える
ネイル材料費 在庫を最小限にする・ロス率を下げる(塗布量の管理)
広告費 予約サイト等の月額固定プランより、来店後の口コミ・紹介を強化する
スタッフ採用のタイミング 稼働率が70〜80%を安定して超えてから採用する

ネイルサロンの材料費(ジェル・チップ等)は、使う量を一定に保つことである程度コントロールできます。仕入れ先の見直しや在庫管理の徹底で、変動費率を数ポイント下げることは現実的です。

自分のサロンの損益分岐点を試算するには

固定費・変動費率・施術単価を入力して、損益分岐点と必要件数を確認するには収支シミュレーターが役立ちます。開業後3年間の収支グラフも確認できます。

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この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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