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移動式クレーンの作業では、運転者と玉掛け者・作業者との連絡を確実にするため、合図の統一が法令で義務付けられています。合図の種類と手合図の意味は試験の頻出テーマです。
合図の義務(クレーン則第71条)
クレーン等安全規則第71条は次のように定めています。「事業者は、移動式クレーンを用いて作業を行うときは、移動式クレーンの運転について一定の合図を定め、合図を行なう者を指名して、その者に合図を行なわせなければならない。」
ポイントは次の3点です。
- 合図の方法を事前に定めること
- 合図者を1人指名すること(複数の合図者が別々に指示を出すと混乱が生じる)
- 指名された合図者が合図を行うこと
合図の種類
現場では状況に応じて以下の合図方法が使われます。
| 種類 | 特徴・使用場面 |
|---|---|
| 手合図 | 目視できる近距離。最も基本的な合図方法 |
| 旗合図 | 遠距離・見通しが悪い場合。赤旗・白旗等を使用 |
| 笛合図 | 音で補助する場合(視線が届かない場面で手合図と併用) |
| 無線合図 | 大型現場・長距離。トランシーバー等を使用 |
主要な手合図の動作と意味
厚生労働省が示す標準的な手合図の主なものを整理します。試験では動作の説明から操作名を答える形式が多く出題されます。
| 操作 | 手合図の動作 |
|---|---|
| 巻き上げ(ホイスト上昇) | 腕を水平に伸ばし、手先を上方向に回す |
| 巻き下げ(ホイスト下降) | 腕を斜め下に伸ばし、手先を下方向に回す |
| 停止 | 手のひらを外側に向けて前方へ押す、または腕を上げる |
| 微動(少しだけ) | 親指と人差し指で小さな間隔を示す |
| ジブ上げ(起こす) | 腕を斜め上方向に向ける |
| ジブ下げ(寝かせる) | 腕を斜め下方向に向ける |
| 旋回(右) | 右腕を右方向に水平に伸ばす |
| 旋回(左) | 左腕を左方向に水平に伸ばす |
| 走行(前進) | 前方に向かって腕を振る |
| 緊急停止 | 両腕を上に伸ばし大きく振る |
合図が困難な環境での対応
騒音・遠距離・視界不良などで手合図が通じない場合は、あらかじめ決めた補助合図(旗合図・無線等)に切り替えます。事前の打ち合わせが必須です。また、合図者が見えなくなった場合には作業を一時中断し、安全を確認してから再開するのが原則です。
試験対策のポイント
- 合図者は1人を指名すること(第71条)
- 手合図の動作と操作名の対応を正確に覚える
- 「事業者が合図の方法を定める義務がある」点を押さえる
- 緊急停止の合図は「両腕を上げて振る」と覚える
出典:クレーン等安全規則(昭和47年労働省令第34号)第71条、安全衛生技術試験協会
合図の統一と周知の重要性
合図は現場によって慣習が異なる場合があります。しかし、クレーン則第71条は事業者が「一定の合図を定める」ことを義務付けており、作業前の打ち合わせで必ず全員が同じ合図を共有しなければなりません。よく見られるトラブルとして、「異なる現場経験を持つ作業者が別々の合図を出して混乱が生じる」というケースがあります。このため、初めて一緒に作業する場合は必ず合図の内容を確認・統一してから作業を開始します。
合図者の役割と位置
合図者は運転者から見えやすく、かつ吊り荷・玉掛け箇所が見える位置に立ちます。合図者の選任ポイントは次のとおりです。
- 玉掛けの状態を直接確認できる位置に立つ
- 運転者とアイコンタクトを取れる位置に立つ
- 吊り荷の下や落下危険範囲に入らない
- 複数人が合図を出すことは原則禁止(1人指名が基本)
無線合図使用時の注意点
無線合図を使う場合、混信防止のため作業専用のチャンネルを設定し、他の通信と明確に区別します。また、バッテリー切れ・電波不良への備えとして、バックアップの合図方法(手合図等)もあらかじめ決めておくことが重要です。
試験頻出の確認ポイント
| チェック項目 | 正解 |
|---|---|
| 合図の方法を定める義務者 | 事業者 |
| 合図者の人数 | 1人(指名制) |
| 根拠条文 | クレーン則第71条 |
| 緊急停止の手合図 | 両腕を上に伸ばして振る |
出典:クレーン等安全規則(昭和47年労働省令第34号)第71条、安全衛生技術試験協会
合図と玉掛け作業の連携
移動式クレーン作業では、玉掛け作業者と合図者・運転者が3者一体で連携することが安全の基本です。特に次の場面では合図の正確さが重要になります。
- 巻き上げ開始時:玉掛けの状態を確認してから合図を出す(スリングのたるみ・フックの外れ止め確認)
- 地切り直後:地面から少し浮かせて荷の安定・吊り重心を確認してから移動の合図
- 荷の着地時:着地後に「微動巻き下げ」でゆっくり降ろし、荷が安定してからスリングを外す
「ちょっと待って(一時停止)」や「もう少し下げて(微動)」などの細かい合図も事前に打ち合わせておくことで、スムーズで安全な作業が実現します。
出典:クレーン等安全規則(昭和47年労働省令第34号)第71条・第72条、安全衛生技術試験協会
合図に関する法令の押さえどころ
クレーン則第71条の合図義務は「事業者」に課せられています。合図者本人ではなく、事業者が合図の方法を定めてその者に行わせる義務を負うという点が試験で問われます。合図者が独自に合図を変えることは認められておらず、必ず事前に定めた方法を使います。また、同じ現場で複数のクレーンが作業する場合は、それぞれのクレーンに対して合図者を指名する必要があります(混信防止)。

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