危険物を貯蔵・取り扱う施設を「製造所等」といい、消防法では製造所1種・貯蔵所7種・取扱所4種の計12種類が定められています(消防法第10条・危険物令第2条)。法令科目では施設の名前と特徴の対応関係が問われます。12種類を一度に覚えようとすると混乱しやすいので、3グループに分けて整理します。
製造所等の12種類一覧
消防法第10条および危険物令第2条に基づく12種類を次の表に示します。
| グループ | 施設の種類 | 簡単な説明 |
|---|---|---|
| 製造所(1種) | 製造所 | 危険物を製造する施設(化学工場・精製所等) |
| 貯蔵所(7種) | 屋内貯蔵所 | 建物の中に危険物を貯蔵(容器に入れた状態) |
| 屋外タンク貯蔵所 | 屋外に設置したタンクで貯蔵(大型石油タンク等) | |
| 屋内タンク貯蔵所 | 建物の内部にタンクを設置して貯蔵 | |
| 地下タンク貯蔵所 | 地下に埋設したタンクで貯蔵(ガソリンスタンドの地下タンク等) | |
| 簡易タンク貯蔵所 | 600L以下の小型タンクで貯蔵(屋外・車庫等) | |
| 移動タンク貯蔵所 | タンクを固定した車両(タンクローリー等) | |
| 屋外貯蔵所 | 屋外の場所で危険物を容器に入れて貯蔵(ドラム缶等) | |
| 取扱所(4種) | 給油取扱所 | ガソリンスタンドなど、車両等に直接給油する施設 |
| 販売取扱所 | 危険物を容器入りのまま販売する施設(第一種・第二種の区別あり) | |
| 移送取扱所 | 配管で危険物を移送する施設(パイプライン) | |
| 一般取扱所 | 製造所・貯蔵所・給油取扱所・販売取扱所・移送取扱所以外で危険物を取り扱う施設 |
製造所の特徴
製造所は危険物を「製造」する施設です。危険物を原料または中間物として化学反応等を行い、危険物または危険物以外の物を製造する施設が対象です。
製造所には位置・構造・設備の基準が設けられており、特に保安距離・保有空地・防火壁・排出設備などの設置が義務付けられます。保安距離は住宅から10m以上、高圧架空電線から3m以上などが基本の数値です(危険物令第9条)。
貯蔵所の7種類の覚え方
貯蔵所の7種類を混同しないために、各施設の特徴を整理します。
屋内貯蔵所と屋外貯蔵所の違い
「屋内」と「屋外」は保管する場所の違いです。屋内貯蔵所は建物内部、屋外貯蔵所は建物の外です。ただし、どちらも「タンク」ではなく容器(ドラム缶・缶・瓶など)に入れた状態で危険物を置きます。
屋外貯蔵所で貯蔵できる危険物は限られています。第4類では第2石油類(非水溶性)・第3石油類(非水溶性)・第4石油類・動植物油類などです。ガソリン(第1石油類)は屋外貯蔵所では貯蔵できません(危険物令第26条)。
タンク貯蔵所3種類の区別
屋外タンク・屋内タンク・地下タンクは設置場所で区別します。名前のとおり屋外に設置したものが屋外タンク、建物内部に設置したものが屋内タンク、地下に埋設したものが地下タンクです。
ガソリンスタンドで使われるのは地下タンク貯蔵所です。地下に埋めたタンクにガソリン・灯油・軽油を貯蔵して、給油取扱所のポンプで汲み上げて給油します。
簡易タンク貯蔵所の容量制限
簡易タンク貯蔵所は1基あたり600L以下のタンクを使用します(危険物令第19条)。同一場所に設置できるタンクは3基以内、設置できる危険物の量は600L×3基=1,800L以内です。第4類の中で指定できる品目も限られています。
移動タンク貯蔵所の位置づけ
タンクローリー等は走行する車両ですが、危険物施設として「移動タンク貯蔵所」に分類されます。常置場所の市町村等から許可を受けた施設です。移動しながら危険物を運ぶことを「移送」といい、危険物取扱者の乗車義務があります。
取扱所の4種類の特徴
給油取扱所
給油取扱所はガソリンスタンドが代表例です。自動車や航空機等に給油するための危険物を取り扱う施設です。給油取扱所では原則として固定した給油設備(給油ポンプ等)を使って直接給油を行います。給油取扱所は取扱所の中でも基準が特に細かく設定されており、試験でよく問われます。
販売取扱所の2種類
販売取扱所は危険物を容器に入れた状態で販売する施設です。第一種(指定数量の倍数が15以下)と第二種(指定数量の倍数が15を超え40以下)に分かれます。ガソリンや灯油を容器販売するホームセンターの危険物販売コーナーが典型例です。
移送取扱所
移送取扱所は配管を使って危険物を移送する施設(パイプライン)です。タンクローリーによる移送(移動タンク貯蔵所)とは区別されます。試験では「移動タンク貯蔵所で危険物を移送すること→移送。配管で移送する施設→移送取扱所」という区別が問われます。
一般取扱所
一般取扱所は製造・貯蔵・給油・販売・移送のいずれにも当てはまらない施設のまとめです。ボイラーで重油を使用する工場、金属洗浄で第4類を使用する工場、乾燥設備で危険物を取り扱う工場などが一般取扱所に分類されます。
許可申請の窓口
製造所等を設置するには市町村長等の許可が必要です(消防法第11条)。申請窓口は施設の場所によって異なります。
- 指定数量の倍数が一定以上で消防本部等が置かれた市町村の施設:市町村長
- 消防本部等が置かれていない市町村の施設:都道府県知事
- 移動タンク貯蔵所・移送取扱所で複数の市町村にまたがる施設:都道府県知事(または総務大臣)
試験では「許可申請の窓口は市町村長等」という大まかな理解で対応できます。移動タンク貯蔵所は走行するため常置場所の市町村等が窓口です。
各施設の保安距離・保有空地の要否
試験では「どの施設に保安距離・保有空地が必要か」も問われます。保安距離は施設周囲の住居や建物との距離、保有空地は施設の周りに設ける空地です。
| 施設の種類 | 保安距離 | 保有空地 |
|---|---|---|
| 製造所 | 必要 | 必要 |
| 屋内貯蔵所 | 必要(一部除外あり) | 必要 |
| 屋外タンク貯蔵所 | 必要 | 必要 |
| 屋内タンク貯蔵所 | 不要 | 不要 |
| 地下タンク貯蔵所 | 不要 | 不要 |
| 簡易タンク貯蔵所 | 不要 | 必要 |
| 移動タンク貯蔵所 | 不要 | 不要 |
| 屋外貯蔵所 | 必要(一部除外あり) | 必要 |
| 給油取扱所 | 不要 | 不要 |
| 販売取扱所 | 不要 | 不要 |
| 移送取扱所 | 必要 | 不要 |
| 一般取扱所 | 必要(製造所に準じる) | 必要(製造所に準じる) |
地下タンク貯蔵所・屋内タンク貯蔵所・給油取扱所・販売取扱所・移動タンク貯蔵所は保安距離・保有空地とも不要です。これらはタンクが地中や建物内に収まっていたり、形態が特殊だったりするため基準が異なります。
試験でよく出る誤りのパターン
| 誤りの選択肢(例) | 正しい知識 |
|---|---|
| 「貯蔵所は6種類ある」 | 貯蔵所は7種類(屋内・屋外タンク・屋内タンク・地下タンク・簡易タンク・移動タンク・屋外) |
| 「タンクローリーは移送取扱所である」 | タンクローリーは移動タンク貯蔵所。移送取扱所はパイプライン施設です |
| 「ガソリンは屋外貯蔵所で貯蔵できる」 | ガソリン(第1石油類)は屋外貯蔵所では貯蔵できません |
| 「地下タンク貯蔵所には保有空地が必要」 | 地下タンク貯蔵所は保安距離・保有空地とも不要です |
| 「簡易タンク貯蔵所は1基あたり1,000L以下」 | 簡易タンク貯蔵所は1基あたり600L以下(同一場所3基まで) |
試験対策のポイント
12種類の施設の問題は次の3点が核心です。
第1に12種類の名前と数(製造所1・貯蔵所7・取扱所4)。「貯蔵所は何種類か」という問いが出ます。
第2に各施設の用途と代表例の対応。「ガソリンスタンドの地下タンク→地下タンク貯蔵所」「給油を行う施設→給油取扱所」など。
第3に移動タンク貯蔵所と移送取扱所の区別。両方に「移送」の文字が入るため混同されやすいですが、移動タンク貯蔵所は「貯蔵所(タンクローリー)」・移送取扱所は「取扱所(パイプライン施設)」です。
保安距離が必要な施設と不要な施設
保安距離と保有空地の規定は施設の種類によって異なります。グループに分けて整理すると試験問題を解きやすくなります。
保安距離・保有空地の両方が必要な施設の代表例は、製造所・屋内貯蔵所・屋外タンク貯蔵所・屋外貯蔵所・一般取扱所です。
保有空地のみ必要な施設:屋内タンク貯蔵所(大型のもの)・移送取扱所。
安全距離・保有空地のどちらも不要な施設:地下タンク貯蔵所・移動タンク貯蔵所・給油取扱所・販売取扱所(第1種・第2種)。
試験では「地下タンク貯蔵所に保安距離は必要か」「給油取扱所(ガソリンスタンド)に保有空地は必要か」という問いが頻出です。答えはどちらも不要です。
保安距離の数値の覚え方
保安距離で最もよく出る数値は「特別高圧架空電線への距離」と「住居・学校等への距離」です。特別高圧架空電線への距離は電圧によって変わります。35,000Vを超えるものへの距離は5m以上、35,000V以下のものへは3m以上です(危険物令第9条)。
住居・学校・病院・劇場等多くの人が集まる施設への保安距離は「住居へは10m以上・多数人が集まる施設へは30m以上・高圧ガス施設・火薬庫へは20m以上」という3段階で覚えます。
「保安距離の対象となる建物から施設の端部まで測る」という点も確認しておきます。試験では「施設から学校まで30m以上の距離を確保しなければならない」という形で出題されます。
製造所等の区分ごとの基準の違いを整理する
製造所等(製造所・貯蔵所・取扱所)はそれぞれ目的が異なるため、基準が異なります。試験で「○○貯蔵所には保安距離が必要か」という問いに正確に答えるためには、施設区分ごとの適用基準を整理しておく必要があります。
保安距離・保有空地の要否を施設区分で整理すると、製造所・一般取扱所には両方が必要、屋内貯蔵所・屋外貯蔵所・屋外タンク貯蔵所には両方が必要、屋内タンク貯蔵所・地下タンク貯蔵所・移動タンク貯蔵所・給油取扱所・販売取扱所には保安距離が不要となっています。
出典:消防法第10条・第11条・危険物の規制に関する政令第2条・第19条・第26条(総務省・消防庁)


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