危険物取扱者 乙4 AI問題集(無料で150問)
法令・物理化学・性質消火の3科目、確認済みの問題150問を無料で繰り返し解けます。解説には消防法・危険物の規制に関する政令の条番号を記載。
危険物乙4の「基礎的な物理学および基礎的な化学」(以下、物理化学)は35問中10問を占め、科目全体の29%にあたります。法令・性質消火と比べると計算問題が含まれる点が特徴ですが、出題されるテーマは6種類に絞られます。パターンごとに根拠と解き方を押さえれば、10問中6問以上(60%以上)の正解は十分に狙えます。この記事では、物化で出題頻度の高いテーマを条文・化学の根拠と合わせて整理します。
物理化学の出題テーマは6つに集約される
消防試験研究センターが公表する試験の出題範囲(危険物取扱者試験受験案内)をもとにすると、物化10問は次の6テーマに分かれます。
| テーマ | 問数目安 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 燃焼の基礎 | 1〜2問 | 三要素・燃焼の種類・完全/不完全燃焼 |
| 引火点と発火点 | 1〜2問 | 定義の違い・代表的な数値 |
| 燃焼範囲(爆発範囲) | 1〜2問 | 上限・下限・範囲が広い物質の特徴 |
| 蒸気比重・液比重 | 1問 | 空気・水との比較・危険性との関係 |
| 静電気・酸化還元 | 1〜2問 | 静電気の発生条件・酸化の定義 |
| 計算問題 | 1〜2問 | 蒸気比重の計算・指定数量倍数の計算 |
燃焼の三要素を理解すると消火の原理もわかる
燃焼が起こるには、①可燃物、②酸素供給体(空気中の酸素)、③点火源(熱源)の3つが同時に必要です。消火とはこのいずれかを取り除く行為です。
- 可燃物を取り除く:除去消火(燃料を断つ)
- 酸素を遮断する:窒息消火(泡・CO2・粉末消火剤の原理)
- 温度を下げる:冷却消火(水の原理)
燃焼の種類は4つあります。第4類危険物(引火性液体)が関係するのは主に「蒸発燃焼」です。液体の表面から発生した蒸気が燃焼します。
| 燃焼の種類 | 説明 | 代表的な物質 |
|---|---|---|
| 蒸発燃焼 | 液体・固体が蒸発して気体となり燃焼する | ガソリン・灯油・ナフタレン |
| 分解燃焼 | 加熱により分解して可燃性ガスを発生する | 木材・石炭・プラスチック |
| 表面燃焼 | 固体の表面が直接燃焼する | 木炭・コークス・金属 |
| 自己燃焼(内部燃焼) | 物質内部に酸素を含み、自身が燃焼する | 火薬・ニトロセルロース |
完全燃焼と不完全燃焼の違いも確認しておきます。炭素(C)が完全燃焼すると二酸化炭素(CO₂)が生成されます。酸素が不足すると不完全燃焼となり、有毒な一酸化炭素(CO)が発生します。これは閉鎖空間での火災が特に危険な理由の一つです。
引火点と発火点は定義がまったく異なる
試験で頻出の「引火点」と「発火点」は、外部からの点火源の有無で区別します。
引火点とは、液体の表面が可燃性蒸気を発生させ、外部から点火源を近づけたときに着火する最低の液温です。外部の点火源が必要な点が特徴です。ガソリンの引火点は−40℃未満であり、常温(20℃程度)でも蒸気を発して引火の危険があります(JIS K 2202)。
発火点とは、外部から点火源を与えなくても、物質が自然に発火する最低温度です。二硫化炭素の発火点は90℃と非常に低く、温水管や蒸気管(80〜100℃程度)に近づけると点火源なしで発火する危険があります。
| 用語 | 定義 | 代表例と値 |
|---|---|---|
| 引火点 | 点火源ありで着火する最低液温 | ジエチルエーテル −45℃、ガソリン −40℃未満、エタノール 13℃ |
| 発火点 | 点火源なしで自然発火する最低温度 | 二硫化炭素 90℃、ガソリン 約300℃ |
引火点が低いほど危険性が高く、特殊引火物(引火点−20℃以下または沸点40℃以下)が第4類の中で最も危険な品名です。
燃焼範囲は上限と下限の両方が試験に出る
燃焼範囲(爆発範囲)とは、空気中の可燃性蒸気の濃度が、燃焼を持続できる濃度の範囲です。単位はvol%(体積百分率)で表します。燃焼範囲の下限値より薄くても、上限値より濃くても燃焼は起きません。
| 物質 | 燃焼範囲(vol%) | 特徴 |
|---|---|---|
| ガソリン | 1.4〜7.6 | 下限値が低い=微量の蒸気でも引火 |
| 灯油 | 1.0〜6.0 | 常温では蒸気量が少ないが霧状化で危険 |
| アセトン | 2.5〜12.8 | 上限が高い・水溶性 |
| エタノール | 3.3〜19 | 上限値が高い・水溶性 |
| 水素(参考・第4類ではない) | 4〜75 | 燃焼範囲が非常に広く爆発性が高い |
燃焼範囲が広いほど、また下限値が低いほど引火・爆発の危険が高いといえます。ガソリンは下限値1.4 vol%と非常に低いため、ごく微量の蒸気が漏れるだけで引火の可能性があります。これがガソリンスタンドでの静電気対策が義務付けられている理由です。
蒸気比重と液比重は危険性の判断基準になる
第4類危険物を扱うときに重要な物性として、蒸気比重と液比重があります。
蒸気比重は、空気(=1)と比較したときの蒸気の重さの比率です。多くの第4類危険物の蒸気比重は1を超えるため、蒸気は空気より重く、低い場所に滞留します。地下室・溝・タンクの底などにたまりやすく、引火・爆発の起点になります。
蒸気比重の計算式:蒸気比重 = 分子量 ÷ 29(29は空気の平均分子量)
例:オクタン(C₈H₁₈)の分子量 = 12×8 + 1×18 = 114 → 蒸気比重 ≒ 114 ÷ 29 ≒ 3.9(空気の約4倍の重さ)
液比重は、水(=1)と比較した液体の密度です。ガソリンの液比重は0.65〜0.75であり、水より軽いため水面に浮かびます。ガソリン火災に棒状の水をかけると、水面に浮いたガソリンとともに火が広がる危険があります。これが第4類危険物の消火に棒状注水が禁止されている根拠の一つです。
| 物質 | 液比重(水=1) | 蒸気比重(空気=1) |
|---|---|---|
| ガソリン | 0.65〜0.75(水より軽い) | 3〜4(空気より重い) |
| 灯油 | 0.78〜0.80(水より軽い) | 約4.5(空気より重い) |
| 二硫化炭素 | 1.26(水より重い) | 約2.6(空気より重い) |
| エタノール | 0.79(水より軽い) | 約1.6(空気より重い) |
静電気は流動・噴出・摩擦で発生し、第4類の点火源になる
非水溶性の液体危険物が配管内を流れたり、ノズルから噴出したりすると、液体と管壁の摩擦によって静電気が発生します。静電気が放電すると引火の点火源となります。対策は次の3つです。
- 接地(アース):導電体を地面につないで電荷を逃がす
- 流速の制限:流れを遅くして静電気の発生量を抑える
- 加湿:空気中の水分を増やして電荷を逃げやすくする
移動タンク貯蔵所(タンクローリー)から危険物を荷卸しする際は、ホースを接続する前に車体を接地して静電気を逃がすことが義務付けられています(危険物の規制に関する規則第40条の3等)。
酸化と還元は定義を混同しないこと
酸化・還元の定義は複数ありますが、試験では酸素・水素に着目した定義が出やすいです。
| 用語 | 酸素の観点 | 水素の観点 |
|---|---|---|
| 酸化 | 酸素を得る(例:炭素 + 酸素 → CO₂) | 水素を失う |
| 還元 | 酸素を失う(例:酸化銅 + 炭素 → 銅 + CO₂) | 水素を得る |
燃焼は急激な酸化反応の一種です。鉄のさびも酸化反応ですが、発熱が緩やかな点が燃焼とは異なります。また、酸化と還元は必ず同時に起こります(酸化剤が還元され、還元剤が酸化される)。
計算問題は2種類のパターンを押さえる
物化の計算問題として出題頻度が高いのは、①蒸気比重の計算と②指定数量倍数の計算(法令寄りですが物化でも出題されます)の2つです。
蒸気比重の計算:蒸気比重 = 分子量 ÷ 29(前述)
指定数量倍数の計算:複数の危険物を貯蔵する場合、各危険物の量を各指定数量で割り、すべての商を合計します。合計が1以上になると消防法の規制対象(消防署への許可申請が必要)になります(危険物の規制に関する政令第1条の11)。
例:ガソリン100L(指定数量200L)と軽油500L(指定数量1,000L)を同一場所で取り扱う場合
倍数 = 100÷200 + 500÷1,000 = 0.5 + 0.5 = 1.0 → 1以上のため消防法の規制対象
また、体積と温度の関係(液体の熱膨張)も出題されることがあります。危険物令では容器への液体の充填は容量の一定割合(90〜98%以内)とする規定があります。
物化の問題で間違いやすいポイント
物化10問の中で受験者が間違いやすいポイントをまとめます。
引火点と発火点の取り違え:「外部から点火源を与えたときに」という条件が引火点の定義です。発火点は「点火源なしで自然発火する」最低温度です。選択肢の文章で「点火源の有無」がどちらを指しているかに注意します。
燃焼範囲の「広い=危険」の意味の誤解:燃焼範囲が広いほど、さまざまな濃度で燃えやすいため危険性が高いといえます。ただし「引火点が低い=燃焼範囲が広い」は必ずしも成立しません。燃焼範囲の下限値が低いこととは別の概念です。
蒸気比重の計算で分子量を間違える:分子量の計算は「C=12・H=1・O=16・S=32・N=14」を使います。メタン(CH₄)は12+1×4=16、プロパン(C₃H₈)は12×3+1×8=44です。試験では分子式が与えられることが多いので、各元素の原子量を覚えておきます。
酸化と還元の混同:「酸素を得る=酸化」「酸素を失う=還元」が基本です。燃焼は可燃物が酸素を得る(酸化される)急激な反応です。試験では「次の反応のうち酸化はどれか」という選択肢問題が出やすいです。
物化を短期間で得点源にするには
物化の出題テーマは燃焼・引火点・燃焼範囲・蒸気比重・静電気・酸化還元・計算問題の7つに集約されます。これらを1テーマずつ確認してから問題演習に移ると、短期間でも得点が安定します。特に計算問題は、式(蒸気比重=分子量÷29・指定数量倍数の合算)と例題をセットで覚え、数字を変えて解き直すことで確実に正解できるようになります。
物化は暗記より理解が重要な科目です。燃焼の三要素を起点に「消火=三要素のどれかを断つ」という原理を理解すれば、消火方法の問題も法令や性消でも応用できます。法令・性消と合わせて全科目60%以上を目指す際、物化は理解が進むと得点が安定しやすい科目です。
物化10問の攻略まとめ
物理化学は法令・性消と比べて暗記の要素が薄く、理解を問う問題が多い科目です。燃焼の三要素・引火点と発火点の違い・燃焼範囲の意味・蒸気比重の計算を理解すれば、10問中6問(60%)以上の正解は十分に狙えます。計算問題は式の意味を理解してから数字を当てはめる練習をすることで、確実に得点できるようになります。全科目で60%以上の正解が合格の条件です(消防試験研究センター「危険物取扱者試験受験案内」)。
出典:消防試験研究センター「危険物取扱者試験受験案内」(2026年度版)、危険物の規制に関する政令第1条の11・第40条の3等、JIS K 2202(ガソリン)・JIS K 2203(灯油)・JIS K 2204(軽油)


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