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二級ボイラー技士の取扱い科目で頻繁に問われるのが、点火・起動の手順と各ステップが必要な理由です。「なぜその順序なのか」「なぜそのタイミングなのか」を理解していれば、問題文を読んでも答えが導けます。この記事では、点火前のチェックからプレパージ・点火・送気までの一連の流れを、理由とセットで解説します。
点火前チェックリスト:7項目を順番に確認する
ボイラーを点火する前には、次の7項目を決められた順序で確認します。チェックを怠ると、点火失敗や爆発事故につながります。
| 確認項目 | 確認内容と理由 |
|---|---|
| 水位の確認 | ガラス水面計で缶水が安全低水面以上にあることを確認する。水位不足のまま点火すると伝熱面が過熱し空だき事故になる。 |
| 水面計の機能確認 | コック操作で蒸気・水の流れを確認する。詰まりがあると水位を正しく表示しない。 |
| 圧力計の確認 | 指針が0を指していること・コックが開いていることを確認する。 |
| 各バルブ・コックの開閉 | 給水弁・主蒸気弁・ドレン弁・燃料弁が正しい開閉状態にあることを確認する。 |
| 燃料系統の確認 | 燃料タンクの残量・燃料バルブの開閉・重油の場合は油温(予熱状態)を確認する。 |
| 通風装置(ダンパー)の確認 | 送風機の動作・ダンパーが開いていることを確認する。プレパージを行うための準備。 |
| 安全装置の確認 | 低水位遮断装置・高圧遮断装置・フレームセーフガードが正常に機能することを確認する。 |
プレパージは炉内容積の4〜5倍の空気量が目安
プレパージとは、点火前に送風機(ファン)で燃焼室・煙道内を強制的に換気する作業です。前回の運転で残った可燃性ガスや、燃料漏れによるガスが炉内に残っていると、点火の瞬間に爆発(逆火・バックファイヤー)が起きる危険があります。
プレパージの空気量の目安は炉内容積の4〜5倍以上です。たとえば炉内容積が1m³であれば、4〜5m³以上の空気を送り込んで換気します。ダンパーを全開にして送風機を運転し、十分な換気時間(一般に30〜60秒以上)を確保してから点火に進みます。
ガス焚きボイラーでは、プレパージが特に重要です。都市ガス(13A)の爆発範囲は5〜15%、LPGのプロパンは2.2〜9.5%と爆発下限界が低く、わずかな漏れでも点火時の爆発リスクが高まります。
点火から昇圧までの手順
プレパージが終わったら、次の手順で点火・昇圧します。
- 点火装置(電気火花等)を作動させ、バーナーに点火する。フレームセーフガードが炎を検出したことを確認する。
- 炎が安定していることを確認する。炎の色・形が正常(青〜橙色の安定した炎)であることをのぞき窓から確認する。
- 徐々に燃焼量を上げ、缶内の圧力を上昇させる。急激な昇圧は禁物。
- 昇圧中は定期的に水位・圧力計・燃焼状態を確認する。各部に異音・振動・漏れがないことも確認する。
- 蒸気圧力が所定の圧力に達したら、主蒸気弁を徐々に開いて送気を開始する。
急激な昇圧を避ける理由:熱応力によるひび割れ防止
ボイラーを急激に加熱すると、高温部分と低温部分の間で大きな温度差が生じます。金属は温度が高い部分ほど膨張しようとしますが、周囲の低温部分がそれを拘束するため、内部に大きな熱応力(引張・圧縮力)が発生します。繰り返されるとひび割れ(熱疲労)につながります。
特に冷えた状態(冷炉)からの起動では、ボイラー全体が常温から高温になるまでの温度変化が大きいため、徐々に燃焼量を上げて均一に温める「温め運転(ウォーミングアップ)」が重要です。
主蒸気弁を徐々に開く理由:ウォーターハンマーの防止
起動時、主蒸気管の内部には大量のドレン(凝縮水)が溜まっています。この状態で主蒸気弁を急開すると、勢いよく流れ込んだ蒸気がドレンに衝突し、「ウォーターハンマー(水撃)」が発生します。ウォーターハンマーは配管・フランジ・弁体を破損させる原因になります。
対策として、主蒸気弁はまず少しだけ開いてドレンを排出し(ドレン抜き)、配管が温まってドレンが蒸発してから徐々に全開にします。
点火失敗時の対応:ポストパージを行う
点火操作を行っても炎が着火しなかった場合(点火失敗)、燃焼室に未燃の燃料ガスが充満している可能性があります。この状態でもう一度点火すると爆発の危険があります。
点火失敗後の対応手順:
- 燃料弁を閉じる(燃料の供給を止める)。
- ポストパージを行う:送風機で炉内・煙道内の残留ガスを排出する。プレパージと同様に炉内容積の4〜5倍の空気量を目安に換気する。
- 未着火の原因(燃料圧力・点火電極の汚れ・バーナーノズル詰まりなど)を確認・修正する。
- 原因を解消してから再度プレパージ→点火の手順を行う。
試験頻出ポイントと誤りやすい問題
- プレパージの目的は「残留可燃性ガスの排出」。「炉内を温める」ではない(そちらは暖機運転)。
- 点火失敗後は「すぐに再点火しない」が正解。ポストパージを先に行う。
- 主蒸気弁の開き方は「急開ではなく徐々に開く」。急開するとウォーターハンマーが発生する。
- 急激な昇圧を避ける理由は「熱応力によるひび割れ防止」。「燃費節約」ではない。
- プレパージの空気量の目安は炉内容積の「4〜5倍以上」。「1〜2倍」ではない。
この記事のまとめ
- 点火前には7項目(水位・水面計・圧力計・バルブ・燃料・ダンパー・安全装置)を順番に確認する。
- プレパージは炉内容積の4〜5倍の空気量を目安に残留ガスを排出する。
- 急激な昇圧は熱応力によるひび割れの原因になるため、徐々に燃焼量を上げる。
- 主蒸気弁は徐々に開く。急開するとウォーターハンマーが発生する。
- 点火失敗後はポストパージを行ってから原因を確認し、再起動する。
出典:安全衛生技術試験協会 公表試験問題・ボイラー及び圧力容器安全規則(e-Gov法令検索)
作成:fufumumu_design|更新:2026年11月
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