「また忘れた……」と一日に何度もため息をついている方、いませんか? 鍵・スマホ・財布はセットで忘れ、会議の資料を家に置いてきて、提出期限もうっかり見落とす。そんな「忘れ物の多さ」は、ADHDグレーゾーンの方がよく口にする困り事のひとつです。
「気をつければいい」「メモすればいい」と言われても、そのメモ自体を見返すのを忘れてしまう——そういった経験がある方に、今日は少し違う角度からこの問題を考えてみたいと思います。
忘れるのは「だらしない」からじゃない
忘れ物が多いことを、自分の性格や意志の問題だと感じている方は多いのではないでしょうか。でも、ADHDグレーゾーンの方の場合、ワーキングメモリ(作業記憶)の働きが弱い傾向があると言われています。ワーキングメモリとは、目の前のことをこなしながら「あとでやること」を頭の中に保持しておく機能のこと。これがうまく働きにくいと、頭では「持っていかなきゃ」と思っていても、玄関に着いた瞬間には抜け落ちてしまうのです。
「覚えようとする力」より「覚えなくていい仕組み」を作るほうが、グレーゾーンの方には合っていることが多いようです。
「見える化」と「動線」がカギになることが多い
忘れ物対策として多くのグレーゾーンの方が効果を感じているのが、「持ち物を視界に入れる」という工夫です。たとえば、翌日必要なものを玄関ドアの前に前日夜のうちに置いておく。バッグの外ポケットに確認リストを貼っておく。スマートフォンのロック画面に「○○持った?」と表示されるようにする——こうした「目に入らないと忘れる」という特性に合わせた工夫です。
また、「いつも同じ場所に置く」というルール作りも有効と言われています。ただし、このルールを守り続けること自体が難しいと感じる方も多いので、「定位置に戻しやすい仕組み」を先に整えるのがポイントです。たとえば、鍵は玄関のドアノブに引っ掛けるフックを取り付けて、「そこ以外に置く選択肢をなくす」くらいの割り切りが合っていることもあります。
スマートタグの活用を試してみた人の声
近年、財布や鍵にGPSタグ(AirTagなど)を取り付けて「どこに置いたか」をスマートフォンで確認できるアイテムを使っている方が増えています。「どんなに工夫しても置き忘れる」という方にとっては、そもそも「探す手間を減らす」という発想の転換が楽になるきっかけになることもあるようです。
完璧に忘れない人間になろうとするより、「忘れても取り戻せる仕組み」を持つほうが、グレーゾーンの日常には馴染みやすいかもしれません。
「チェックリスト疲れ」を防ぐために
「チェックリストを作ったけど、そのリストを見るのを忘れる」という声はよく聞かれます。リストが機能するには、「確認するタイミングが習慣の流れの中に組み込まれていること」が大切です。たとえば、毎朝コーヒーを入れる間にリストを確認する、靴を履く前に玄関に貼ったリストを見る、といったように、すでにある習慣とセットにする(ハビットスタッキングと呼ばれる考え方)と継続しやすいと言われています。
チェックリスト自体は紙でもアプリでも、「自分が一番目にする場所にある形式」が合っています。デジタルが苦手な方は付箋一枚でも十分です。
動き出せない瞬間に「いっぽ」を試してみてください
やらなければいけないことが頭にあるのに、手が止まる。そういう瞬間のための、AIタスク分解ツールを作りました。「今すぐできる最初の一歩」だけをAIが1つ出してくれる、それだけのシンプルな設計です。ADHDグレーゾーンの方に使ってもらうことを想定しています。無料で始められます。
「また忘れた」を責めるより、次の仕組みを一つ足す
忘れ物をするたびに「またやってしまった」と自分を責めてしまう方は少なくありません。でも、グレーゾーンの特性がある場合、意志の力だけで忘れ物をゼロにしようとするのはとても消耗します。
「忘れた→仕組みが足りなかっただけ」と考えて、小さな工夫を一つ追加してみる。そのくり返しが、少しずつ日常を楽にしていくことにつながるのではないかと思います。完璧じゃなくていい。昨日より少し忘れにくくなれば、それで十分です。


コメント