要支援者のケアマネジメントは、地域包括支援センターが担う「介護予防支援」として位置づけられていますが、居宅介護支援事業所への委託も認められています。委託の仕組み・要件・収益への影響を解説します。
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- この記事で分かること
- 介護予防支援と居宅介護支援の違い
- 居宅介護支援事業所への委託(指定介護予防支援事業者への指定)
- 委託による介護予防ケアマネジメントの報酬
- 介護予防支援の担当件数と逓減制
- 総合事業(第1号介護予防支援事業)との関係
- 令和6年改正:指定介護予防支援事業者の指定取得の手続き
- 地域包括支援センターとの関係と委託契約の考え方
- 要支援者の担当でよくある実務上の課題
- 要支援→要介護への移行時の引き継ぎ実務
- 介護予防支援の担当が事業所経営に与える影響
- 介護予防ケアマネジメントの記録・モニタリングの実務
- 要支援者・要介護者を担当する際の収支シミュレーション例
- 基本チェックリストと介護予防ケアマネジメントの違い
- 介護予防支援の担当でよくある実地指導の指摘事項
- 参考・出典
この記事で分かること
- 介護予防支援と居宅介護支援の違い(担当機関・報酬・手続き)
- 令和6年改正で居宅介護支援事業所が指定介護予防支援事業者になれるようになった経緯
- 要支援者の担当が事業所収益に与える影響の試算
- 要支援から要介護への移行時の引き継ぎ実務
介護予防支援と居宅介護支援の違い
要介護認定の区分によって、ケアマネジメントの担当機関が異なります。
| 認定区分 | 主なサービス | ケアマネジメントの担当 |
|---|---|---|
| 要支援1・2 | 介護予防サービス・総合事業 | 地域包括支援センター(一部委託可) |
| 要介護1〜5 | 居宅介護サービス・施設サービス | 居宅介護支援事業所(ケアマネジャー) |
要支援の方のケアマネジメント(介護予防支援)は、地域包括支援センターの主任ケアマネが中心となって担います。ただし、地域包括支援センターの業務負担の軽減を目的に、委託を受けた居宅介護支援事業所のケアマネジャーが介護予防ケアマネジメントの実務を担う仕組みがあります。
居宅介護支援事業所への委託(指定介護予防支援事業者への指定)
令和6年の法改正により、従来は地域包括支援センターのみに認められていた「指定介護予防支援事業者」の指定が、居宅介護支援事業所にも開放されました(令和6年4月施行)。
これにより、居宅介護支援事業所は指定介護予防支援事業者の指定を受けることで、地域包括支援センターからの委託ではなく、要支援の利用者から直接依頼を受けてケアマネジメントを行えるようになりました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 指定要件 | 居宅介護支援事業所の指定を受けている法人・介護支援専門員を1名以上配置 |
| 指定の申請先 | 市区町村(従来の地域包括支援センターとは別に指定を受ける) |
| 基本報酬 | 介護予防支援費(要支援1:442単位、要支援2:711単位・月額) |
| 地域包括との関係 | 指定取得後も地域包括支援センターとの連携・情報共有は継続が必要 |
委託による介護予防ケアマネジメントの報酬
地域包括支援センターから委託を受けて介護予防ケアマネジメントを行う場合(委託契約)の報酬は、以下の通りです。
- 委託の場合の報酬:介護予防支援費の一定割合を地域包括支援センターが委託費として支払う(割合は契約によるが、概ね7〜8割程度が多い)
- 指定介護予防支援事業者として直接担う場合:要支援1:442単位、要支援2:711単位(令和6年改定後)
要支援者の担当は要介護者と比較して報酬が低いため、要支援者を多数担当することが事業所の収益改善に直結するわけではありません。一方、要支援者が認定更新で要介護に移行した場合に居宅介護支援の担当に引き継ぎやすいというメリットがあります。
介護予防支援の担当件数と逓減制
居宅介護支援事業所が指定介護予防支援事業者として担当する要支援者は、居宅介護支援(要介護)の担当件数と合算して逓減制の対象となります。
- 要支援者を3名担当することで、要介護者1名分に換算して逓減制の件数に算入される(3分の1として計算)
- 担当件数が増えると費(Ⅱ)・費(Ⅲ)の適用となり基本報酬が下がるため、件数管理に注意が必要
総合事業(第1号介護予防支援事業)との関係
令和6年改定で整備された「第1号介護予防支援事業」の枠組みでは、地域包括支援センター以外(居宅介護支援事業所を含む)が介護予防ケアマネジメントを担える範囲が拡大されています。
総合事業には3種類のケアマネジメントがあります。
| 種類 | 対象 | 手続きの概要 |
|---|---|---|
| ケアマネジメントA(介護予防支援と同様の手続き) | 状態が複雑で丁寧なアセスメントが必要な方 | アセスメント→ケアプラン作成→担当者会議→モニタリング |
| ケアマネジメントB(簡略化した手続き) | 状態が安定しサービス内容が明確な方 | 基本チェックリスト→簡略アセスメント→ケアプラン |
| ケアマネジメントC(初回のみ) | 短期集中サービスを利用する方 | 初回のケアプラン作成のみ(モニタリング省略) |
令和6年改正:指定介護予防支援事業者の指定取得の手続き
居宅介護支援事業所が指定介護予防支援事業者の指定を受けるための手続きの概要です。市区町村によって詳細は異なるため、必ず担当窓口に確認してください。
- 事前相談:市区町村の介護保険担当課に事前相談し、申請書類・スケジュールを確認する
- 申請書類の準備:指定申請書・事業所の平面図・人員配置に関する書類・運営規程・損害賠償保険の証明等
- 申請・審査:書類審査・必要に応じて現地確認
- 指定の決定・通知:指定通知書の受領(指定日から実施可能)
- 利用者・地域包括への周知:地域包括支援センターへの指定取得の連絡・担当区域内での周知
地域包括支援センターとの関係と委託契約の考え方
指定介護予防支援事業者の指定を取得した後も、地域包括支援センターとの良好な関係を維持することが重要です。地域包括支援センターは要支援者への総合的な支援の中核機関であり、居宅介護支援事業所が担当する要支援者についても情報共有・相談の場としての役割を担います。
- 委託契約とは別に直接担当する場合:指定取得後は、要支援者が直接居宅介護支援事業所に依頼できる。ただし、地域包括支援センターとの情報共有ルール(定期報告等)は自治体によって規定されている場合がある。
- 委託契約を継続する場合:地域包括支援センターから委託を受ける形で介護予防ケアマネジメントを担当する場合は、委託先として引き続き地域包括と契約を締結する。委託費の割合・報告の頻度等は契約内容による。
要支援者の担当でよくある実務上の課題
要支援者を担当する際によくある実務上の課題と対応のポイントを整理します。
- 認定更新の時期管理:要支援の認定有効期間は1〜3年と幅がある。認定期間満了前の更新申請を支援する。
- 状態変化の把握とモニタリング:訪問モニタリングの頻度(月1回が基本)を守りつつ、状態変化を早期に察知して主治医・サービス事業所に連絡する。
- 区変(要支援→要介護)の申請支援:状態が悪化して要介護認定が必要になった場合の区分変更申請を適切な時期に支援する。
- 地域包括との情報共有:指定介護予防支援として直接担当する場合でも、地域包括支援センターとの定期的な情報共有(ケース情報の報告等)が必要な自治体が多い。委託契約の内容をよく確認する。
要支援→要介護への移行時の引き継ぎ実務
要支援の方が認定更新・区分変更で要介護認定に移行した際の引き継ぎは、スムーズに行うことで利用者のサービス継続と自事業所での担当継続につながります。
- 引き継ぎのタイミング:区分変更申請の結果が出たら、速やかに居宅介護支援の新規契約手続きを行う(サービス提供の空白が生じないように)
- 介護予防ケアプランから居宅介護ケアプランへの移行:既存のサービス内容・利用事業所・担当者の情報を引き継いだうえで、要介護に対応したケアプランを新たに作成する
- 担当者会議の開催:要介護への移行時は、新たなケアプランに基づいてサービス担当者会議を開催する(継続利用のサービス事業所には照会でも可の場合がある)
- 地域包括支援センターへの報告:担当変更の連絡を地域包括支援センターに行う(自治体によってフォーマットが定められている場合がある)
介護予防支援の担当が事業所経営に与える影響
要支援者の担当が事業所経営に与える影響を整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 基本報酬(月額) | 要支援1:442単位(約4,420円相当)、要支援2:711単位(約7,110円相当) |
| 要介護との比較 | 要介護1(費(Ⅰ))1,086単位と比べると約40〜65%の水準 |
| 担当件数の換算 | 要支援3名で要介護1名分換算→件数管理での影響は小さい |
| 要介護への引き継ぎ | 要支援担当からそのまま要介護担当に移行できる→新規獲得コスト減 |
報酬単価は低いですが、担当件数への影響が小さく、要介護への移行後も担当を継続できる点でロングテールの収益基盤として機能します。地域包括支援センターとの関係構築にもつながります。
介護予防ケアマネジメントの記録・モニタリングの実務
介護予防支援の記録・モニタリングの頻度は、要介護の居宅介護支援と一部異なります。実務上の主なポイントを整理します。
| 項目 | 介護予防支援(要支援) | 居宅介護支援(要介護) |
|---|---|---|
| モニタリング訪問の頻度 | 3か月に1回以上(状態が安定している場合) | 月1回以上 |
| ケアプランの形式 | 介護予防サービス支援計画書(第1〜4表) | 居宅サービス計画書(第1〜7表等) |
| 担当者会議 | サービス担当者会議(要介護と同様に開催・照会での代替可の場合あり) | サービス担当者会議 |
モニタリング頻度が3か月に1回以上(状態安定時)と要介護より少ないため、担当件数が多くなっても業務量が抑えやすい点は、介護予防支援担当のメリットの一つです。ただし、状態変化があった場合はモニタリングを追加で行うことが必要です。
要支援者・要介護者を担当する際の収支シミュレーション例
担当件数40件(要介護35件・要支援15件)の事業所の収入を概算で比較してみます。
- 要介護35件:費(Ⅰ)として 35×1,086単位(要介護1・2平均の目安)×10.42円/単位 ≒ 396,000円/月
- 要支援15件:要支援1・2の平均として 15×576単位(442と711の平均)×10.42円/単位 ≒ 90,000円/月
- 合計:約486,000円/月(概算)
要支援者の担当は件数換算で要介護の3分の1(15件÷3=5件相当)となり、要介護の件数には40件分の費(Ⅰ)が適用されます。要支援担当を増やして件数を確保しつつ逓減制を避けるという戦略も考えられます。ただし、要支援の報酬が低いため、収益よりも地域連携・将来の要介護移行を見込んだ長期的な視点が重要です。
基本チェックリストと介護予防ケアマネジメントの違い
介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)では、介護認定を受けずに「基本チェックリスト」で該当した方もサービスを利用できます。基本チェックリスト該当者のケアマネジメントは、介護予防ケアマネジメントの中でも「ケアマネジメントC(初回のみ)」「ケアマネジメントB(簡略化)」が適用されるケースが多く、通常の介護予防支援とは手続きが異なります。担当エリアの市区町村の実施要綱でどのケアマネジメント種別を適用するかを確認してください。
介護予防支援の担当でよくある実地指導の指摘事項
要支援者を担当する際の実地指導で多い指摘事項を整理します。居宅介護支援(要介護)と同様に書類の整備が求められます。
- モニタリング記録の不備:3か月に1回以上の訪問モニタリングの記録が欠けているケース。特に状態が安定している利用者では記録を怠りがちになるため注意。
- 介護予防ケアプランの更新手続き:認定更新の際にケアプランを見直す手続き(アセスメント→計画更新→担当者会議)が省略されているケース。
- 利用者への説明・同意の記録:ケアプランの内容を利用者・家族に説明し同意を得たことを示す署名・記録が取れていないケース。
- 地域包括への報告:委託の場合、地域包括支援センターへの定期的な報告(ケース記録の提出等)が滞っているケース。
参考・出典
- 介護保険法(第46条・58条等)
- 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定の概要」(指定介護予防支援事業者の指定に係る改正)
この記事は2026年11月時点の情報に基づいています。指定要件・報酬単価は都道府県・市区町村の実施要綱でご確認ください。
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