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移動式クレーンで使用するワイヤロープには、安全係数と廃棄基準が法令で定められています。クレーン等安全規則(昭和47年労働省令第34号)第22条・第22条の2がその根拠です。試験でも数字の正確さを問われる頻出テーマです。
安全係数とは何か
安全係数とは、ワイヤロープが実際に耐えられる最大破断荷重と、実際に使用する最大荷重の比率です。
安全係数 = 破断荷重 ÷ 最大使用荷重
移動式クレーンに用いるワイヤロープの安全係数は、クレーン等安全規則第22条により6以上でなければなりません。これはフック・シャックルの安全係数(第23条:3以上)とは異なる数値です。試験でよく問われる混同しやすいポイントなので、必ず区別して覚えてください。
| 部品 | 根拠条文 | 安全係数 |
|---|---|---|
| ワイヤロープ | 第22条 | 6以上 |
| フック・シャックル等 | 第23条 | 3以上 |
計算例:破断荷重18tのワイヤロープを使用する場合、最大使用荷重は18t÷6=3t以下にしなければなりません。
廃棄基準(クレーン則第22条の2)
以下のいずれかに該当するワイヤロープは使用してはなりません。試験では「どの数字が廃棄基準か」を問う問題が繰り返し出題されます。
| # | 廃棄基準 | 試験頻出度 |
|---|---|---|
| ① | 1よりの間で素線数の10%以上が切断しているもの | ★★★ |
| ② | 直径の減少が公称径の7%を超えるもの | ★★★ |
| ③ | キンク(よじれ・折れ癖)があるもの | ★★☆ |
| ④ | 著しい形崩れまたは腐食があるもの | ★★☆ |
「10%」「7%」という数字が混同されやすいため、①②をセットで記憶するようにしてください。
ワイヤロープの構造と種類
ワイヤロープは複数の素線(細い鋼線)をよって作られたストランド(より糸)を、さらにコア(心綱)の周りによった構造をしています。
- 6×19:6本のストランドに各19本の素線。一般的な移動式クレーン用に多用される
- 6×37:6本のストランドに各37本の素線。より柔軟性が高く、大型クレーンや複数シーブ構成に使用
- IWRC(独立ワイヤロープ心):心綱にもワイヤロープを使用したもの。耐圧縮性が高い
試験では「6×19とはどういう意味か」「IWRC心とは何か」という問いが出ることがあります。
玉掛け用ワイヤロープへの適用
玉掛け作業に使用するワイヤロープにも同様の安全係数・廃棄基準が適用されます(玉掛け技能講習でも同内容が出題されます)。移動式クレーン運転士試験では、「玉掛けワイヤにも安全係数6以上が必要か」という形で確認されることがあります。答えは「必要」です。
試験で差がつくポイント
ワイヤロープ関連の問題で得点を積み上げるために押さえるべき数字をまとめます。
| ポイント | 数値・キーワード |
|---|---|
| 安全係数 | 6以上(第22条) |
| 素線切断廃棄基準 | 1よりの間で10%以上切断 |
| 直径減少廃棄基準 | 公称径の7%超過 |
| フック安全係数との違い | フック=3以上、ワイヤ=6以上 |
これらを繰り返し問題演習で確認し、確実に得点できるようにしておきましょう。
出典:クレーン等安全規則(昭和47年労働省令第34号)第22条・第22条の2、安全衛生技術試験協会
ワイヤロープの選定と使用前点検
ワイヤロープを選定する際には、吊り荷の重量・玉掛け方法・吊り角度を考慮した安全係数6以上の確保が必要です。玉掛け時の吊り角度が大きくなるほど、ワイヤロープにかかる張力が増加します。吊り角度90°では1本あたりの張力は荷重の約0.7倍、120°では約1.0倍となるため、余裕のある太さのロープを選ぶことが重要です。
使用前点検では、以下の項目を確認します。
- 素線の切断状況(10%未満であること)
- 直径の測定(キャリパーで測定し公称径の93%以上であること)
- キンク・著しい変形の有無
- 端末金具(クリップ・スリーブ)の締め付け状態
- 腐食・錆の状態
ワイヤロープの保管と管理
ワイヤロープは正しく保管しないと劣化が早まります。適切な管理方法を押さえましょう。
- 直射日光・雨水を避けた屋根付きの場所で保管する
- コンクリートや地面に直接置かず、木台等の上に置く
- 使用後は砂・泥を落とし、防錆油を塗布して保管する
- ドラムに巻いたまま保管する場合は、形崩れに注意する
定期自主検査(月次・年次)でもワイヤロープの状態確認は必須項目とされており、チェックシートに記録して3年間保存する義務があります(クレーン則第80条)。
玉掛け用ワイヤロープとの共通点
玉掛け作業で使用するワイヤロープにも、安全係数6以上・廃棄基準(素線10%・直径7%等)が同様に適用されます。移動式クレーン運転士試験では、玉掛けに関する知識も出題されるため、共通ルールとして理解しておくと効率的です。
出典:クレーン等安全規則(昭和47年労働省令第34号)第22条・第22条の2・第80条
安全係数の計算問題を解くコツ
試験で出題される安全係数の計算問題は、「破断荷重と安全係数から最大使用荷重を求める」または「最大使用荷重と安全係数から必要破断荷重を求める」の2パターンです。
- 最大使用荷重 = 破断荷重 ÷ 安全係数(6)
- 必要破断荷重 = 最大使用荷重 × 6
例題:定格荷重3tの移動式クレーンで使用するワイヤロープに必要な最小破断荷重は何tか?
→ 3t × 6 = 18t以上
この計算パターンを繰り返し練習して確実に得点できるようにしましょう。廃棄基準(10%・7%)と安全係数(6)の両方がセットで問われることも多いため、数字の組み合わせで覚えることが効果的です。

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