移動式クレーンのワイヤロープ廃棄基準と点検方法:素線10%・径7%の意味

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移動式クレーンに使われるワイヤロープは消耗品であり、損傷・劣化状態を定期的に確認して廃棄基準に達したものは使用禁止にする義務があります。試験ではワイヤロープの廃棄基準(素線の切断・径の減少)と点検のポイントが出題されます。

ワイヤロープの廃棄基準

クレーン等安全規則第215条では、移動式クレーンに使用するワイヤロープの廃棄基準として以下を定めています。

廃棄基準 内容
素線の切断 1よりの間において素線の数の10%以上が切断したもの
直径の減少 公称径の7%を超えて減少したもの
キンク 著しいキンク(よじれ・折り目)があるもの
形崩れ・腐食 著しい形崩れ・腐食があるもの

「素線の数の10%以上」と「公称径の7%超の直径減少」は数値で問われる頻出ポイントです。正確に覚えてください。

「1よりの間」とは何か

ワイヤロープは複数の素線をよりあわせて作られています。「1よりの間」とは、素線が1回よりあわされて元に戻るまでの長さ(ピッチ)のことです。廃棄基準の「1よりの間において10%以上」は、このピッチ内で素線が何本切れているかで判断します。

例えば素線が7本のストランドを6本組みにしたワイヤロープ(6×7)の場合、全素線数は42本。そのうち10%(4.2本→5本以上)切断していれば廃棄対象です。試験では「全体の10%」ではなく「1よりの間の素線数の10%」であることを意識してください。

ワイヤロープの構造

ワイヤロープは「素線」→「ストランド(子縄)」→「ワイヤロープ(本縄)」という階層構造で作られています。

構成要素 説明
素線(wire) 最も細い鋼線。直径0.数mm〜数mm程度
ストランド(strand) 素線を複数よりあわせたもの(子縄)
ワイヤロープ ストランドを芯(コア)のまわりによりあわせたもの

一般的なワイヤロープの表記「6×37」はストランド数×1ストランドの素線数を示します(6本のストランド×各37本の素線で構成)。より線数が多いほど柔軟性が高くなります。

ワイヤロープの安全係数

クレーン等安全規則第213条では、移動式クレーンに使用するワイヤロープの安全係数は6以上と定めています。

安全係数 = ワイヤロープの切断荷重 ÷ 実際のつり上げ荷重

安全係数6以上とは「切断荷重がつり上げ荷重の6倍以上」ということです。この安全係数を下回るワイヤロープは使用禁止です。

ワイヤロープの点検項目

定期自主検査と作業開始前点検でワイヤロープを確認する際の主な点検項目は以下のとおりです。

  • 素線の切断(1よりの間に10%以上の切断がないか)
  • 直径の測定(公称径の7%を超えた減少がないか)
  • キンク(よじれ・折り目)の有無
  • 腐食(錆・腐食の程度)
  • フリートアングル(ワイヤロープの巻き取り角度)が適正か
  • シーブ(滑車)への掛かり方が正常か

ワイヤロープの保管と取り扱い

ワイヤロープの品質を保つための取り扱いポイントは以下のとおりです。

  • 急激に折り曲げない(キンクの原因になる)
  • 酸・アルカリ・塩水等の腐食性物質が付着する場所での保管を避ける
  • 使用後は汚れを落とし、グリスアップ(潤滑油の塗布)を行う
  • 長期保管する場合は乾燥した場所で適正に保管する

試験でよく問われるポイントまとめ

  • 廃棄基準:1よりの間に素線の10%以上切断、または公称径の7%超の直径減少
  • 安全係数:6以上(クレーン等安全規則第213条)
  • 著しいキンク・腐食・形崩れも廃棄基準に該当する
  • 「1よりの間の10%」であり「全体の10%」ではない点に注意

玉掛け用ワイヤロープの廃棄基準との比較

移動式クレーン用のワイヤロープと玉掛け用ワイヤロープは廃棄基準が同じです。ただし安全係数が異なります。

種類 廃棄基準(素線切断) 廃棄基準(径の減少) 安全係数
移動式クレーン用ワイヤロープ 1よりの間に10%以上切断 公称径の7%超減少 6以上(第213条)
玉掛け用ワイヤロープ 1よりの間に10%以上切断 公称径の7%超減少 6以上(別規定)

ワイヤロープの選定基準

作業に使用するワイヤロープを選定する際は以下を確認します。

  1. 切断荷重の確認:使用するつり荷重量の6倍以上の切断荷重があるワイヤロープを選ぶ
  2. 径と長さの確認:シーブ(滑車)の溝の大きさに合った径のロープを使う
  3. フリートアングルの確認:ドラムへの巻き取り角度(フリートアングル)が適正範囲内か確認する
  4. 使用環境の確認:腐食環境(海沿い・酸素欠乏環境等)では耐腐食性のものを選ぶ

シーブ(滑車)とワイヤロープの関係

シーブとはワイヤロープを掛けて方向を変えたり速度・力を変換したりする滑車です。シーブの直径が小さすぎると、ワイヤロープの曲げが急激になって素線が破断しやすくなります。

一般に「シーブ径はロープ径の16倍以上」が推奨される目安とされています(クレーンによって異なります)。

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この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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