オールテレーンクレーンの特徴と用途:ラフテレーンとの違いを整理

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オールテレーンクレーン(All Terrain Crane)は、舗装路の高速走行と不整地走行の両方に対応できる移動式クレーンです。ラフテレーンクレーンとトラッククレーンの特性を組み合わせたような設計で、特に大型機種で広く採用されています。移動式クレーン試験では「ラフテレーンとの違い」が問われるため、それぞれの特徴を整理しておくことが大切です。

オールテレーンクレーンとはどんるクレーンか

オールテレーンクレーンは名前のとおり「すべての地形(All Terrain)」に対応することを目指した移動式クレーンです。ラフテレーンクレーンが不整地専用であるのに対し、オールテレーンクレーンは公道の高速走行と現場内の不整地走行を両立させています。

大型機種では走行軸が5〜9軸にも及び、全軸駆動・全軸操舵が可能なものもあります。高い走行性能と大きなつり上げ荷重を両立できるため、大規模建設・重量物の搬入・風力発電設備の建設などに多用されています。

ラフテレーンクレーンとの比較

オールテレーンクレーンとラフテレーンクレーンは外見が似ており、試験でも混同しやすいポイントです。

比較項目 オールテレーンクレーン ラフテレーンクレーン
走行性能 高速道路走行可能・不整地走行も可能 不整地・軟弱地盤が得意(高速走行は苦手)
エンジン 走行用・クレーン用を別系統で持つ機種が多い 1エンジン(PTOで動力分配)
タイヤ軸数 4〜9軸程度(大型は多軸) 通常2軸(4輪)
つり上げ荷重 大型機種が多い(数百t超も存在) 中型が中心(〜250t程度)
主な用途 大型建設・重量物クレーン・風力発電等 建設現場内の機動作業

オールテレーンクレーンの大きな優位点は「高速道路での自走移動」が可能な点です。ラフテレーンクレーンは現場内移動を得意とする一方、高速走行には向いていません。オールテレーンクレーンは公道を自走して現場に入り、不整地でも作業できるため、広域を移動しながら作業する大規模工事に適しています。

多軸ステアリングの仕組み

オールテレーンクレーンの大型機種には「全輪操舵(全軸ステアリング)」機能があります。全輪操舵には以下のモードが設定されていることがあります。

ステアリングモード 内容 主な場面
通常操舵 前軸のみ操舵(一般的な自動車と同様) 直進走行・通常の曲がり角
後輪操舵 後軸も同方向に操舵(小回りが利く) 狭い場所への進入
全軸同位相操舵(カニ走り) 全軸が同一方向を向き横向きに移動 狭い場所での横移動

「カニ走り」とも呼ばれる横行移動機能は、狭い現場でのポジショニングを大幅に容易にします。

サスペンション機構と接地圧

大型オールテレーンクレーンは油圧サスペンションを備えており、積載状態での姿勢安定や車高調整が可能です。不整地走行時でも各軸のサスペンションが独立して機能するため、機体の傾きを抑えた走行ができます。

接地圧についてはクローラクレーンと比べると高くなりますが、多軸・大径タイヤで地面への荷重を分散させています。

安全装置と荷重管理

オールテレーンクレーンも移動式クレーンの一種であり、クレーン等安全規則の各条文が適用されます。過負荷防止装置(モーメントリミッタ)・巻過防止装置・ジブ傾斜角指示装置等は他の移動式クレーンと同様に備えられています。

大型機種は複数の荷重表(アウトリガー全張り・半張り・走行状態等)を持ち、作業状況に合わせた定格総荷重管理が必要です。

試験での出題傾向

移動式クレーン試験の公表問題では、オールテレーンクレーンが独立した大問として出題されることは多くありませんが、「移動式クレーンの種類と特徴の組み合わせ」問題の選択肢として登場します。以下のポイントを押さえておけば対応できます。

  • ラフテレーンとの違い:オールテレーンは高速道路走行も可能
  • エンジンは走行・クレーン別系統が多い(ラフテレーンは1エンジン)
  • 多軸ステアリングで横行(カニ走り)ができる大型機種がある
  • 大型機種が中心で、つり上げ荷重は数百tに達するものもある
  • アウトリガーを張り出して作業する点は他の移動式クレーンと共通

オールテレーンクレーンとラフタークレーンの比較

比較項目 オールテレーンクレーン ラフタークレーン
公道走行速度 比較的高速(70〜80km/h程度) 低速(20〜40km/h程度)
不整地走行 可能(全輪駆動・全輪操舵) 可能(大径タイヤ・4WD)
超大型 超大型機(1,000t超)も存在 一般に500t未満が主流
輸送 自走(前後双方向操舵で機動性が高い) 自走
価格 高価 比較的安価

全輪操舵(4WS)の仕組みと特徴

オールテレーンクレーンの多くは全輪操舵(4WS:Four-Wheel Steering)を備えています。前輪だけでなく後輪も操舵することで、次の機能が実現します。

  • 蟹行走行(クラブ操舵):全輪を同じ方向に向け、斜め移動ができる
  • 小回り(切れ角の増大):前後輪を逆方向に操舵することで最小回転半径を小さくできる

蟹行走行は狭い現場でアウトリガーを展張した後に機体を微調整するときに有効です。

スーパーリフトの仕組み(大型オールテレーン)

超大型のオールテレーンクレーンでは、ブーム起仰時の安定を確保するために「スーパーリフト」または「マスト付きジブ」が使われることがあります。ブーム後方に大型の補助マストを設けてバランスウェイトをつり下げることで、ブームを起こした際の安定モーメントを高める仕組みです。

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この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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