クレーン シーブ(滑車)とドラム(巻胴)の役割と違い

問題をすぐに解いてみたい方は、こちらのアプリをご利用ください。
▶ クレーン・デリック運転士 過去問アプリ

クレーンの巻き上げ装置には「シーブ(滑車)」と「ドラム(巻胴)」が使われます。シーブはワイヤロープの方向を変え力を伝達する滑車・ドラムはワイヤロープを巻き取る円筒形の部材です。クレーン知識科目の構造問題で出題されます。

出典:安全衛生技術試験協会 クレーン・デリック運転士(限定なし)受験案内

シーブ(滑車)の役割

シーブ(滑車)は、ワイヤロープを掛けて回転する円盤状の部材です。ワイヤロープの進行方向を変えたり、複数のシーブを組み合わせて引っ張る力を軽減したりするために使います。

シーブの種類

  • 定滑車(固定滑車):位置が固定されており、力の方向を変えるが力の大きさは変わらない
  • 動滑車(可動滑車):荷物と一緒に動き、引っ張る力を約半分に軽減できる(ただし引く距離が2倍)

シーブ(滑車)の倍率

クレーンでは複数のシーブを組み合わせた「シーブ装置」を使用します。シーブの数(掛け数)によって必要な引っ張り力が変わります。

必要な力 = 荷重 ÷ シーブの掛け数

ドラム(巻胴)の役割

ドラムは電動機の動力を受けてワイヤロープを巻き取る(または送り出す)円筒形の部材です。

ドラムの構造

  • 胴部:ワイヤロープを巻き付ける円筒部分
  • フランジ:ロープが胴部から外れないようにする鍔(つば)の部分
  • ロープ溝(グルーブ):ロープを整列させるための溝

ドラムの種類

  • 溝付きドラム:ロープが一定のピッチで整列して巻かれる。ロープの摩耗が少なく寿命が長い
  • 無溝ドラム(フラットドラム):溝がなく、ロープが複数層に重なって巻かれることがある

シーブとドラムの関係

ドラムが回転してワイヤロープを巻き取る力(引っ張り力)は、シーブを介して荷物に伝わります。シーブの掛け数を増やすことで、小さな力で重い荷物を吊り上げることができます。

シーブの摩耗・ドラムの点検

シーブやドラムは定期的に点検が必要です。主な点検項目は以下のとおりです。

  • シーブの溝の摩耗・き裂の有無
  • ドラムのロープ溝の摩耗の有無
  • ワイヤロープとシーブ・ドラムのサイズ適合(ロープ径に対してシーブ溝径が合っているか)

試験での出題ポイント

  • 「シーブ(滑車)はワイヤロープの方向を変えたり力を分散させたりする部材」
  • 「ドラム(巻胴)はワイヤロープを巻き取る円筒形の部材」
  • 「動滑車は荷物と一緒に動き、引く力を約半分にする(引く距離は2倍になる)」
  • 「溝付きドラムはロープが整列して巻かれるため摩耗が少ない」

問題をすぐに解いてみたい方は、こちらのアプリをご利用ください。
▶ クレーン・デリック運転士 過去問アプリ

本記事は安全衛生技術試験協会の受験案内および出題基準に基づきます。受験前に安全衛生技術試験協会の公式サイト(https://www.exam.or.jp/)でご確認ください。

シーブの溝径とワイヤロープ径の関係

シーブの溝の径(シーブ径)は、使用するワイヤロープの径に対して一定以上の大きさが必要です。シーブ径が小さすぎるとワイヤロープが急角度で曲がり、素線の断線が早まります。

クレーン等安全規則では、使用するワイヤロープの径に応じたシーブ(滑車)の最小径を定めています。具体的な数値はクレーン等安全規則(昭和47年労働省令第34号)の別表で確認できます。

動滑車を使った力の計算例

動滑車は引っ張る力を軽減しますが、引く距離が増えます。計算例を確認します。

状況 荷重 動滑車1個使用時の引く力 引く距離
動滑車なし(直接引く) 100 kN 100 kN 1m上昇に1m引く
動滑車1個使用 100 kN 約50 kN(理論値) 1m上昇に2m引く
動滑車2個使用 100 kN 約25 kN(理論値) 1m上昇に4m引く

実際には摩擦損失があるため、理論値より大きな力が必要になります。試験では「動滑車を使うと引く力は軽くなるが距離は増える」という原則を押さえてください。

クレーン用ドラムの基準

クレーン等安全規則では、ドラムに関して次のような規定があります。

溝付きドラムと無溝ドラムの使い分け

  • 溝付きドラム:ワイヤロープが整列して1層に巻かれるため摩耗が少ない。多くのクレーンに採用
  • 無溝ドラム:ロープが複数層に重なって巻かれることがあり、下層のロープが上から荷重を受けて傷みやすい

ドラムのフランジ

ドラムの両端にはフランジ(鍔)が設けられており、ワイヤロープが胴部から外れるのを防ぎます。クレーン等安全規則では、フランジの高さについて一定基準を設けています。

シーブ・ドラムの定期点検

シーブとドラムはクレーンの定期自主検査の対象です。点検の種類と周期を確認します。

検査の種類 実施周期 主な点検項目(シーブ・ドラム関係)
年次定期自主検査 1年以内ごとに1回 シーブの摩耗・き裂・ドラムのロープ溝の摩耗
月次定期自主検査 1か月以内ごとに1回 シーブの異常の有無・ドラムの異常の有無
作業開始前点検 毎作業開始前 ワイヤロープがシーブ・ドラムに正しくかかっているか

試験によく出る計算の例題

シーブの掛け数と力の計算

「重量10kNの荷物を、動滑車2個・定滑車2個の組み合わせ(合計4つのロープで支える)で吊るとき、引き上げに必要な力はいくらか」

動滑車の数(または支えているロープの本数)で荷重を割ります:10kN ÷ 4 = 2.5kN(摩擦を無視した理論値)

ドラム1回転で巻き上げる長さの計算

「ドラムに巻かれるロープの1層目のピッチ(ロープ間隔)が20mm・ドラムの有効巻き幅が400mmのとき、1層に巻けるロープの巻き数は何回転か」

400mm ÷ 20mm = 20回転

シーブ装置の試験出題Q&A

Q:動滑車を1個使うと引く力はどうなるか?
A:荷重の約半分の力で引き上げられる(ただし引く距離は約2倍になる)

Q:溝付きドラムのメリットは何か?
A:ワイヤロープが整列して1層に巻かれるため、摩耗が少なく寿命が長い

Q:シーブの溝とワイヤロープの径の関係は?
A:シーブの溝の径はワイヤロープの径より一定以上大きくする必要がある(急角度の曲がりはワイヤロープの断線を早める)

クレーンのシーブ数と力の関係(まとめ)

支えているロープ本数 必要な引き力(理論値) 引く距離(1m上昇させるために)
1本(滑車なし) 荷重と同じ 1m
2本(動滑車1個) 荷重の1/2 2m
4本(動滑車2個) 荷重の1/4 4m
この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

ご質問はメールで。電話・面談はしていません。

fufumumu_designをフォローする
一人親方・個人事業主のインボイス
fufumumu_designをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました