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クレーンの電動機起動方式には「スターデルタ起動」と「インバータ制御」があります。スターデルタ起動は始動電流を1/3に抑える方式で、インバータ制御は周波数・電圧を変えて無段階に速度調整する方式です。2つの違いと特徴が「原動機及び電気に関する知識」の頻出テーマです。
出典:安全衛生技術試験協会 クレーン・デリック運転士(限定なし)受験案内
スターデルタ起動とは
三相誘導電動機をそのまま全電圧で起動すると、定格電流の5〜8倍もの大きな「始動電流」が流れます。この電流を抑えるために開発された起動方式がスターデルタ起動です。
動作の仕組み
- 起動時(スター結線):電動機の固定子コイルをスター(Y)結線で接続する。各コイルにかかる電圧は定格電圧の1/√3になる。
- 切り替え(スター→デルタ):回転速度がある程度上がったら、接触器でデルタ(△)結線に切り替える。
- 運転時(デルタ結線):デルタ結線で定格電圧を各コイルに印加して通常運転する。
スターデルタ起動の特性
| 比較項目 | スター結線(起動時) | デルタ結線(運転時) |
|---|---|---|
| 始動電流 | 直入れ起動の1/3 | — |
| 始動トルク | 直入れ起動の1/3 | — |
| コイルへの電圧 | 定格の1/√3(約58%) | 定格電圧100% |
スターデルタ起動は「始動電流を1/3にできるが、始動トルクも1/3に低下する」のが最大の特徴です。試験ではこの「1/3低下」を問う問題が出題されます。
インバータ制御とは
インバータは交流電源の周波数と電圧を変換する装置です。インバータで電動機に供給する電源の周波数を変えることで、回転速度を自在に調整できます。
インバータ制御の仕組み
- 交流電源を直流に変換(整流)
- 直流を任意の周波数・電圧の交流に再変換(インバータ)
- 任意の周波数の交流を電動機に供給
三相誘導電動機の同期速度は「120×周波数÷極数」で決まるため、周波数を変えることで回転速度を無段階に変化させられます。
インバータ制御の特性
- 無段階で速度調整できる:起動から停止まで滑らかな速度制御が可能
- 始動電流を抑えながらトルクを維持できる:スターデルタ起動と違い、始動トルクの低下が少ない
- 省エネ効果が高い:不要な高速運転を避け、負荷に合わせた速度制御ができる
- 回生ブレーキと組み合わせて使える:制動時の電力を電源に戻せる
スターデルタ起動 vs インバータ制御の比較
| 比較項目 | スターデルタ起動 | インバータ制御 |
|---|---|---|
| 目的 | 起動電流を抑える | 速度を無段階に制御する |
| 始動電流 | 直入れの1/3 | 抑制可能(トルク維持) |
| 始動トルク | 直入れの1/3(低下) | 維持できる |
| 速度制御 | できない(2段切り替えのみ) | 無段階に調整できる |
| コスト | 比較的安価 | 高価(インバータ装置が必要) |
| 省エネ性 | 低い | 高い |
試験での出題ポイント
- スターデルタ起動:「始動電流・始動トルクともに1/3に低下」
- インバータ制御:「周波数を変えて無段階速度制御・トルクの低下が少ない」
- スターデルタは「2段」の切り替え。インバータは「無段階」
- 省エネ性はインバータが高い
試験問題の解き方(実例)
スターデルタ起動の問題例
「スターデルタ起動に関する次の記述のうち、正しいものを選べ」
- a. 起動時はデルタ結線で始動し、速度が上がったらスター結線に切り替える → 誤り(逆。起動時はスター、運転時はデルタ)
- b. 始動電流は直入れ起動の1/3に抑えられる → 正しい
- c. 始動トルクは直入れ起動より大きくなる → 誤り(始動トルクも1/3に低下)
- d. スター結線時は各コイルに定格電圧がかかる → 誤り(定格の1/√3がかかる)
インバータ制御の問題例
「インバータ制御に関する次の記述のうち、誤っているものを選べ」
- a. インバータは電源の周波数を変換して電動機に供給する → 正しい
- b. インバータ制御では無段階の速度制御ができる → 正しい
- c. インバータ制御ではスターデルタ起動と比べて始動トルクが大幅に低下する → 誤り(インバータ制御は始動トルクの低下が少ない)
その他のクレーン起動方式
スターデルタ起動・インバータ以外にも、クレーンの起動方式があります。
直入れ起動(全電圧起動)
電源電圧をそのまま電動機に印加して起動する方法です。始動電流が大きく(定格の5〜8倍)、電源設備や電動機に負荷がかかりますが、起動トルクは最大になります。小型電動機や始動電流の制限がない場合に使われます。
抵抗起動(二次抵抗制御)
巻線形三相誘導電動機の二次側(回転子側)に外部抵抗を挿入して始動電流を抑える方式です。抵抗を段階的に減らしながら加速します。クレーン専用モーターで使われることがあります。
覚え方のポイント
スターデルタとインバータの違いを「目的」で整理します。
- スターデルタ起動の目的:始動時の大電流を抑える(電源設備の保護)。速度制御はできない
- インバータ制御の目的:無段階の速度制御(省エネ・精密な荷扱い)。始動電流も抑えられる
「コストを安くして始動電流だけ抑えたい→スターデルタ」「速度を細かく制御したい・省エネ重視→インバータ」と覚えると、問題の条件から正解を選びやすくなります。
試験での出題確率と対策優先度
スターデルタ起動とインバータ制御は「原動機及び電気に関する知識」の中で出題頻度が高いテーマです。「始動電流・始動トルクが1/3」という数値と「インバータは無段階速度制御」という特徴は、複数の問われ方をしても同じ知識で対応できます。この2テーマを完璧にするだけで2〜3問は安定して得点できます。
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本記事は安全衛生技術試験協会の受験案内および出題基準に基づきます。受験前に安全衛生技術試験協会の公式サイト(https://www.exam.or.jp/)でご確認ください。

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