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クレーンに使用するワイヤロープの安全係数は6以上です(クレーン等安全規則第213条)。安全係数は「切断荷重 ÷ 最大使用荷重」で求め、この値が6以上でなければ使用できません。試験ではこの数値と、ワイヤロープの種類・廃棄基準が頻出です。
出典:クレーン等安全規則第213〜219条
安全係数の定義と計算
安全係数は、材料の切断荷重(破断荷重)を最大使用荷重で割った数値です。
安全係数 = 切断荷重 ÷ 最大使用荷重
例:切断荷重60kNのワイヤロープを最大使用荷重10kNで使用する場合
安全係数 = 60 ÷ 10 = 6
安全係数6以上が要件ですから、この例はちょうど基準を満たしています。最大使用荷重が11kNになると安全係数は60÷11≈5.45となり、基準を下回ります。
クレーンのワイヤロープ安全係数の規定値
| 使用箇所 | 安全係数の最小値 | 根拠条文 |
|---|---|---|
| クレーン本体のワイヤロープ(荷をつるもの) | 6以上 | クレーン等安全規則第213条 |
| 玉掛け用ワイヤロープ | 6以上 | クレーン等安全規則第213条 |
| フック・シャックル等の金具 | 5以上 | クレーン等安全規則第214条 |
| リンクチェーン(伸び10%未満のもの) | 4以上 | クレーン等安全規則第216条 |
ワイヤロープとフックで安全係数の基準が異なることに注意してください。ワイヤロープは6、フック等金具は5です。
ワイヤロープの種類
試験では「より」の種類と用途の違いが問われます。
よりの方向による分類
- Z より(右より):ストランド(素線の束)が右方向によっている。標準的なタイプ。
- S より(左より):ストランドが左方向によっている。ドラムの巻き方向に応じて選択。
より方による分類
- 普通より:素線のよりとストランドのよりが逆方向。柔軟性があり一般的なクレーンに使われる。
- ラングより:素線のよりとストランドのよりが同方向。耐摩耗性が高いが、端部のほぐれに注意が必要。
コアの種類
- 繊維心(FC):麻などの繊維が芯。柔軟性が高い。
- ワイヤロープ心(IWRC):細いワイヤロープが芯。強度・耐熱性が高い。高温環境や重荷重に使用。
ワイヤロープの廃棄基準
クレーン等安全規則第215条は、以下の状態のワイヤロープは使用してはならないと規定しています。
- ワイヤロープ1よりの間において素線の数の10%以上が切断しているもの
- 直径の減少が公称径の7%を超えるもの
- キンク(よじれ)したもの
- 著しい形崩れや腐食があるもの
出典:クレーン等安全規則第215条
廃棄基準の数値「10%切断」「7%減少」は試験で問われる代表的な数字です。正確に覚えてください。
試験で注意すべきポイント
- 安全係数の基準は「以上」。ちょうど6は基準を満たすが、5.9は不合格。
- ワイヤロープの廃棄基準は「1よりの間で10%以上切断」。「1本でも切れたら廃棄」ではない。
- 直径の減少は「公称径の7%を超えた場合」に廃棄。7%ちょうどは使用可能。
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本記事はクレーン等安全規則(昭和47年労働省令第34号)に基づきます。受験前に最新の法令および安全衛生技術試験協会の公式サイト(https://www.exam.or.jp/)でご確認ください。
ワイヤロープの日常点検・定期自主検査
クレーン等安全規則では、ワイヤロープの点検を次のとおり義務付けています。
| 点検の種別 | 頻度 | 根拠条文 |
|---|---|---|
| 作業開始前点検 | 作業日ごと(1日1回以上) | クレーン則第36条 |
| 月例定期自主検査 | 月1回以上 | クレーン則第34条 |
| 年次定期自主検査 | 1年以内ごとに1回 | クレーン則第34条 |
出典:クレーン等安全規則第34〜36条
作業開始前点検では、ワイヤロープの素線切れ・直径減少・キンク・著しい腐食がないかを目視・触診で確認します。廃棄基準に該当するものは直ちに使用を中止します。
安全係数を試験で計算するときの注意
安全係数の計算問題では、次の点に注意してください。
- 「以上」の意味:安全係数6以上は「6.0を含む」。5.99は基準を下回る。
- 単位の統一:切断荷重と最大使用荷重の単位(kN・N・tf等)を揃えてから計算する。
- 玉掛けワイヤの安全係数も同じ6以上:クレーン本体と玉掛けで基準が異なるかのように見える選択肢に注意。
試験頻出の数値一覧
| 項目 | 数値 | 根拠 |
|---|---|---|
| ワイヤロープ安全係数 | 6以上 | クレーン則第213条 |
| フック・シャックル安全係数 | 5以上 | クレーン則第214条 |
| 廃棄基準(素線切断) | 1よりの間で10%以上 | クレーン則第215条 |
| 廃棄基準(直径減少) | 公称径の7%超 | クレーン則第215条 |
ワイヤロープの選定・使用にあたる注意事項
クレーンに使用するワイヤロープは、使用する前に次の事項を確認します。
- 安全係数の確認:切断荷重 ÷ 最大使用荷重 が6以上であることを計算・確認する
- 公称径の確認:ワイヤロープの太さは公称径(mm)で表示される。シーブやドラムの溝径と適合するか確認する
- 廃棄基準の確認:素線の切断数・直径の減少・キンク・腐食がないか目視確認する
ストランドと素線の関係
ワイヤロープの構造は次のように階層になっています。
- 素線(wire):最も細い金属線。素線が複数本よられて「ストランド」を作る
- ストランド(strand):素線の束。複数のストランドが芯(コア)の周りによられて「ワイヤロープ」になる
- コア(心):ストランドの中心にある芯。繊維心(FC)またはワイヤロープ心(IWRC)がある
廃棄基準の「1よりの間で10%以上の素線切断」における「1より」とは、ストランドが1回転する長さのことです。この範囲内で切断している素線の数が、全素線数の10%以上に達した場合に廃棄します。

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