第一種衛生管理者の試験科目と出題範囲。5科目44問の内訳と合格基準を解説

第一種衛生管理者の試験は5科目・44問の五肢択一式で、試験時間は3時間です。有害業務に係る法令・労働衛生(各10問)と、一般の法令・労働衛生(各7問)、労働生理(10問)で構成されています。合格基準は「各科目40%以上かつ全体60%以上(27問以上)」の2段階です。このページでは科目ごとの出題内容・問題数・合格ラインを詳しく解説します。

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試験の基本構成。5科目・44問・3時間

試験は次の5科目で構成されます(公益財団法人 安全衛生技術試験協会「衛生管理者試験受験案内書」より)。

科目名 問題数 満点 合格ライン(40%)
有害業務に係る関係法令 10問 10点 4問以上
有害業務に係る関係労働衛生 10問 10点 4問以上
関係法令(有害業務以外) 7問 7点 3問以上
労働衛生(有害業務以外) 7問 7点 3問以上
労働生理 10問 10点 4問以上
合計 44問 44点 27問以上(全体60%)

出典:公益財団法人 安全衛生技術試験協会「衛生管理者試験受験案内書」

試験形式は五肢択一式(5つの選択肢から正解を1つ選ぶ形式)です。記述式・計算問題はありません。マークシートに鉛筆またはHBのシャープペンシルで記入します。

合格基準の仕組み。2つの条件を同時に満たす必要がある

合格するには、次の2つの条件を同時に満たさなければなりません。

  1. 科目別の足切り:各科目の得点がその科目の満点の40%以上であること
  2. 全体の合格ライン:5科目合計で44問中27問以上(60.6%以上)正解していること

たとえば、有害業務法令が3問しか正解できなかった(満点10点中3点=30%)場合、他の4科目で満点を取っても不合格です。逆に、4科目でほぼ満点でも1科目が40%を下回れば不合格になります。「苦手科目を得意科目でカバーする」という戦略が使えないため、全科目を一定水準まで仕上げる必要があります。

科目1:有害業務に係る関係法令(10問)

有害業務を規制する5つの省令から出題されます。各規則の選任義務・作業主任者・特殊健康診断・設備基準・管理区分などが問われます。

根拠規則 主な出題内容
有機溶剤中毒予防規則(有機則) 有機溶剤の分類(第1・2・3種)・作業主任者の選任義務・局所排気装置の設置基準・特殊健康診断の実施頻度
特定化学物質障害予防規則(特化則) 特定化学物質の区分(第1・2・3類)・取り扱い設備・特殊健康診断・作業環境測定の頻度
鉛中毒予防規則(鉛則) 鉛業務の範囲・作業主任者の選任・特殊健康診断の対象と頻度・血中鉛濃度の管理値
粉じん障害防止規則(粉じん則) 特定粉じん作業の種類・呼吸用保護具の要件・じん肺健康診断の実施義務
石綿障害予防規則(石綿則) 石綿含有建材の取り扱い制限・作業主任者の選任・特殊健康診断の頻度・健康管理手帳

各規則に共通する構造(選任義務・設備基準・健康診断・記録保存年限)を理解した上で、規則ごとの違いを整理するのが効率的な学習方法です。

科目2:有害業務に係る関係労働衛生(10問)

有害因子による健康障害の予防と、作業環境管理の実務的な知識が問われます。

  • 職業性疾病:化学物質(鉛・有機溶剤・特定化学物質)・粉じん(じん肺)・騒音・振動・放射線・高温・低温・高気圧作業による健康障害の種類・症状・予防措置
  • 作業環境測定:デザイン・サンプリング・分析の基本。A測定・B測定の違い、管理区分の判定方法(第1管理区分・第2管理区分・第3管理区分)
  • 局所排気装置:フード・ダクト・ファン・空気清浄装置の構成と仕組み。制御風速の設定方法
  • 呼吸用保護具:防じんマスク・防毒マスク・送気マスク・空気呼吸器の種類と適用場面。フィットテストの義務
  • リスクアセスメント:化学物質のリスクアセスメントの義務(対象物質)・実施手順・記録の保存

この科目は、法律の条文より実務的な知識(設備の仕組み・測定方法・保護具の種類)が問われる比率が高い点が特徴です。図解を活用した学習が効果的です。

科目3:関係法令(有害業務以外)(7問)

衛生管理者・産業医・衛生委員会の選任義務、健康診断・面接指導・ストレスチェックの実施義務が中心です。

  • 衛生管理者:選任義務が生じる事業場の規模(労働者50人以上)・選任すべき人数・業種による区分(第一種が必要な業種)・選任後の届出義務・定期巡視の義務
  • 産業医:選任義務が生じる規模(労働者50人以上)・専属産業医が必要な規模(1,000人以上、または有害業務で500人以上)・職務内容・勧告権
  • 衛生委員会:設置義務が生じる規模(労働者50人以上)・委員の構成(議長・産業医・衛生管理者・衛生推進者・労働者代表)・開催頻度(毎月1回以上)・議事録の保存年限(3年)
  • 健康診断:一般定期健康診断の実施義務・実施頻度(1年以内に1回)・有害業務従事者の特殊健診・入職時健診の義務
  • 面接指導:時間外労働が月80時間超の労働者への実施義務・医師による面接・事業者の措置
  • ストレスチェック:実施義務が生じる規模(労働者50人以上)・実施頻度(年1回)・実施者(医師・保健師等)・結果の通知・集団分析

実務に近い内容が多く、職場で衛生管理の経験がある方は得点しやすい科目です。選任人数・実施頻度・記録保存年限などの数字を確認しておくことが重要です。

科目4:労働衛生(有害業務以外)(7問)

有害物質・有害作業以外の職場環境の改善とメンタルヘルス対策が出題されます。

  • VDT作業(情報機器作業):ディスプレイ・照明・姿勢・休憩の基準。VDT作業ガイドラインによる推奨値(画面と目の距離・照度・連続作業時間)
  • 照明・換気:作業の種類に応じた照度の基準値(精密作業300ルクス以上・一般作業150ルクス以上など)・必要換気量の計算(実際の計算式が出題されることは少ない)・CO₂濃度の管理基準(1,000ppm以下)
  • 温湿度管理:熱中症の予防対策・WBGT(暑さ指数)の意味と管理・低温環境での対策
  • 腰痛予防:腰痛予防対策指針の内容(作業態様・体操・就業配慮など)
  • メンタルヘルス対策:4つのケア(セルフケア・ラインによるケア・事業場内産業保健スタッフ等によるケア・事業場外資源によるケア)・ストレスへの早期対応
  • 受動喫煙防止:職場における受動喫煙防止の義務(健康増進法の改正内容)

科目5:労働生理(10問)

人体の生理学的な基礎知識が問われます。試験では理解より暗記を問う問題が多い科目です。

  • 呼吸:外呼吸(肺での酸素・二酸化炭素の交換)と内呼吸(組織での交換)の違い・呼吸中枢の場所(延髄)・呼吸数の変化(安静時15〜20回/分)・CO₂増加による呼吸促進
  • 循環・血液:心臓のポンプ機能・体循環と肺循環の違い・血液の組成(赤血球・白血球・血小板・血漿)・ヘモグロビンの役割・ABO式血液型とRh因子
  • 消化・代謝:三大栄養素(たんぱく質・糖質・脂質)の消化・吸収・代謝の概要・基礎代謝量の変化(年齢・性別・体表面積との関係)
  • 神経:中枢神経系(脳・脊髄)と末梢神経系の分類・自律神経(交感神経・副交感神経)の働きと支配器官
  • 筋肉・疲労:骨格筋の収縮メカニズム・乳酸の産生・精神的疲労と身体的疲労の違い・疲労の指標(VAS・フリッカー値)
  • 体温調節:体温の正常値と変動・体熱産生と体熱放散のバランス・熱中症の種類(熱失神・熱疲労・熱けいれん・熱射病)と症状
  • 感覚器:視覚(明順応・暗順応・近点・遠点)・聴覚(音の伝導路・騒音性難聴・高音域から障害される)・嗅覚・痛覚

労働生理は項目数が多い一方で、問われる内容が比較的パターン化されています。各項目の「基本的な数値」(呼吸数・正常血圧の目安・基礎体温の範囲など)と「関係性の方向」(交感神経が活性化すると心拍数は上がる、副交感神経が活性化すると消化促進、など)を整理することが効率的です。

第二種衛生管理者との科目比較

第二種衛生管理者は、第一種の科目のうち「有害業務に係る関係法令」と「有害業務に係る関係労働衛生」の2科目(計20問)がありません。

科目 第一種 第二種
有害業務に係る関係法令(10問) あり なし
有害業務に係る関係労働衛生(10問) あり なし
関係法令(一般)(7問) あり あり
労働衛生(一般)(7問) あり あり
労働生理(10問) あり あり
合計 44問 30問

第二種から第一種へのステップアップを考えている方は、有害業務関係の2科目を追加で学習するだけで第一種の受験が可能です。ただし、第二種免許所持者が第一種試験を受ける場合、3科目(一般法令・一般労働衛生・労働生理)が免除されます。

科目ごとの勉強のポイントまとめ

科目 攻略のポイント
有害業務法令 5規則を横断した一覧表を作る。各規則の選任義務・特殊健診の頻度・管理区分をまとめて比較する
有害業務労働衛生 職業性疾病の原因物質と症状をセットで覚える。保護具の種類と適用場面を図解で整理する
一般法令 人数・回数・年限などの数字を確認する。衛生委員会・健康診断・ストレスチェックの比較表を作る
一般労働衛生 照度・換気量・VDT作業の推奨値を数字で覚える。メンタルヘルス4つのケアは名前と内容をセットで
労働生理 反復暗記が中心。就寝前の読み込みが効果的。各器官の機能と「方向性(増加・減少)」をセットで記憶する

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出典:
・公益財団法人 安全衛生技術試験協会「衛生管理者試験受験案内書」(www.exam.or.jp)
・労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)・関係省令

この試験の受験資格・科目・合格率・勉強法をまとめた総合ガイドはこちらです:第一種衛生管理者 試験ガイド2026。受験資格・科目・合格率・勉強法を1枚で確認する。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

ご質問はメールで。電話・面談はしていません。

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