短期入所の食事・嚥下支援研修。入所時の食形態確認と窒息時の対応。

短期入所の食事・嚥下支援研修。入所時の食形態確認と窒息時の対応。 短期入所

短期入所での食事支援は、入所時に家庭の食形態・アレルギー・嚥下機能を正確に把握することから始まります。家庭と施設で食形態が異なると誤嚥・窒息のリスクが生じるため、引継ぎの確認が最初の安全対策になります。基準第49条(第145条で準用)の事故防止義務をふまえ、食事・嚥下支援研修で確認すべき内容をまとめました。

入所時に確認すべき食事情報は食形態・アレルギー・嚥下機能・食べ方の4つ

短期入所は家庭からの預かりであるため、食事の提供は家庭での方法に合わせることが誤嚥・窒息事故の防止につながります。家族からの引継ぎシートには次の4項目を必ず記入してもらいます。

  • 食形態:普通食・刻み食・ミキサー食・ペースト食など。家庭での言い方と施設の分類が異なる場合は確認する
  • アレルギー:食物アレルギーの有無・アレルゲン(卵・乳・小麦・そば等)・症状の重篤度
  • 嚥下機能:むせやすいか・水分にとろみが必要か・飲み込みが遅いか。嚥下訓練を受けているかどうか
  • 食べ方の特性:食べる速度・介助の有無・好き嫌い・食事中に落ち着いていられる時間

これらの情報が入所前に入っていない場合は、受け入れ当日に家族から口頭で確認し、記録に残します。記録のない状態で食事を提供しないことが最初の安全ルールです。

嚥下困難のある利用者への食形態は学会分類2021を共通言語として使う

日本摂食嚥下リハビリテーション学会「嚥下調整食分類2021」は、食事の形態と嚥下機能の段階を統一した基準で示したものです(分類の詳細は日本摂食嚥下リハビリテーション学会のガイドラインを参照してください)。この分類をチームで共通言語として使うことで、「刻み食」という言葉が人によって異なる大きさを指してしまう問題を防げます。

主な段階の概要は次のとおりです。

コード 名称 特徴
0j 嚥下訓練食0j 均質なゼリー。嚥下機能が非常に低下している段階の訓練用
1j 嚥下調整食1j 均質なゼリー・ムース状。べたつかず離水しない
2-1 嚥下調整食2-1 ピューレ状・ペースト状。均質でなめらか
3 嚥下調整食3 舌と口蓋でつぶせる固さ(豆腐程度)。まとまりやすい
4 嚥下調整食4 歯や補綴でつぶせる固さ。箸やスプーンで切れる

表は日本摂食嚥下リハビリテーション学会「嚥下調整食分類2021」の概要を当方がまとめたものです。正確な分類の詳細は同学会のガイドラインを確認してください。

水分にとろみをつける場合は、薄いとろみ・中間のとろみ・濃いとろみの3段階があります。家庭でのとろみの濃さと施設での基準が一致しているか、入所時に確認します。

誤嚥・窒息のリスクが高い4つの場面を研修で確認する

誤嚥(食物や水分が気道に入ること)と窒息は、食事支援で最も避けなければならない事故です。リスクが高い場面を職員全員が把握しておくことが予防の第一歩です。

  • 急いで食べる場面:食べる速度が速い利用者が、職員の介助ペースよりも早く口に食物を入れようとする。介助者が1口ごとに飲み込みを確認せずに次を入れてしまう
  • 横になったまま食べる場面:起き上がれない利用者への食事介助で、頭が後ろに反った姿勢のまま食べさせてしまう(30〜45度の角度が目安)
  • 乾燥した食品:おかき・クッキー・パン(食パンを除く)などは唾液が少ないとまとまりにくく誤嚥しやすい
  • 薬の服用時:水分のとろみが必要な利用者が、薬だけ水で飲む場面。とろみ水での服薬を徹底する

(出典:解釈通知(障発第1206001号・最終改正令和7年3月31日))

窒息が発生した場合は「背部叩打法→腹部突き上げ法」の順で対応する

窒息の緊急対応は、毎年1回の実技訓練で手順を体に覚えさせておくことが重要です。

意識がある場合の対応:

  • ① 「吐き出せますか?」と声をかけ、自力で吐き出せるか確認する
  • ② 自力で吐き出せない場合は背部叩打法:背中の両肩甲骨の間を手のひらの付け根で力強く5回たたく
  • ③ 効果がない場合は腹部突き上げ法(ハイムリック法):背後から両腕を回して上腹部を素早く突き上げる(妊婦・乳児には不可)
  • ④ 119番への通報と管理者への連絡を同時に進める

意識を失った場合:

  • 床に横たえて119番に通報し、救急隊員の指示に従う
  • 心肺蘇生(AED・胸骨圧迫)の準備をする

乳幼児(1歳未満)の場合は背部叩打法の姿勢と力加減が異なります。乳幼児が入所する施設では、乳幼児への対応も研修に含めてください。

食事記録は摂取量・嚥下状態・気になる点の3項目を毎食記録する

食事の記録は、体調変化の早期発見と家族への情報提供の両方に使います。毎食、次の3項目を記録します。

  • 摂取量:全量・7〜8割・半量・ほぼ食べず(全体の割合で記録)
  • 嚥下状態:むせなし・軽度のむせあり・咳が続く・嘔吐の有無
  • 気になる点:食欲の変化・好きなはずのものを食べなかった・食べる速度の変化

食事摂取量が普段の半量以下が2食連続した場合は、管理者・家族・看護職(配置がある場合)に報告します。脱水・体調不良の兆候として早めに把握することが重要です。

口腔ケアとの関連については短期入所の口腔ケア研修もあわせて確認してください。

研修資料・確認テストは法定研修・訓練キット(短期入所版)でまとめて用意できます。

この記事は、障害者総合支援法に基づく基準(平成18年厚生労働省令第171号)、解釈通知(障発第1206001号・最終改正令和7年3月31日)の原文を確認して書いています(確認日:2026年11月1日)。食形態分類については日本摂食嚥下リハビリテーション学会「嚥下調整食分類2021」を参照しています。所在地の指定権者(都道府県・市)の案内もあわせて確認してください。作成:fufumumu_design

この記事の出典

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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