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ボイラーで供給された熱の全てが蒸気として有効利用されるわけではなく、さまざまな経路で熱が失われます。一級ボイラー技士試験では、熱損失の種類・計算の基礎・熱効率向上策が出題されます。
ボイラー熱効率の定義
ボイラー熱効率(η)は次の式で定義されます。
η = 有効熱量(蒸発に利用された熱量)/ 燃料の保有熱量(低発熱量基準) × 100 [%]
高効率ボイラーでは、この値が85〜92%程度に達するものもあります(設計・運転条件によって異なります)。
熱損失の種類
| 損失の種類 | 発生メカニズム | 低減策 |
|---|---|---|
| 排ガス損失 | 煙突から排出する排ガスの保有熱。熱損失の中で最大 | 節炭器・空気予熱器で排ガス熱を回収 |
| 不完全燃焼損失(可燃ガス損失) | CO・H₂等の未燃ガスが排ガス中に残る | 適正空気比の維持・バーナーの調整 |
| 固体未燃焼損失 | 灰の中に未燃炭素が残る(石炭燃焼で発生) | 適正な粉砕粒度・燃焼時間の確保 |
| 放散損失(外面放熱損失) | ボイラー外面からの放熱 | 保温材の充実・外壁面の管理 |
| ブロー損失 | 不純物除去のためのブローダウンで熱が失われる | 適切なブロー量の管理・ブロー熱の回収 |
排ガス損失の低減策(廃熱回収)
排ガス損失はボイラー熱損失の中で最も大きな割合を占めます。この損失を低減するために廃熱回収設備が設けられます。
節炭器(エコノマイザー)
- 煙道に設置され、排ガスの熱で給水を予熱する
- 給水温度を上げることで缶内での蒸発に必要な熱量が減り、熱効率が改善する
- 給水温度を10℃上昇させることで熱効率を約0.5〜1%改善できる(ボイラー工学の目安値)
空気予熱器
- 排ガスの熱で燃焼用空気を予熱する
- 予熱された高温空気が燃焼を改善し、熱効率が向上する
- 低温腐食に注意:排ガス温度を酸露点(重油燃焼時は120〜150℃)以上に保つ必要がある
スケール付着と熱効率
ボイラー伝熱面にスケール(主成分:炭酸カルシウム・硫酸カルシウム)が付着すると、熱伝導率が著しく低下します。
- スケールの熱伝導率は鋼(鉄)の熱伝導率に比べて数十分の一程度です(スケールの種類によって異なります)
- スケールが付着すると伝熱効率が低下し、同量の熱を得るために燃料消費量が増加する
- スケール防止のために水処理(軟化・脱塩)と定期的な清掃が不可欠
空気比と熱効率の関係
空気比の管理は熱効率に直接影響します。
- 空気比が低すぎる:不完全燃焼→COやすすが発生→可燃ガス損失が増加
- 空気比が高すぎる:過剰空気が加熱されて排ガス温度が上昇→排ガス損失が増加
- 最適空気比で燃焼させることで排ガス損失と不完全燃焼損失の両方を最小化できる
ボイラー負荷と熱効率
- ボイラーは設計上の定格負荷付近で最も高い熱効率を発揮するよう設計されている
- 低負荷運転(部分負荷)では放散損失の割合が増加し、熱効率が低下する傾向がある
- 複数台のボイラーを使用する場合、需要に応じた適切な台数運転が効率的
一級試験での出題傾向
- 熱損失の種類と発生原因の組み合わせは択一頻出
- 節炭器の役割(排ガス熱で給水を予熱)と熱効率改善の関係
- スケール付着が熱効率を下げる理由(熱伝導率低下)
出典:ボイラー及び圧力容器安全規則(昭和47年労働省令第33号)・ボイラー構造規格(昭和47年労働省告示第33号)・安全衛生技術試験協会 公表試験問題
作成:fufumumu_design|更新:2026年11月
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