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炉筒煙管ボイラーは中小規模の工場・病院・ビルに広く使われる丸形ボイラーです。一級ボイラー技士試験では、炉筒・煙管・管板・ステーなど各部品の構造、強度計算の基礎、特有の損傷(膨れ・亀裂)の原因が出題されます。
炉筒煙管ボイラーの基本構造
炉筒煙管ボイラーは、水平に置かれた円筒形の胴の中に炉筒(内部燃焼室)と多数の煙管が設置された構造です。
| 部品名 | 役割 |
|---|---|
| 胴(円筒胴) | 水と蒸気を保持する外側の圧力容器。鋼板を溶接または継ぎ手で製作 |
| 炉筒 | 胴の内部に設置された燃焼室。バーナーから噴出した燃料が燃焼する |
| 煙管 | 炉筒後部(後部煙室)から前部(前部煙室)に向けて配置された多数の細管。高温燃焼ガスが通過して管外の水を加熱する |
| 管板(前板・後板) | 炉筒と煙管の両端を保持する鋼板。高温・高圧に耐える必要がある |
| ステー | 管板や鏡板が内圧で変形・膨らみ(バルジング)しないよう補強する棒または管 |
| 後部煙室(リターンチャンバー) | 炉筒出口の燃焼ガスを煙管入口に転向させる空間 |
波形炉筒の構造と目的
炉筒には波形(コルゲート)炉筒と平形炉筒の2種類があります。一級ボイラーでは波形炉筒が主に使用されます。
波形炉筒の特徴
- 外圧に対する強度向上:波形形状が断面二次モーメントを増加させ、外圧(胴内圧力)による座屈(圧潰)に強くなる
- 熱伸びの吸収:波形が熱伸縮を吸収するばね(スプリング)の役割を果たし、管板への熱応力を軽減する
- 伝熱面積の増加:波形により表面積が増える(ただし主目的は強度・熱変形対策)
平形炉筒との比較
| 項目 | 波形炉筒 | 平形炉筒 |
|---|---|---|
| 外圧強度 | 高い(波形が圧潰を防止) | 低い(ステーで補強が必要) |
| 熱伸縮への対応 | 波形が熱変形を吸収 | 吸収能力が低い |
| 製造コスト | やや高い | 安い |
ステーの種類
ステーは管板や平形鏡板を内圧から守るための引っ張り部材(または圧縮部材)です。
- 棒ステー:鋼棒を管板間に渡して固定する。最も基本的なステー
- 管ステー(煙管兼用):強度ステーとして機能しながら、内部を燃焼ガスが通過する煙管を兼ねる
- ガセットステー(斜めステー):前板・後板と胴の接合部を斜めに補強するステー
- タイロッド(長手ステー):ボイラーの長手方向に設置する棒ステー
炉筒煙管ボイラーの損傷と原因
| 損傷 | 部位 | 原因 |
|---|---|---|
| 膨れ(バルジング) | 炉筒・管板 | スケール付着による局部過熱・低水位運転 |
| 圧潰(座屈) | 炉筒 | 炉筒が規定の最低肉厚を下回った・腐食で薄肉化 |
| 亀裂 | 溶接部・管板 | 熱疲労・溶接欠陥・急激な温度変化(熱衝撃) |
| 煙管の漏れ | 煙管端部(管板接合部) | 腐食・熱疲労による溶接部や転造部の損傷 |
炉筒の最小肉厚(ボイラー構造規格)
ボイラー構造規格では、炉筒の最小肉厚を規定しています。腐食・摩耗で規定肉厚を下回った場合は廃棄・補修が必要です。肉厚の測定は超音波厚さ計で行います。
一級試験での出題傾向
- 波形炉筒の目的(外圧強度向上・熱伸縮吸収)は択一頻出
- ステーの種類と役割の組み合わせ
- 膨れ(バルジング)の原因(スケール付着→局部過熱)
出典:ボイラー及び圧力容器安全規則(昭和47年労働省令第33号)・ボイラー構造規格(昭和47年労働省告示第33号)・安全衛生技術試験協会 公表試験問題
作成:fufumumu_design|更新:2026年11月
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