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ボイラー用水に含まれるカルシウム・マグネシウム等の硬度成分はスケール(水垢)の原因になります。一級ボイラー技士試験では硬度の種類・スケール障害・軟化処理の方法が頻出です。
硬度とは
水の硬度とは、主にカルシウムイオン(Ca²⁺)とマグネシウムイオン(Mg²⁺)の含有量を炭酸カルシウム(CaCO₃)に換算して表した値です。単位はmg/L(ppm)またはmol/Lを使います。
硬度の種類
| 種類 | 原因成分 | 特徴 |
|---|---|---|
| 炭酸塩硬度(一時硬度) | Ca(HCO₃)₂・Mg(HCO₃)₂ | 加熱で沈殿・除去できる |
| 非炭酸塩硬度(永久硬度) | CaSO₄・MgSO₄・CaCl₂等 | 加熱では除去できない |
| 全硬度 | 炭酸塩硬度+非炭酸塩硬度 | 水質の総合硬度指標 |
スケール(水垢)とその害
硬度成分はボイラー内で加熱・蒸発によって濃縮し、管壁・胴内面にスケール(水垢)として析出します。主なスケール成分は炭酸カルシウム(CaCO₃)・硫酸カルシウム(CaSO₄)・シリカ(SiO₂)などです。
スケールの熱的害
スケールは熱伝導率が鉄鋼(約45 W/m·K)の数十〜数百分の1と非常に低いため、伝熱を著しく阻害します。
- スケール1mm程度の堆積で熱効率が数%低下する(組成によって異なる)
- 管壁温度が過剰に上昇して過熱損傷・バーストの原因になる
- スケール付着は蒸気の発生効率を下げ、燃料消費量を増加させる
シリカスケール
シリカ(SiO₂)は高圧ボイラーでは高温高圧蒸気に溶解(気化搬出)し、蒸気タービンの翼に付着して出力を低下させる特殊な問題を起こします。シリカは軟化装置では除去できず、逆浸透膜・脱塩装置で除去する必要があります。
軟化処理(硬度除去)の方法
1. イオン交換軟化(ゼオライト軟化)
陽イオン交換樹脂(ゼオライト)を充填した軟化装置に給水を通すと、樹脂のナトリウムイオン(Na⁺)とカルシウム・マグネシウムイオンが交換され、硬度成分が除去されます。
- 処理後の水は硬度ゼロ(軟水)になる
- 樹脂が飽和したら食塩(NaCl)水で再生(Na型に戻す)する
- 全硬度を除去できるが、シリカや溶解固形物(TDS)は除去できない
2. 石灰・ソーダ法(石灰軟化法)
消石灰(Ca(OH)₂)と炭酸ナトリウム(Na₂CO₃)を添加して、炭酸カルシウムや水酸化マグネシウムを沈殿させて除去します。大量処理に向きますが完全除去は難しく、後処理でイオン交換処理が必要な場合があります。
3. 逆浸透膜(RO膜)処理
半透膜に高圧をかけてイオン・分子を除去します。シリカ・硬度成分・溶解固形物を同時に低減できます。高圧ボイラー用の純水製造に使用されます。
4. 薬品処理(スケール防止剤)
スケール防止剤(りん酸塩・重合りん酸塩・有機剤)を缶水に添加し、スケール成分を分散させて管壁への付着を防止します。脱缶洗浄前の補助的な処置として使われることもあります。
ボイラー水質管理(JIS B 8223)
JIS B 8223「ボイラーの給水及びボイラー水の水質」では、最高使用圧力に応じた給水・缶水の水質管理基準(硬度・pH・電気伝導率・溶存酸素等)が定められています。水質管理は定期的な試験(滴定・比色法)で確認します。
スケール除去(酸洗浄)
付着したスケールを除去するには塩酸・クエン酸・硫酸等の希薄酸を缶内に循環させる酸洗浄(化学洗浄)を行います。酸洗浄後は十分な中和・水洗が必要です。
試験対策ポイント
- 炭酸塩硬度(一時硬度)は加熱で除去できるが、非炭酸塩硬度(永久硬度)は加熱では除去できない
- イオン交換軟化はゼオライト使用・全硬度を除去・食塩水で再生
- シリカスケールは高圧ボイラーのタービン翼に付着する特殊な問題
- スケール付着は熱伝導を阻害し、管の過熱・バーストの原因になる
まとめ
- 硬度成分(Ca²⁺・Mg²⁺)がスケールの原因
- 一時硬度は加熱で除去可・永久硬度は化学処理が必要
- イオン交換軟化が最も一般的な軟化処理方法
- JIS B 8223で圧力区分ごとの水質管理基準が定められている
出典:ボイラー及び圧力容器安全規則・ボイラー構造規格・JIS B 8223・安全衛生技術試験協会 公表試験問題
作成:fufumumu_design|更新:2026年11月
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