生活介護の個別支援計画。作成から見直しまでの流れ。

生活介護事業所は、利用者一人ひとりに「個別支援計画」を作成することが義務付けられています。計画の作成・説明・交付・モニタリング・見直しという一連の手順は、指定障害福祉サービスの指定基準(平成18年厚生労働省令第171号 第95条・第96条)に定められており、運営指導でも確認される重要な事項です。

この記事では、個別支援計画の作成義務の根拠・作成の流れ・記載すべき内容・更新のタイミングを整理します。

個別支援計画の作成義務:省令171号 第95条

生活介護を提供する指定事業所のサービス管理責任者は、利用者の「心身の状況、その置かれている環境、日常生活全般の状況及び希望等を踏まえて」個別支援計画を作成しなければなりません(省令171号 第95条第1項)。

計画の作成にあたっては、次の手順が求められます(同条・第96条)。

  1. 利用者の状況等のアセスメント(評価・情報収集)
  2. 個別支援計画原案の作成
  3. 計画案の内容を利用者または家族に説明し、文書による同意を得る
  4. 個別支援計画の交付(利用者に写しを渡す)
  5. 実施状況のモニタリング
  6. 計画の定期的な見直し(再作成)

アセスメントの内容

個別支援計画作成の前提として行うアセスメントでは、利用者の心身の状況(障害の種類・程度、医療的なケアの有無等)、生活環境(家族構成・居住形態等)、日常生活の課題と本人の希望・意向を把握します。

アセスメントは利用者本人から直接聞き取ることが基本ですが、意思疎通に制約がある場合は家族や後見人等から情報を得ることも認められています。アセスメントの内容は記録として残し、計画に反映させます。

個別支援計画に記載する内容

個別支援計画に記載する主な内容を整理します。

記載項目 内容の例
総合的な支援の方針 利用者の生活全般にわたる支援の基本的な方向性
長期目標 おおむね1年後に実現を目指す状態(達成期間を明示)
短期目標 おおむね6か月以内に実現を目指す具体的な状態
具体的な支援内容 活動の種類・内容・実施時間・担当者
サービス提供上の留意事項 健康上の注意点、緊急時の対応、他サービスとの連携
計画の期間 開始日から見直し予定日まで

目標は「〇〇ができるようになる」という到達可能・測定可能な形で記載することが望まれます。あいまいな目標では、次回モニタリング時に達成状況の評価ができないためです。

利用者への説明・同意・交付

個別支援計画の原案を作成したら、利用者またはその家族に計画内容を説明し、文書による同意を得なければなりません(省令171号 第95条第4項)。

「文書による同意」とは、計画書に利用者または家族の署名・捺印を得ることです。説明と同意は原案の段階で行います。計画を確定してから事後報告するだけでは要件を満たしません。

同意を得た後、計画の写しを利用者に交付します(第95条第5項)。事業所には交付した計画書の写しを保管します。

モニタリング:実施状況の定期確認

計画交付後は、定期的に支援の実施状況をモニタリングし、記録します。モニタリングでは、計画に定めた目標の達成状況、利用者の心身状況の変化、支援の効果を評価します。

モニタリングの実施頻度について、省令171号は「定期的に」とだけ定めており、具体的な頻度の指定はありません。ただし留意事項通知(厚生労働省 障障発通知)では、状態の安定した利用者であっても月1回程度のモニタリングが基本とされています。利用者の状態変化があった場合は随時実施します。

個別支援計画の見直し(再作成)のタイミング

個別支援計画は「少なくとも6か月に1回以上」見直しを行い、必要があれば計画を変更します(省令171号 第95条第7項)。

また次の場合は計画の有効期間中であっても随時見直しが必要です。

  • 利用者の心身状況が大きく変化した場合
  • 利用者または家族から計画の変更の申し出があった場合
  • 支援の方向性を変える必要が生じた場合
  • 他サービスとの連携内容が変わった場合

計画を変更した場合も、説明・同意・交付の手順は再度行います。変更後の計画書に利用者の署名を得て交付します。

サービス管理責任者の役割

個別支援計画の作成はサービス管理責任者(サビ管)が担います(省令171号 第95条)。サビ管は計画作成の統括責任者として、アセスメントの実施、計画原案の作成、担当職員への指示・助言、モニタリングの管理を行います。

生活介護のサビ管の配置基準は、利用者60人以下で1人(省令171号 第78条)です。利用者が多い事業所では複数名の配置が必要になり、人件費の計画に影響します。

サビ管の要件・配置基準については、生活介護のサービス管理責任者、何人必要で、どんな要件か。で詳しく解説しています。

記録の保存義務

個別支援計画およびモニタリング記録は、利用の終了の日から5年間保存しなければなりません(省令171号 第100条)。計画書・同意書・モニタリング記録・変更履歴はすべて保管します。運営指導では記録の有無と内容が確認されます。

運営指導での確認ポイント

運営指導では、個別支援計画に関して次の点が主に確認されます。

  • すべての利用者に個別支援計画が作成されているか
  • アセスメントを行ったうえで計画が作成されているか
  • 利用者の同意を得た計画書(署名あり)が保管されているか
  • 計画の写しが交付されているか
  • 少なくとも6か月に1回以上、見直しを行っているか
  • モニタリング記録があるか

計画の様式に法的な定めはありませんが、上記の記載項目をすべてカバーできる書式を使用することが重要です。厚生労働省や都道府県が提示する書式のひな型を参考にすることができます。

まとめ

生活介護の個別支援計画は、省令171号 第95条・第96条に基づく義務的な業務です。作成から見直しまでの流れをまとめます。

  1. アセスメント(心身状況・生活環境・希望の把握)
  2. 個別支援計画原案の作成(長期目標・短期目標・支援内容)
  3. 利用者への説明と文書同意の取得
  4. 計画書の交付(写しを利用者に渡す)
  5. 月1回程度のモニタリング実施・記録
  6. 6か月に1回以上の計画見直し(必要に応じて随時)
  7. 記録の5年間保存

このサイクルが運営の根幹をなします。開業後の人員計画・業務フローを組み立てる際には、サビ管1人あたりの計画作成業務の量(担当利用者数×年2回以上の計画更新+モニタリング)を見込んでおいてください。

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この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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