消防設備士 乙種第3類(乙3)の試験で出てくる数字を整理します。不活性ガス消火設備・ハロゲン化物消火設備・粉末消火設備の3設備を扱う乙3は、それぞれの設備で異なる数字が問われるため、まとめて管理する一覧があると効率よく覚えられます。この記事では、根拠が確認できたものを告示・施行規則の条項と合わせて掲載します。
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乙3の数字が多い理由は、3設備それぞれに根拠法令が存在すること
乙3が扱う3つの設備(不活性ガス消火設備・ハロゲン化物消火設備・粉末消火設備)は、それぞれ別の施行規則と告示が根拠になっています。設置基準や構造・機能に関する数字は設備ごとに定められており、別々に押さえる必要があります。
| 設備 | 主な根拠法令 | 試験で問われる数字の例 |
|---|---|---|
| 不活性ガス消火設備(CO2・IG-541等) | 消防法施行規則第19条 不活性ガス消火設備の基準に関する告示(告示番号の詳細は告示本文で確認) |
充填比・設計濃度・比重 |
| ハロゲン化物消火設備(HFC系等) | 消防法施行規則第20条 ハロゲン化物消火設備の基準に関する告示 |
設計濃度・充填比 |
| 粉末消火設備 | 消防法施行規則第21条 粉末消火薬剤の技術上の規格を定める省令 |
薬剤の種別・化学式・適応火災 |
試験では各設備の数字を混同させる出題パターンが多いです。設備を先に確定させてから数字を当てはめる習慣をつけると正答率が上がります。
CO2貯蔵容器の充填比は1.5以上(不活性ガス消火設備の基準に関する告示)
充填比とは、容器の内容積(L)に対する消火剤の質量(kg)の比を指します。液化CO2(液化二酸化炭素)の充填比は1.5以上と告示で定められています。
| 消火剤 | 充填比 | 根拠 |
|---|---|---|
| 液化CO2(二酸化炭素) | 1.5以上 | 不活性ガス消火設備の基準に関する告示 |
充填比は「この値以上に充填しなければならない管理値」として覚えます。「規定値以上に充填する」という表現は一般的ですが、あくまで貯蔵容器の設計・管理に関するパラメーターです。
充填比が1.5以上というのは、容器1Lあたり1.5kg以上の液化CO2を充填しておくことを意味します。充填量が不足していると、放射時に設計濃度に達しない可能性があります。
なお、ハロゲン化物消火剤(HFC-23、HFC-227ea等)の充填比は薬剤の種類ごとに告示で定められていますが、数値は薬剤によって異なります。ハロゲン化物の充填比の具体的な数値は、消防試験研究センターの参考書で各薬剤ごとに確認してください。
CO2とIG-541の設計濃度は34%以上(体積%)
設計濃度とは、消火に必要な消火剤の濃度(体積比・体積%)のことです。不活性ガス消火設備で代表的な二つの消火剤、CO2(二酸化炭素)とIG-541(イナーゲン)の設計濃度は、いずれも34%以上です。
| 消火剤 | 設計濃度(一般火災) | 根拠 |
|---|---|---|
| CO2(二酸化炭素) | 34%以上(体積%) | 不活性ガス消火設備の基準に関する告示 |
| IG-541(N₂:Ar:CO₂=52:40:8) | 34%以上(体積%) | 不活性ガス消火設備の基準に関する告示 |
設計濃度34%以上という数字は「この濃度に達していれば、一般可燃物(A火災相当の素材)の火災を消火できる」という基準です。室内の空気と消火剤の混合比が34%(体積)を超えた状態を維持することで消火効果を発揮します。
設計濃度は防護区画の体積(m³)に対して、必要な消火剤の量(kg)を算出するために使います。試験では「全域放出方式における設計濃度は何%か」という形で出題されます。
深部火災(可燃物の内部に火が入り込んだ状態)の場合の設計濃度や、ハロゲン化物消火設備(HFC-227ea、FK-5-1-12等)の設計濃度は、薬剤・火災種別によって異なります。これらの具体的な数値は、消防試験研究センターの参考書で各薬剤ごとに確認してください。
粉末消火薬剤は4種類。化学式と適応火災を組み合わせて覚える
粉末消火薬剤は第1種から第4種の4種類に区分されています。試験では薬剤の種別・化学式・主成分・適応火災の組み合わせが出題されます。
| 種別 | 主成分 | 化学式 | 適応火災 |
|---|---|---|---|
| 第1種(炭酸水素ナトリウム) | 炭酸水素ナトリウム | NaHCO₃ | B火災・C火災 |
| 第2種(炭酸水素カリウム) | 炭酸水素カリウム | KHCO₃ | B火災・C火災 |
| 第3種(りん酸アンモニウム) | 第一りん酸アンモニウム(ABC粉末) | NH₄H₂PO₄ | A火災・B火災・C火災 |
| 第4種(炭酸水素カリウムと尿素の反応物) | 炭酸水素カリウム+尿素の反応物 | — | B火災・C火災 |
出典:粉末消火薬剤の技術上の規格を定める省令
第3種(ABC粉末)だけがA火災にも対応していることが最大のポイントです。試験では「A火災に対応できる粉末薬剤はどれか」または「第1種の適応火災はどれか」という形で問われます。
第1種と第2種は主成分が違う(ナトリウム系・カリウム系)だけで適応火災は同じB・Cです。第4種はカリウム系の変種で消火能力が高いとされますが、適応火災はB・Cです。第3種だけがAに対応する「例外」として覚えると混同しにくくなります。
CO2は空気の約1.5倍の比重を持ち、低所に滞留する
二酸化炭素(CO2)の比重は空気の約1.5倍です。空気より重いため、放出されると床面付近に溜まりやすい性質があります。
| 物質 | 比重(空気=1.0) | 滞留する場所 |
|---|---|---|
| 空気 | 1.0(基準) | — |
| 二酸化炭素(CO2) | 約1.5 | 低所(床面付近) |
この性質は、乙3の試験では次の2つの場面で問われます。
- CO2消火設備を放出した防護区画への立ち入りが危険な理由(人体への影響:窒息リスク)
- 全域放出方式の防護区画の条件(開口部の面積・位置の制限)
CO2は酸素を希釈して消火するガス系消火設備のため、放出された区画内の酸素濃度が急激に下がります。比重が大きいため、床面付近に高濃度のCO2が残留する点も覚えておきます。
加圧用ガス容器(粉末消火設備)は封板付きで、電気信号により開放する
粉末消火設備の加圧方式には「蓄圧式」と「加圧式(加圧用ガス容器方式)」があります。試験でよく出るのは加圧用ガス容器(窒素ガス等を充填した小型容器)の特徴です。
- 加圧用ガス容器には封板(ふうばん)が取り付けられています。
- 起動装置からの電気信号(電気式起動)によって封板が破れ、ガスが放出されます。
- ガスが放出されると薬剤容器内が加圧され、粉末薬剤が配管・ノズルから放射されます。
「封板付き・電気信号で開放」という組み合わせは選択式の問題で正誤を問われるパターンです。「手動操作のみ」「封板なし」という誤りの選択肢と区別して覚えます。
放射時間・遅延時間など、告示の確認が必要な数字は参考書で出典を確かめる
乙3の試験では、放射時間・放出遅延時間・警報時間・開口部の面積制限など、多くの数字が問われます。これらの数字は、不活性ガス消火設備の基準に関する告示・施行規則の各条項に根拠があります。
ただし、数字ごとに根拠の条項が細かく異なるため、この記事では根拠まで直接確認できたもの以外は断言しません。放射時間(例:全域放出方式のCO2消火設備の放射時間)・遅延時間(警報を出してから消火剤が放出されるまでの時間)などの具体的な数字は、消防試験研究センター発行の参考書で、条項と数字の対応を確認してから覚えることを勧めます。
特に「20秒以上」などの遅延時間の数字は、告示の本文を直接確認せずに断言すると誤りを生む可能性があります。試験勉強では参考書の出典(「〇〇の基準に関する告示 第〇条第〇項」)ごと覚えると、数字の取り違えを防ぐことができます。
設置義務の根拠法令は施行令第16条・第17条・第18条
乙3が扱う各設備の設置義務の根拠は、消防法施行令の以下の条文です。試験でも問われることがある条項なので、正確に覚えます。
| 設備 | 設置義務の根拠(消防法施行令) |
|---|---|
| 不活性ガス消火設備 | 第16条 |
| ハロゲン化物消火設備 | 第17条 |
| 粉末消火設備 | 第18条 |
「消防法施行令第13条が設置義務の根拠」という誤りは頻出です。第13条は消火器・簡易消火用具に関する条文であり、乙3が扱う設備の設置義務は第16条・第17条・第18条です。
数字を覚えるコツは、告示・施行規則の条項と結びつけること
乙3で出てくる数字を機械的に暗記しようとすると、設備が3つある分だけ混乱しやすくなります。効果的な覚え方を3つ挙げます。
- 設備を先に確定させてから数字を覚える。CO2の充填比・IG-541の設計濃度・粉末薬剤の種別はそれぞれ別の法令に根拠があります。「どの設備の数字か」を常にセットにします。
- 比較表で違いを整理する。粉末薬剤の第1種〜第4種は、化学式と適応火災の表を1枚作ると視覚的に整理できます。「第3種だけA火災対応」という一点が最重要です。
- 根拠の告示名または施行規則の条番号とセットで覚える。試験では「根拠はどれか」という問い方もあります。「充填比1.5以上→不活性ガス消火設備の基準に関する告示」「設計濃度34%以上→CO2・IG-541共通」のように、根拠とセットで記憶します。
アプリの数字ドリル(有料)では、充填比・設計濃度・薬剤種別などを繰り返し問う形式で練習できます。知識の定着を確認したい場合はご活用ください。
まとめ:乙3の頻出数字を根拠と合わせて一覧で押さえる
この記事で確認した乙3の頻出数字を一覧にまとめます。
| 数字・事項 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| CO2貯蔵容器の充填比 | 1.5以上(液化CO2) | 不活性ガス消火設備の基準に関する告示 |
| CO2の設計濃度(全域放出・一般火災) | 34%以上(体積%) | 不活性ガス消火設備の基準に関する告示 |
| IG-541の設計濃度 | 34%以上(体積%) | 不活性ガス消火設備の基準に関する告示 |
| CO2の比重 | 空気の約1.5倍(低所滞留) | 物性値 |
| 粉末薬剤第1種 | NaHCO₃(炭酸水素ナトリウム)・B・C火災 | 粉末消火薬剤の技術上の規格を定める省令 |
| 粉末薬剤第2種 | KHCO₃(炭酸水素カリウム)・B・C火災 | 粉末消火薬剤の技術上の規格を定める省令 |
| 粉末薬剤第3種 | NH₄H₂PO₄(りん酸アンモニウム・ABC)・A・B・C火災 | 粉末消火薬剤の技術上の規格を定める省令 |
| 粉末薬剤第4種 | KHCO₃と尿素の反応物・B・C火災 | 粉末消火薬剤の技術上の規格を定める省令 |
| 加圧用ガス容器(粉末設備) | 封板付き・電気信号で開放 | 消防法施行規則第21条関連 |
| 不活性ガス消火設備の設置義務 | 消防法施行令第16条 | 消防法施行令 |
| ハロゲン化物消火設備の設置義務 | 消防法施行令第17条 | 消防法施行令 |
| 粉末消火設備の設置義務 | 消防法施行令第18条 | 消防法施行令 |
放射時間・遅延時間・開口部の面積制限など、この一覧に含まれていない数字は、消防試験研究センターの参考書で根拠の条項と合わせて確認してください。条項ごとに数字をまとめておくと、本番でも混乱しにくくなります。
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作成日:2026年10月29日

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