就労移行支援のヒヤリハット報告、企業実習中・ハローワーク同行中の出来事を記録する。

就労移行支援のヒヤリハット報告、企業実習中・ハローワーク同行中の出来事を記録する。 就労移行支援





就労移行支援のヒヤリハット報告、企業実習中・ハローワーク同行中の出来事を記録する。

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就労移行支援では、訓練室内だけでなく、ハローワーク同行中・企業面接同行中・企業実習中という「事業所の外での支援場面」があります。これらの外出場面でのヒヤリハット(事故に至らなかった出来事)は、事業所内の訓練中に比べて報告されにくいという特徴があります。

ヒヤリハットの記録・集計・研修への活用は、指定基準第40条の安全管理の一部として位置づけられます。この記事では、就労移行支援のヒヤリハット管理の方法と、外出場面特有の課題を整理します。

ヒヤリハットと事故の違い

ヒヤリハットは「事故に至らなかった出来事」です。事故(利用者が実際に負傷した・物が壊れた等)は指定基準第40条に基づく行政報告(都道府県・市町村)が義務ですが、ヒヤリハットには行政への報告義務はありません。ただし内部での記録・分析・改善は必要です。

ヒヤリハットの記録が積み重なっている事業所は、万が一事故が起きた際に「予防の取り組みをしていた」という証明になります。

就労移行支援で起きやすいヒヤリハットの場面

就労移行支援のヒヤリハットは、生産活動が中心のB型(工具・農作業・重量物)とは異なる場面で起きます。

場面 具体的な出来事の例
訓練室内 椅子から立ち上がる際によろけた。PC操作中に突然気分が悪くなった。訓練中に言い合いになりかけた
送迎中 乗降時に段差で足がもつれた。急ブレーキでシートから前に出そうになった
ハローワーク同行中 混雑した窓口で強いパニック反応が出そうになった。待ち時間が長くて体調が急変しかけた
企業面接同行中 面接室で過呼吸の兆候が出た。予想外の質問で強いパニック反応が出た。移動中の駅で気分が悪くなった
企業実習中 実習先の機械の操作で怪我しそうになった。実習先の大きな音に過度な反応を示した。送り出した後で連絡が取れない時間が生じた
定着支援訪問中 就職先で本人が職場の人間関係について強い感情的反応を示した

外出場面のヒヤリハット報告が起きにくい理由

外出場面のヒヤリハットは事業所内と比べて報告されにくい傾向があります。その理由として次のものが挙げられます。

  • 同行していた職員が1人のため、「後で報告すればよい」と判断して忘れる
  • 「利用者の前で大げさにしたくない」という気遣いから報告をためらう
  • 「事故にはならなかったから」という判断で記録しない
  • 外出先でのメモ・記録の仕組みが整っていない

研修では「外出場面でもヒヤリハットが起きたその日のうちに報告する」という原則を確認し、報告を妨げる心理的ハードルを下げることが重要です。

ヒヤリハット記録票の5項目

ヒヤリハットが起きたら、気づいた職員がその日のうちに記録票に書きます。

  • 発生日時・場所:いつ(年月日・時間帯)・どこで(訓練室内/ハローワーク/面接先/実習先等)
  • 当事者:利用者・職員・その両方
  • 起きた出来事:「何をしていたときに、どうなりそうになったか」を具体的に
  • その場の対応:その場でどう対処したか
  • 考えられる原因:なぜそれが起きたか(環境・手順・体調・予測できなかった状況等)

「転びそうになった」ではなく「ハローワークの混雑した待合で立ち上がる際に椅子が動いてバランスを崩した」のように書くと、原因の分析に使いやすくなります。

月1回の集計と研修への活用

ヒヤリハット記録票は月1回集計します。集計では次の2点を確認します。

  • 同じ場所・同じ場面でのヒヤリハットが複数件続いていないか(事前の準備が必要な状況かもしれない)
  • 同じ利用者に関するヒヤリハットが続いていないか(個別支援計画の見直しが必要かもしれない)

件数が多い場面や重大な事故に近い内容は研修のテーマとして取り上げます。「先月、ハローワーク同行中に◯件の出来事がありました」という形で事例を共有し、対応策を職員全員で検討します。

企業実習先への報告の考え方

企業実習中に実習先でヒヤリハットが起きた場合、実習先企業への報告と事業所内での記録の両方が必要です。実習開始前に「実習中の出来事の報告体制(何を、誰に、どのタイミングで報告するか)」を実習先と確認しておきます。

まとめ

就労移行支援のヒヤリハット管理は、第40条の安全管理の一部です。訓練室内だけでなく、ハローワーク同行・企業面接同行・企業実習・定着支援訪問という「外出場面」でのヒヤリハットを収集・記録することが、就労移行支援固有の課題です。記録票に発生日時・場所・出来事・対応・原因を書き、月1回集計して件数の多い場面を研修のテーマにつなげます。「外出場面でも報告する」という原則を研修で共有することが、ヒヤリハット収集の土台になります。

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出典:指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)第40条(第184条で準用)・解釈通知(障発第1206001号)。


この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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