スプリンクラーヘッドは「閉鎖型」「開放型」「放水型」に大きく分かれ、設置する建物の用途・天井の高さ・使用環境に応じて選定します。消防設備士第1類の試験でも、ヘッドの種類・作動温度・設置場所・構造が頻出です。この記事では、各ヘッドの種類と特徴・作動温度と色の対応・試験で問われるポイントを整理します。
問題をすぐに解いてみたい方はこちらをご利用ください。
▶ 消防設備士 第1類 問題集
スプリンクラーヘッドの大分類
スプリンクラーヘッドは、感熱部(温度で作動する部品)があるかどうかで「閉鎖型」と「開放型」に分かれます。
| 分類 | 感熱部 | 作動方式 | 主な設置場所 |
|---|---|---|---|
| 閉鎖型 | あり | 感熱部が作動した1個のヘッドから散水 | 一般的な建物(事務所・ホテル・百貨店等) |
| 開放型 | なし | 一斉開放弁で全ヘッドから一斉放水 | 舞台・危険物施設等(大量放水が必要な場所) |
| 放水型 | なし(別途感知器で起動) | 大量・広範囲に放水 | アトリウム・大空間(天井高10m超) |
閉鎖型は感熱部(ガラスバルブ・ヒューズ)が熱で作動した1個のヘッドだけが散水します。開放型は感熱部を持たず、手動またはスプリンクラー以外の感知器の信号で一斉開放弁(デリュージバルブ)が開き、接続している全ヘッドから同時に散水します。
閉鎖型ヘッドの種類
閉鎖型は設置方法・形状・用途によってさらに細かく分類されます(スプリンクラー設備の設置及び維持に関する技術上の基準を定める省令・規格省令)。
標準型(上向き・下向き)
最も一般的なヘッドで、天井から垂直に取り付けます。上向き型(アップライト)は配管から上向きに取り付けて天井裏・乾式システムで使います。下向き型(ペンダント)は配管から下向きに取り付けて一般的な建物の天井面に使います。感熱部はガラスバルブ(液封式)またはフュージブルリンク(ヒューズ)です。
側壁型
壁面に取り付けて一方向に扇形で散水するヘッドです。天井が使えない場所(廊下・倉庫の棚間等)に設置します。散水方向が限定されるため、設置範囲と散水の到達距離に規定があります(消防法施行規則第13条の2など)。
小区画型
比較的少ない流量で小さい区画(12㎡以内)をカバーするヘッドです。住宅・病院・老人福祉施設などに設置されます。標準型と比べて動作圧力が低く、配管径が細い配管でも設置できる点が特徴です。
フラッシュ型
デフレクター(散水板)が天井面とほぼ同じ高さに収まる薄型のヘッドです。美観を重視する場所(ホテルの客室・商業施設等)に向いています。デフレクターの形が標準型とは異なり、散水パターンも若干異なります。
コンシールド型
平常時はカバープレートで天井面に隠れるヘッドです。火災時にカバープレートが外れ(または熱で溶けて外れ)、内部のヘッドが作動します。見た目が最も目立たないため、外観を重視する場所に使われます。カバープレートの作動温度とヘッドの作動温度が2段階になっている点が特徴です。
開放型ヘッドの特徴
開放型ヘッドは感熱部を持たないため、ヘッド単体では作動しません。一斉開放弁(デリュージバルブ)が開くことで、接続している全ての開放型ヘッドから同時に散水します。
一斉開放弁の作動は、手動操作または感知器(煙感知器・熱感知器)の信号で行います。舞台の大道具付近・危険物を取り扱う場所・発電機室・駐車場など、瞬時に広範囲へ大量放水が必要な場所に設置されます。
開放型を用いたスプリンクラー設備は「開放型スプリンクラー設備」または「デリュージ設備」と呼ばれます。閉鎖型との系統図の違いは、一斉開放弁と起動用配管・感知器の有無です。
作動温度と色(ガラスバルブの場合)
閉鎖型ヘッドのガラスバルブ(液封式)は、液体の膨張圧で作動します。作動温度によってバルブ内の液体の色が異なります。スプリンクラーヘッドの規格(規格省令第13条)では、次のように定められています。
| 作動温度(公称) | ガラスバルブの色 |
|---|---|
| 57度 | オレンジ |
| 68度 | 赤 |
| 79度 | 黄 |
| 93度 | 緑 |
| 121度 | 青 |
| 141度 | 紫 |
| 163度以上 | 黒 |
出典:スプリンクラーヘッドの技術上の規格を定める省令(規格省令)による区分。正確な条文番号はe-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/)で確認してください。
一般的な建物では68度または79度のヘッドが使われることが多く、厨房や乾燥室など高温になる場所では93度以上が選ばれます。表の色・温度の組み合わせは、試験に向けて正確に暗記する必要があります。最新の規格省令の内容はe-Gov法令検索で一次確認することをおすすめします。
フュージブルリンク(ヒューズ型)の場合も作動温度による区分はありますが、ガラスバルブのように色で一目で識別できるものではありません。試験では色による識別(ガラスバルブ)の問題が出やすいです。
試験で問われるポイント
第1類の試験でスプリンクラーヘッドに関して出題されるポイントを整理します。
閉鎖型と開放型の違い
「感熱部の有無」「作動した時に放水するヘッドの数(1個 vs 全部)」「設置場所の違い」が出題されます。閉鎖型は感熱部があり、火熱を受けた1個のヘッドだけが散水します。開放型は感熱部がなく、一斉開放弁の作動で全ヘッドが散水します。
各種ヘッドの設置場所
小区画型ヘッドは「住宅・病院・老人福祉施設等の場所」に設置されること、放水型ヘッドは「天井の高い場所(概ね10m以上のアトリウム等)」に設置されることが問われます。
作動温度と色の組み合わせ
ガラスバルブの色と作動温度の対応(68度:赤、79度:黄、93度:緑など)は、そのまま穴埋めや選択問題で出題されます。色と温度を表でまとめて覚えておくことが有効です。
ヘッドの構造・各部名称(鑑別)
実技の鑑別では、ヘッドの写真を見て「これは何型か」「感熱部はどこか」「デフレクターとは何か」を答えさせる問題が出ます。写真を見て識別できるレベルまで練習することが必要です。鑑別対策の詳細はこちらでまとめています。
→ 第1類の鑑別対策。アラーム弁・スプリンクラーヘッド・流水検知装置の見分け方
まとめ
スプリンクラーヘッドは閉鎖型(標準型・側壁型・小区画型・フラッシュ型・コンシールド型)・開放型・放水型に分かれます。それぞれの感熱部の有無・作動の仕方・設置場所の違いを整理して覚えることが試験対策の基本です。ガラスバルブの色と作動温度の組み合わせ(規格省令第13条)は表で暗記します。鑑別では写真を見て種類を識別できるレベルまで練習しておきましょう。
問題をすぐに解いてみたい方はこちらをご利用ください。
▶ 消防設備士 第1類 問題集


コメント