定温式感知器の特種・1種・2種の違い。動作温度と設置できる場所の選び方を整理する。

定温式感知器の特種・1種・2種の違い。動作温度と設置できる場所の選び方を整理する。 資格
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消防設備士4類の試験で定温式感知器が出題されるとき、最も問われるのは「特種・1種・2種のどれを使うか」と「公称作動温度をどう選ぶか」の2点だ。定温式感知器は差動式と違い、周囲の温度が一定値に達したとき作動する。そのシンプルな仕組みゆえに、高温になりやすい厨房やボイラー室での選択問題として繰り返し出題される。

この記事では、規格省令(感知器及び発信機に係る技術上の規格を定める省令)と施行規則第23条第4項を根拠にして、特種・1種・2種の違い、公称作動温度の選び方、厨房やボイラー室での適切な種別、スポット型と感知線型の使い分け、感知面積の数値、火災作動試験の手順を順番に整理する。

定温式感知器は「決まった温度」に達したとき作動する感知器

定温式感知器(ていおんしきかんちき)は、周囲の温度が公称作動温度に達したとき火災信号を発する感知器だ。差動式スポット型が「温度の急激な上昇」を検知するのに対し、定温式は「ある温度を超えた」という絶対値で判断する。

この特性から、定温式は以下の2つの場面で選ばれる。

  • 厨房・ボイラー室・乾燥室のように、日常的に高温になる場所(差動式を使うと調理の熱で誤報が出る)
  • 火災時に温度が急激に上昇しにくい場所(くん焼火災が想定される場所)

定温式感知器の代表的な種類は「スポット型」と「感知線型」の2つがある。スポット型は点状の感知体を天井面に取り付けるタイプ、感知線型は感知体そのものが線状のケーブルで構成されるタイプだ。いずれも施行規則第23条第4項が設置基準の根拠となる。

特種・1種・2種は動作時間の速さで区分される

定温式スポット型感知器の「特種・1種・2種」は、感度(火災と判断するまでの速さ)の違いを表す。規格省令第22条から第25条では、公称作動温度の120%の温度に加熱したときの作動時間を次のように定めている。

定温式スポット型感知器の種別と作動時間(規格省令)
種別 作動時間の上限 感度の位置付け
特種 40秒以内 最も高感度(速い)
1種 120秒以内 標準
2種 300秒以内 低感度(遅い)

「公称作動温度の120%」とは、例えば公称作動温度が100℃の感知器であれば、120℃の環境下での作動時間を測るということだ。特種は40秒、1種は120秒、2種は300秒が上限であり、特種が最も速く反応する。

なお、「不動作試験」では公称作動温度よりも10℃低い温度に加熱したとき作動しないことが条件となっている(規格省令)。誤作動を防ぐための基準だ。

公称作動温度は周囲最高温度に20℃を加算した値以上を選ぶ

定温式感知器を選ぶとき、公称作動温度が低すぎると日常的な温度上昇で誤報が出る。規格省令では「感知器を設置する場所の最高周囲温度より20℃以上高い公称作動温度を有するものを設けること」と定めている。

具体的な選び方の手順は次の通りだ。

  1. 設置場所の通常時の最高温度を確認する(例:厨房なら40〜50℃など)
  2. その値に20℃を加算する
  3. 加算した値以上の公称作動温度を持つ製品を選ぶ

公称作動温度の定められた刻みは60・65・70・75・80・85・95・110・125・150℃だ。例えば設置場所の最高温度が45℃の場合、45+20=65℃となるので、公称作動温度65℃以上の製品を選ぶ。この場合、65℃がちょうど当てはまる。

試験では「周囲の最高温度が○℃の場所に設置できる公称作動温度として正しいものはどれか」という形で出題されることが多い。「20℃加算のルール」を押さえておけば確実に解ける。

厨房・ボイラー室・乾燥室では設置場所の最高温度から逆算する

高温になる場所での公称作動温度の選び方を、代表的な3か所で整理する。

高温場所での公称作動温度の選び方(例)
設置場所 想定される最高周囲温度 最低限必要な公称作動温度(+20℃) 選択できる最小値
一般室(事務室・廊下) 約35℃ 55℃以上 60℃
厨房(業務用) 約45〜50℃ 65〜70℃以上 65℃または70℃
ボイラー室 約50〜60℃ 70〜80℃以上 70℃または75℃・80℃
乾燥室・サウナ 約60〜80℃ 80〜100℃以上 80℃・85℃・95℃等

この表の「選択できる最小値」は公称作動温度の刻みの中から「加算後の値以上で最も近いもの」を選んだ結果だ。問題文に具体的な温度が書かれていたら、「+20℃以上」という条件を満たすかどうかをその都度計算する。

なお、施行規則第23条第4項では、定温式感知器を設置してはいけない場所として「著しく高温となる場所」(溶接作業場など、感知器自体が損傷するほどの高熱環境)が挙げられている。いくら公称作動温度を高く設定しても、感知器本体が壊れる環境には取り付けない。

スポット型と感知線型は設置場所の形状で使い分ける

定温式感知器にはスポット型(点型)と感知線型(線型)がある。試験では両者の特徴の違いが問われることがある。

スポット型は天井面の一点に固定するタイプだ。設置・交換が容易で、感知面積は種別ごとに施行規則第23条第4項で定められた数値の範囲内に収まるよう個数を計算して配置する。

感知線型は感知体が細いケーブル状になっており、配線を敷き込む場所全体を感知対象にできる。天井が複雑な形状の場所・ケーブルラック・天井裏などに適している。感知線型には「定温式感知線型感知器」という独立した分類があり、施行規則第23条第4項第一号ハでは感知線型の設置基準が定められている。

スポット型と感知線型の主な違いを比較する。

定温式スポット型と感知線型の比較
項目 スポット型 感知線型
形状 点(取り付け面に固定) 線(ケーブル状)
設置に向く場所 一般的な天井面 天井裏・ケーブルラック・複雑な形状の場所
天井高さ4m以上 設置不可 設置可
種別 特種・1種・2種 1種・2種
感知方式 バイメタル・半導体など ケーブル全体が感知体

スポット型は天井高さ4m以上の場所には設置できないが、感知線型にはこの制限がない。試験でこの点の違いが問われたことがある。

定温式スポット型は天井高さ4m以上の場所には設置できない

施行規則第23条第4項では、感知器の種別ごとに設置できる取り付け面の高さが定められている。定温式スポット型感知器は、いずれの種別(特種・1種・2種)においても、取り付け面の高さが4m未満の場所に限られる。

4m以上の場所では差動式スポット型(1種または2種)・差動式分布型・光電式スポット型(1種または2種)などを選ぶ必要がある。「天井が高い倉庫に定温式スポット型を設置できるか」という問いに対する答えは「できない」だ。

この制限は感知面積の計算問題にも影響する。問題文に「天井高さ5m」「天井高さ6m」と書かれていたら、定温式スポット型の選択肢は消える。問題文の天井高さを必ず確認する習慣をつけておくとよい。

定温式スポット型の感知面積は種別で大きく異なる

施行規則第23条第4項の別表では、感知器の種別・建物の構造・天井高さに応じた感知面積(1個で担当できる床面積)が定められている。定温式スポット型の感知面積は次の通りだ。

定温式スポット型感知器の感知面積(施行規則第23条第4項)
種別 耐火構造・4m未満 その他・4m未満 4m以上
特種 70m² 40m² 設置不可
1種 60m² 30m² 設置不可
2種 20m² 15m² 設置不可

2種は特種・1種に比べて感知面積が著しく小さい。耐火構造4m未満でも20m²しかないため、同じ広さの部屋に設置する場合、特種の3.5倍の個数が必要になる。試験の計算問題では「2種を指定された場合の設置個数を求めよ」という形で出題されることがある。

例として、耐火構造・天井高3m・床面積120m²の部屋に定温式スポット型を設置する場合の個数を計算する。

  • 特種:120÷70=1.71→切り上げ2個
  • 1種:120÷60=2.0→割り切れるので2個
  • 2種:120÷20=6.0→割り切れるので6個

感知面積で割り切れた場合は切り上げない。割り切れた値がそのまま必要個数となる(施行規則第23条第4項の算定方法)。

火災作動試験は加熱試験器を使って動作時間を計測する

定温式スポット型感知器の点検・試験では、加熱試験器(ヒートガン型または専用試験器)を使って感知器を加熱し、作動するまでの時間を計測する。この試験を「加熱試験」または「火災作動試験」と呼ぶ。

試験の手順は次の通りだ。

  1. 受信機を「試験」モードに切り替える(実際の火災信号として処理されないようにする)
  2. 加熱試験器を感知器の直下または周囲に当てる
  3. 加熱を開始してから感知器が作動するまでの時間を計測する
  4. 種別ごとの上限時間(特種40秒・1種120秒・2種300秒)以内に作動することを確認する
  5. 受信機を通常モードに戻す

試験後は感知器が正常に復旧していること(作動表示灯が消えていること)も確認する。定温式感知器は一般的に「非蓄積型」だが、蓄積型の場合は蓄積時間(5秒以上60秒以内)を加算して判定することになる(施行規則第24条第1号ニ)。

なお、差動式感知器の試験に使う「緩やかな加熱」は定温式には意味がない。定温式は速度ではなく温度の絶対値で作動するため、試験では確実に公称作動温度付近まで加熱することが必要だ。

試験で問われる4つの出題パターン

定温式感知器に関して出題されやすいパターンを4つ整理する。

パターン1:動作時間の種別選択

「公称作動温度の120%の温度下で40秒以内に作動しなければならない種別はどれか」という問い。答えは特種。1種は120秒・2種は300秒が上限であることを合わせて覚える。

パターン2:公称作動温度の選択

「周囲の最高温度が50℃の場所に設置する定温式感知器の公称作動温度として適切なものはどれか」という問い。50+20=70℃以上が条件。選択肢に60℃と70℃があれば70℃が正解で、60℃は不正解(69℃≒70℃に満たない)。

パターン3:設置できない場所の選択

「次の感知器のうち天井高さ5mの場所に設置できないものはどれか」という問い。定温式スポット型はすべての種別で設置不可。感知線型は設置可。

パターン4:感知面積を使った個数計算

「耐火構造・天井高3m・床面積180m²の場所に定温式スポット型2種を設置するとき必要な個数はいくつか」という問い。180÷20=9.0、割り切れるので9個が正解。

定温式感知器の要点まとめ

この記事で整理した内容をまとめる。

  • 種別(特種・1種・2種)は動作時間の速さを表す。特種40秒・1種120秒・2種300秒が上限(規格省令)
  • 公称作動温度は設置場所の最高周囲温度に20℃を加算した値以上を選ぶ(規格省令)
  • 公称作動温度の刻みは60・65・70・75・80・85・95・110・125・150℃
  • 定温式スポット型は天井高さ4m以上の場所には設置できない(施行規則第23条第4項)
  • 感知線型は天井高さの制限を受けず、天井裏やケーブルラックに使われる
  • 2種の感知面積は特種・1種より大幅に小さい(耐火4m未満:特種70m²・1種60m²・2種20m²)
  • 火災作動試験は加熱試験器を使い、種別ごとの上限時間内に作動することを確認する

定温式感知器は「温度の絶対値で判断する」という原理を押さえることが理解の起点になる。種別・公称作動温度・感知面積の3つを組み合わせた問題が出たとき、原理から考えると正解が見えやすくなる。


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出典

  • 消防法施行規則第23条第4項(感知器の設置基準・感知面積)
  • 感知器及び発信機に係る技術上の規格を定める省令(規格省令)第22条〜第25条(定温式感知器の作動時間・公称作動温度)
  • 消防試験研究センター「試験実施状況」(令和6年度)

この記事は試験対策を目的とした解説です。実際の設計・施工では最新の告示・通達を確認し、専門家の判断を求めてください。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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