就労継続支援B型の支援記録研修、何を・いつ・どう書くかの基本と指定基準の根拠。

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就労継続支援B型の支援記録研修、何を・いつ・どう書くかの基本と指定基準の根拠。

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就労継続支援B型の支援記録(サービス提供記録)は、職員が毎日書く書類の中で最も件数が多く、かつ指定基準で作成・保管が義務付けられています。記録は行政の実地指導でも確認される書類であり、「書いた」という事実だけでなく「何を・どう書いたか」が支援の質を示す記録になります。支援記録研修では、記録の作成義務の根拠、書き方の基本ルール、NG表現と代替表現を全職員で確認します。

この記事では、支援記録の作成義務の根拠、5W1Hで書く基本、NG表現とOK表現の対比、保管義務と個人情報保護の扱いを整理します。

支援記録の作成義務は指定基準第63条(第202条でB型に準用)に根拠がある

指定基準第63条(記録の整備)は、指定障害福祉サービス事業者に対して、利用者へのサービス提供に関する記録を作成・整備することを求めています。この第63条は第202条によって就労継続支援B型に準用されます。

作成が必要な記録の種類は次のとおりです。

記録の種類 主な内容 作成のタイミング
サービス提供記録(支援記録) その日の支援内容・利用者の状態・特記事項 サービス提供日ごと
個別支援計画 支援目標・支援内容・モニタリング 利用開始時・6か月ごと
アセスメント記録 利用者の生活状況・希望・能力・障害特性 利用開始前・更新時
事故・ヒヤリハット記録 発生状況・対応・再発防止策 発生時
苦情受付記録 苦情の内容・対応・解決状況 苦情受付時

このうち、毎日の支援の実態を記録するサービス提供記録(支援記録)が、件数・頻度ともに最も多い記録です。研修では特にこの日常記録の書き方に重点を置きます。

支援記録は5W1Hで書く

支援記録に書くべき内容は「何があったか(事実)」と「どう対応したか(行動)」の2つです。書き方の基本は5W1Hで整理すると迷いがなくなります。

項目 記録に書く内容 例
いつ(When) 時刻・場面のタイミング 10:30、午後の作業開始後15分
誰が(Who) 利用者(本人)・職員・第三者 〇〇さんが、担当職員〇〇が
どこで(Where) 作業場・休憩室・送迎車内 作業台の前で、休憩室で
何を(What) 行動・発言・状態 「今日は疲れた」と発言した、作業を中断して席を離れた
どうした(How) 職員の対応行動 休憩を促し、10分後に作業を再開した
どう反応したか(Result) 利用者の反応・その後の経過 「ありがとう」と言い、作業に戻った

すべての項目を毎回書く必要はありません。「いつもと同じ1日」は「本日のサービス提供に特記事項なし。作業(〇〇)を通常通り実施」などの短い記録でかまいません。特記事項があるときにだけ5W1Hで詳しく書きます。

記録に書いてはいけない表現と代替表現

支援記録は、後日第三者が読んでも何があったかが分かる「事実の記録」です。職員の主観的な評価・推測・決めつけが混入すると、記録として機能しません。

NG表現 問題点 OK表現
「やる気がなかった」 職員の主観。何をもってやる気がないと判断したかが分からない 「作業開始の声かけに対して『今日は難しい』と答え、10分間席に座ったまま作業を始めなかった」
「不穏だった」 評価語であり、具体的な状態が伝わらない 「午前中、独り言が増え、他の利用者に対して突然声を荒げる場面が1回あった」
「問題なく過ごした」 何が問題でないのかが不明。記録の意味がない 「本日のサービス提供に特記事項なし。〇〇作業を最後まで実施し、定刻に退所した」
「いつものように困った様子だった」 「いつも」という表現が曖昧。本日の状態が記録されていない 「〇〇の場面で手順を確認する様子があり、担当職員が2回手順を説明した」
「きっと〇〇だと思われる」 推測を記録として書いてはいけない 「〇〇と発言した」(事実のみを書く)。推測が必要なら「〇〇と思われたため、〇〇と確認した」と対応行動と一緒に書く

本人の発言を記録に書くときは、できる限り鍵括弧(「 」)を使って原文に近い形で書きます。「〇〇さんは嫌だと言っていた」ではなく「〇〇さんは『やりたくない』と発言した」と書くことで、発言の事実と職員の解釈が区別できます。

記録の保管義務と個人情報の扱い

指定基準第63条(第202条で準用)に基づき、支援記録は完結の日から5年間保管する義務があります。電子データで保管する場合は、バックアップ体制とアクセス権限の管理が必要です。

支援記録には利用者の氏名・障害の状態・通院先・家族情報など、個人情報が多く含まれます。記録の管理において研修で確認すべきポイントは次のとおりです。

  • 保管場所:鍵のかかるキャビネットまたはアクセス制限のあるシステムで保管する。職員の机の上や共有スペースに放置しない
  • 閲覧権限:支援記録を閲覧できる職員の範囲を決め、必要以上に開示しない
  • 廃棄方法:保管期間が終了した紙の記録はシュレッダーで裁断する。電子データは完全削除の手順を決める
  • 外部への持ち出し禁止:利用者の記録を事業所外に持ち出す場合は、管理者の許可を得た上で暗号化・パスワード保護を行う

記録の持ち出しや画像の撮影(スマートフォンによる記録の写真など)は、利用者本人の同意がない場合は個人情報の漏えいに当たります。この点は新人研修・定期研修で繰り返し確認します。

研修で確認する3つのこと

  1. 記録のNG表現を全員で確認する:既存の記録(個人が特定できない形に編集したもの)を使って「この表現は主観か・事実か」を全員で確認する。NGの表現が習慣化していないかを振り返る
  2. 特記事項の書き方を統一する:「今日のような場面が起きたときに何を書くか」を具体的な場面(体調不良・他利用者とのトラブル・通院中断の疑い)を挙げて確認する
  3. 保管・廃棄の手順を確認する:キャビネットの鍵は誰が管理しているか・電子データのバックアップは誰が行うか・廃棄するときの手順を担当者全員が知っているかを確認する

まとめ

就労継続支援B型の支援記録は指定基準第63条(第202条で準用)により作成・保管(5年間)が義務付けられています。記録の基本は5W1Hで事実を書くことで、「やる気がなかった」などの主観的評価や推測は書きません。本人の発言は鍵括弧を使って原文に近い形で記録します。研修ではNG表現の確認・特記事項の書き方の統一・保管と廃棄の手順の3点を職員全員で確認します。

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出典:指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)第63条・第202条。作成日:2026年10月。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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