就労継続支援B型の苦情解決体制、第三者委員の設置義務と苦情受付担当者の役割。

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就労継続支援B型の苦情解決体制、第三者委員の設置義務と苦情受付担当者の役割。

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就労継続支援B型の利用者は、支援の内容・工賃・職員の対応に不満を感じても、声に出しにくい立場に置かれやすい面があります。指定基準第39条(第202条でB型に準用)は、苦情を受け付ける体制を設けることを事業者に義務付けています。苦情解決体制を機能させることは、利用者の権利を守る実務の柱の一つです。

この記事では、苦情解決体制を構成する3者の役割、苦情を受け付けた場合の記録・回答・改善の手順、利用者への周知義務、国保連への申立との違いを整理します。

苦情解決体制は苦情受付担当者・苦情解決責任者・第三者委員の3者で構成する

指定基準第39条が定める苦情解決の仕組みは、3つの役割を分担することで成り立っています。

役割 誰が担うか 主な職務
苦情受付担当者 施設長以外の職員(担当者を指定する) 利用者・家族からの苦情を直接受け付け、内容を記録して苦情解決責任者に報告する
苦情解決責任者 施設長・管理者など事業所の代表者 受け付けた苦情に対して事業所としての回答・対応方針を決定し、利用者に回答する。改善措置を講じる責任を持つ
第三者委員 事業所の職員・役員・家族以外の外部者(民生委員・学識経験者・社会福祉士等) 苦情申立人(利用者・家族)からの申し出を受け、苦情解決に向けた助言・立会いを行う。苦情の記録・解決状況を確認する

第三者委員は、利用者が「事業所の中だけで話し合っても解決できない」と感じたときに、外部の目を入れるための制度です。形式的に名前を置くだけでなく、実際に連絡・相談できる状態を維持することが求められます。

苦情申し立ての権利は利用者に書面で周知する義務がある

苦情解決体制は、設けるだけでなく利用者に知らせることが義務です。指定基準第39条は、事業者が利用者に対して苦情申し立て先を書面で説明することを求めています。

周知に必要な内容は次のとおりです。

  • 苦情受付担当者の氏名・連絡先:誰に言えばよいかを明示する
  • 第三者委員の氏名・連絡先:事業所を通さずに直接連絡できることを伝える
  • 国保連(国民健康保険団体連合会)への申立ができること:事業所外の第三者機関に申し立てができる権利を説明する
  • 苦情を申し立てても不利益な取り扱いをしないこと:声を上げても契約・支援内容に影響しないことを明示する

これらは利用契約時に書面で説明し、利用者・家族に確認してもらいます。事業所内の掲示板に第三者委員の連絡先を貼り出すことも、周知の有効な手段です。

苦情を受け付けた場合は記録・回答・改善の3ステップで対応する

苦情を受け付けたあとの対応手順を全職員で統一します。

ステップ 内容 記録すること
受付・記録 苦情受付担当者が申立人(利用者・家族)の話を聞き、内容を苦情受付記録票に記録する。受け付けた日時・申立人・苦情の内容・申立人の希望する対応を書く 受付日時・申立人名・苦情内容・申立人の希望
事実確認・回答 苦情解決責任者が事実を確認し、事業所としての見解と対応方針を決定する。申立人に対して回答する(口頭または書面)。回答の期限は明示する 確認した事実・事業所の見解・回答内容・回答日
改善措置 苦情の内容に基づいて支援の方法・手順・職員の対応を改善する。改善内容を記録に残し、第三者委員に報告する。必要に応じて全職員に周知する 改善措置の内容・実施日・周知した職員

「聞いただけで終わり」にしないことが重要です。改善措置まで記録に残すことで、同じ苦情が繰り返されたときに「前回はこう対応し、こう改善した」という履歴になります。

事業者内解決と国保連への申立は別の制度

利用者は、事業所の苦情解決体制を使って申し立てる方法と、外部機関である国保連(国民健康保険団体連合会)に直接申し立てる方法の両方を選べます。

区分 内容
事業者内解決(苦情解決体制) 事業所に設置した苦情受付担当者・苦情解決責任者・第三者委員を通じた解決。事業所内での改善が主な目的。費用はかからない
国保連への申立 都道府県の国保連に対して直接申し立てる制度。国保連が事実関係を調査し、事業者への改善勧告・公表が行われることがある。事業所を通さずに申立できる

どちらの方法も利用者が自由に選べます。「事業所に言いにくい」「事業所内で解決しなかった」場合に国保連への申立という選択肢があることを、利用者に伝えることが義務です。

研修で確認する3つのこと

苦情解決体制の研修では次の3点を確認します。

  1. 苦情受付担当者・第三者委員の連絡先を全職員が把握しているか確認する:担当者の名前と連絡先が変わっていないか、掲示内容が最新かを確認する。利用者に伝えられる状態にしておく
  2. 苦情受付記録票の書き方と保管場所を確認する:苦情を受け付けた際にどの書式に記録するか、保管場所はどこかを全員が把握している状態にする。「担当者だけが知っている」状態では、担当者不在時に対応が止まる
  3. 直近の苦情・要望の対応内容と改善措置を振り返る:前回の苦情にどう対応したか、改善措置の結果はどうだったかを担当者が報告する形で確認する。「改善したと思っていたが実際には変わっていなかった」を防ぐ

まとめ

就労継続支援B型の苦情解決体制は、指定基準第39条(第202条でB型に準用)に基づき、苦情受付担当者・苦情解決責任者・第三者委員の3者で構成します。苦情申し立ての権利は利用者に書面で周知し、事業所内解決と国保連への申立の両方があることを伝えることが義務です。苦情を受け付けた場合は記録・回答・改善の手順で対応し、改善措置まで記録に残します。研修では担当者の連絡先の周知・記録票の使い方・直近の苦情対応の振り返りの3点を確認します。

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出典:指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)第39条・第202条。作成日:2026年10月。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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