就労継続支援B型の精神障害支援研修、統合失調症・気分障害の利用者への作業支援。
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就労継続支援B型の利用者の多くは、統合失調症・うつ病・双極性障害などの精神疾患を抱えながら通所しています。精神疾患の症状は日によって、あるいは同じ日の中でも変化するため、職員が各疾患の特性を把握しておくことが作業場での安全な支援の前提です。
この記事では、B型に多い精神疾患の種類と作業場での現れ方、調子が悪くなっているサインの見分け方、症状が出たときの対応方法を整理します。
B型の利用者に多い精神疾患は、統合失調症・気分障害・不安障害・PTSDの4種類
就労継続支援B型の利用者は、障害種別では精神障害が最も多い区分です。主な疾患は次のとおりです。
| 疾患 | 主な特徴 | B型での関わりで特に注意が必要な場面 |
|---|---|---|
| 統合失調症 | 陽性症状(幻聴・妄想)と陰性症状(意欲低下・感情の平板化)が交互にまたは同時に現れる。認知機能の低下(集中力・記憶力)も生じやすい | 幻聴で突然動作が止まる・声に反応して独り言を言う。陰性症状では作業への取りかかりが遅くなる。認知機能の低下で作業の手順を繰り返し確認する必要がある |
| うつ病 | 気分の落ち込み・疲労感・集中力の低下が継続する。体調が悪い日と比較的動ける日の差が大きい | 午前中に調子が悪く(日内変動)、作業開始が難しい日がある。自己評価が低く、ミスをひどく気にする。「迷惑をかけている」と感じて突然帰宅しようとする |
| 双極性障害 | 躁状態(過活動・判断力の低下・睡眠が少なくても元気)とうつ状態(意欲低下・疲弊)が交互に現れる | 躁状態のとき無理に作業量を増やして疲弊する。躁転しているときは自分では気づいていない。うつ転後に急に作業に来られなくなる |
| PTSD・複雑性PTSD | 特定の出来事(虐待・事故等)に関連した刺激で過去の記憶が再体験される(フラッシュバック)。警戒心が高く、特定の状況で強い不安や回避行動が出る | 大きな音・特定の人物との近距離接触・急な予定変更でパニック反応が出ることがある。理由が分からず突然席を離れる・過呼吸になるケースがある |
不安障害(社交不安障害・パニック障害)を合わせて持つ利用者も多く、特定の作業場面(大人数が集まる・急かされる・注目される)で強い不安が出ることがあります。
調子が悪くなっているサインは、いつもとの違いで見る
精神疾患の調子の悪化は、急に大きな症状が出るよりも、日常の変化が積み重なる形で現れることが多くあります。次のサインを職員が把握しておくと、早期の対応につながります。
| サインの種類 | 具体的な変化 |
|---|---|
| 言動の変化 | いつもより口数が極端に少ない。独り言や独り言のような発言が増えた。返答が噛み合わない。以前より話の内容がまとまらない |
| 作業の変化 | 普段できていた作業でミスが増えた。作業の手順を何度も確認する。作業の途中で止まったまま動かない時間が増えた |
| 行動の変化 | 休憩後に作業に戻ってこない。トイレに長時間こもる。急に帰りたいと言う。来所が不安定になった(休みが増えた・連絡なしに来ない日が出た) |
| 身体・表情の変化 | 表情が乏しい・視線が合わない。明らかに疲弊しているのに「大丈夫」と言う。反対に、いつもより過活動でテンションが高い(双極性障害の躁転のサイン) |
「なんとなく今日はいつもと違う」という職員の感覚は、有効な情報です。変化に気づいたら本人に直接確認する前に、まず担当者やサービス管理責任者に伝え、対応を相談します。
精神症状が出たときの対応は、否定も同調もしない関わりが基本
幻聴・妄想・過呼吸・フラッシュバックなどの症状が現れたときは、次の原則で対応します。
- 静かな場所に移動させる:他の利用者がいる作業場から離れ、落ち着ける場所(休憩室や個室)に移動する。急かさず、職員が横に付き添う
- 幻聴・妄想の内容を否定も肯定もしない:「そんな声は聞こえない」と否定すると不信感につながる。「そう聞こえているんですね」と受け止める言葉で返す。症状の内容に同調することもしない
- 刺激を減らす:大きな声・急な動き・周囲の人の視線が状態を悪化させることがある。職員は落ち着いたトーンで話し、人の出入りを最小限にする
- 本人のペースに合わせて話を聞く:「どうしたいですか」「今日は帰りますか、少し休んでから続けますか」など、選択肢を提示して本人が決める形にする。強引に引き止めない
- 主治医・家族への連絡:症状が30分以上続く・本人が帰宅を希望する・意識がもうろうとするなどの状態では、主治医または家族に連絡する。「いつもと違う状態が出ている、連絡した」という記録を残す
過呼吸が起きた場合は、紙袋を使って再呼吸させる方法は現在推奨されていません。静かな場所でゆっくりした呼吸を促し(「私の呼吸に合わせてゆっくり吐いてください」)、回復しない場合は119番通報を検討します。
作業場での精神障害支援として日常的に心がけること
研修では症状への対応だけでなく、日常の関わりとして次の点を確認します。
| 場面 | 心がけること |
|---|---|
| 作業の指示 | 一度に複数の指示を出さない。「①これをやって、②終わったら〇〇へ」と順番に伝える。指示を聞けたかどうかを表情ではなく確認の言葉(「やってみますか?」)で確かめる |
| 作業量と休憩 | 本人が「やれます」と言っても、疲弊サインが出ていれば休憩を促す。双極性障害の方は躁転しているときに無理をしやすいため、こちら側が調整する役割を持つ |
| 作業環境 | PTSD・不安障害の方がいる場合は、急な大きな音・不意に後ろから声をかける・密集した環境に配慮する。必要に応じて席の位置を工夫する |
| コミュニケーション | 「なぜ言わなかったの」「以前はできていたのに」などの責める言葉は症状の悪化につながる。変化を伝えるときは「最近疲れていそうだけど、何かありましたか?」のように状態を言葉にする |
精神疾患の特性理解は、指定基準第198条(就労継続支援B型の基本方針)が定める「利用者の障害特性に応じた適切なサービスの提供」の基本です。研修を通じて、全職員が同じ認識を持って日常の支援に当たれる状態をつくります。
研修で確認する3つのこと
精神障害支援研修では次の3点を確認します。
- 担当利用者の疾患と、作業場で現れやすいサインを全員で共有する:個別ファイルに記載された疾患名と「いつもと違う状態」を担当職員が口頭で共有する。新しい利用者が来たときも同様に確認する
- 症状が出たときの対応手順を確認する:「静かな場所に移動→否定も同調もしない→回復しなければ主治医へ連絡」の流れを全員で読み合わせる
- 作業指示・休憩の声かけに問題がないか振り返る:「一度に複数の指示を出していないか」「本人が疲れていそうなのに作業を続けさせていないか」を直近の支援で確認する
まとめ
就労継続支援B型の精神障害支援研修では、統合失調症・うつ病・双極性障害・PTSDの4つの疾患が作業場でどのように現れるかを職員全員で確認します。調子が悪いサインは「いつもとの違い」で見つけ、症状が出たときは否定も同調もせず静かな場所に移動させ、回復しなければ主治医に連絡します。日常の関わりでは、一度に複数の指示を出さない・疲弊サインに職員側が気づいて休憩を促す・急な刺激への配慮が基本です。指定基準第198条の「障害特性に応じた支援」を実践するための研修として、年1回以上行います。
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出典:指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)第84条・第198条・第202条。作成日:2026年10月。


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