就労継続支援B型の腰痛予防研修、農作業・梱包作業での正しい体の使い方。
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就労継続支援B型では、農作業・梱包作業・清掃などを行う事業所が多くあります。これらの作業は前傾姿勢・重量物の持ち運び・長時間の立位が組み合わさるため、利用者だけでなく職員にも腰痛が発生しやすい作業環境です。腰痛は一度発症すると長期化しやすく、作業への参加を困難にするリスクがあります。
この記事では、B型で起きやすい腰痛のリスク場面、厚生労働省「職場における腰痛予防対策指針」(平成25年6月改訂)をもとにした予防策、正しい体の使い方、腰痛が出た場合の対応を整理します。
腰痛が起きやすいB型の3つの作業場面
B型で腰痛リスクが高い場面は次のとおりです。
| 作業の種類 | 腰への負担の要因 |
|---|---|
| 農作業(草取り・収穫・苗の植え付けなど) | 前傾姿勢が長時間続く。地面に近い高さでの作業。不安定な地面での体重移動 |
| 梱包・軽作業(商品の箱詰め・テープ貼りなど) | テーブルの高さが体に合わない場合の前傾。同じ姿勢の繰り返し。物を持ち上げる動作 |
| 清掃・施設内の移動(モップがけ・運搬など) | 伸ばした状態での腰の回転。荷物を持ちながらの移動。荷物を床から持ち上げる動作 |
厚生労働省の「職場における腰痛予防対策指針」では、「腰部に著しい負担のかかる作業」として、重量物の取り扱い・前屈姿勢・ひねりを伴う動作・長時間の立位などが挙げられています。B型の日常作業の多くがこれに該当します。
腰痛予防のための4つの基本方針
腰痛予防対策指針では、予防策として「作業環境の改善」「作業方法の見直し」「作業者への教育」「健康診断・早期対応」の4点が示されています。B型に当てはめると次のように整理できます。
| 方針 | B型での具体策 |
|---|---|
| 作業環境の改善 | 作業台の高さを腰高(ひじから10〜15cm下)に調整する。農作業では座って作業できる低い台や専用椅子を用意する |
| 作業方法の見直し | 1回あたりの重量物の持ち上げ量に上限を設ける(対策指針では男性55kg・女性30kgが目安)。長時間の同一姿勢を避けるための休憩・姿勢の切り替えを義務化する |
| 作業者への教育 | 腰痛予防研修を年1回以上実施する。正しい持ち上げ方・姿勢の保ち方を全員で確認する |
| 健康管理・早期対応 | 「腰が重い・痛い」の申告を受け付ける仕組みをつくる。申告があった場合は作業内容を調整し、医療機関への受診を勧める |
床から物を持ち上げるときの正しい体の使い方
腰への最大の負担は「床や低い場所から物を持ち上げる動作」です。この動作の正しい方法を研修で全員が確認します。
- 物に近づいてから持ち上げる:物から離れた状態で持ち上げると腰にかかる力が増大する。物の正面に立ち、できるだけ体に近い位置で持ち上げる
- 腰を曲げずに膝を使う(スクワット持ち):背中をまっすぐに保ったまま膝を曲げてしゃがみ、脚の力で立ち上がる。腰だけを曲げて持ち上げる「前屈持ち」は椎間板に大きな圧力をかけるため避ける
- 体をひねりながら持ち上げない:持ち上げながら体を回転させる動作は腰に強い負担をかける。物の位置を確認してから向き直り、足の向きを変えてから持ち上げる
- 高い位置に置くときは段階的に:床から高い棚に一気に持ち上げない。腰の高さに置いてから持ち直し、再度持ち上げる
前傾姿勢が続く農作業での工夫
農作業では地面に近い高さでの作業が続くため、前傾姿勢の連続による腰への負担が特に大きくなります。
- 姿勢を切り替える:30分に1回程度、立ち上がって腰を伸ばす時間を設ける。ストレッチ(前屈後に後ろに反る動作・体側を伸ばす動作)を作業の合間に行う
- 低い椅子・農業用の作業椅子を使う:地面に近い高さでの草取り・収穫作業では、座面が低い椅子を使うことで前傾の度合いを減らせる場合がある
- 利用者の体格に合った作業区画を設ける:身長・体の状態によって無理のない姿勢が異なる。作業範囲や割り当てる作業の高さを個別に調整する
腰痛を申告された場合の対応
利用者や職員が「腰が痛い」と申告した場合は、次の手順で対応します。
- 作業を一時中断させる:痛みを我慢しながら続けさせない
- 痛みの程度と部位を確認する:「どこが・いつから・どんな痛み(鈍痛か鋭い痛みか)か」を確認する
- 安静か作業内容の変更を判断する:軽度であれば座位での作業など負担の少ない作業に変更する。強い痛み・しびれ・脚の痛みを伴う場合は休息させ、医療機関への受診を勧める
- 記録に残す:申告の日時・状況・対応内容を記録する。同様の申告が続く場合は作業環境の改善を検討する
腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの基礎疾患を持つ利用者の場合は、契約時のアセスメントで把握し、作業内容に配慮します。
研修で確認する3つのこと
腰痛予防研修では次の3点を確認します。
- 正しい持ち上げ方の実演:実際に物を持って「膝を曲げてまっすぐ立ち上がる」動作を全員で確認する。言葉だけでなく体で覚えることが定着につながる
- 事業所の作業環境の確認:作業台の高さ・農作業の姿勢・重量物の重さが適切か、職員が実際に確認する
- 腰痛申告の受け付け方の確認:「痛いと言いやすい雰囲気をつくること」「申告があったら何をするか」を全員で共有する
まとめ
就労継続支援B型の腰痛予防研修は、農作業・梱包・清掃など前傾姿勢や重量物の取り扱いが多い作業のリスクを職員全員で確認するために行います。厚生労働省「職場における腰痛予防対策指針」(平成25年改訂)をもとに、作業環境の整備・正しい体の使い方・休憩の確保・申告を受け付ける仕組みの4点を研修の柱にします。腰痛の申告があった場合は我慢させず、作業内容の変更と必要に応じた医療機関への受診を勧めます。
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出典:指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)第202条。厚生労働省「職場における腰痛予防対策指針」(平成25年6月改訂)。作成日:2026年10月。


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