キッチンカーの確定申告と経費。計上できる費目と注意点。

キッチンカーで個人事業として開業した場合、毎年2月16日〜3月15日に確定申告が必要です。開業費・車両費・食材費・出店料など、キッチンカーの事業に直接関係する費用は経費として計上できます。ただし「何が経費になるか」の判断は費用の性質によって異なり、プライベートとの按分が必要なものもあります。この記事では、キッチンカーの確定申告で計上できる主な経費と、よくある注意点を解説します。

個人事業主の確定申告の基本

キッチンカーを個人事業として運営する場合、1年間(1月1日〜12月31日)の「事業所得」を計算して税務署に申告します。事業所得は次の計算式で求めます。

  • 事業所得 = 売上高 − 売上原価(仕入れ) − 経費

この事業所得が「課税対象の所得」のベースになります(他の控除を適用した後に税率を掛けます)。

確定申告には青色申告と白色申告の2種類があります。青色申告(65万円控除)は事前に「青色申告承認申請書」を提出し、複式簿記で記帳する必要がありますが、控除額が大きいため節税効果が高いです。開業時に税務署への届出と同時に申請しておくことを強くお勧めします。

キッチンカーで経費になる主な費目

キッチンカーの事業に直接関係する費用は経費として計上できます。

キッチンカーの主な経費一覧
費目 勘定科目(例) 注意点
食材費・仕入れ代 仕入高(売上原価) 棚卸し(期末在庫)を差し引く必要あり
出店料・場所代 地代家賃または外注費 領収書・契約書を保管する
車両の燃料費(ガソリン代) 車両費または旅費交通費 事業利用分のみ。プライベート利用がある場合は按分
車両の修理・車検費用 修繕費または車両費 事業利用分のみ
車両保険(自賠責・任意) 損害保険料 事業利用分のみ
消耗品(包装資材・割り箸・使い捨て容器) 消耗品費 事業用のものに限る
駐車場代(業務用の車庫・駐車スペース) 地代家賃 自宅の駐車場を使う場合は事業利用割合で按分
通信費(スマートフォン・インターネット) 通信費 プライベートと共用の場合は按分(例:業務利用50%)
広告費(SNS広告・チラシ印刷) 広告宣伝費 事業の宣伝目的のもの
食品衛生責任者の講習費・許可手数料 開業費または諸経費 開業前の費用は「開業費」として繰延資産にできる
借入の利息(元本返済は経費にならない) 支払利息 元本の返済分は経費にならない点に注意

車両費の減価償却

キッチンカーの車両(改造費を含む)は、購入時に全額を経費にできるわけではありません。「減価償却」として、耐用年数(法定耐用年数)にわたって分割して経費に計上します(国税庁タックスアンサー No.5404「中古資産の耐用年数」等参照)。

法定耐用年数は車両の種類によって異なります。

車両の法定耐用年数の例(参考)
車両の種類 法定耐用年数
普通自動車(ハイエース等) 6年
軽自動車 4年
貨物自動車(トラック) 5年

中古車の場合は「中古資産の耐用年数」の計算式を使います(法定耐用年数の一部が経過している場合:残存耐用年数 = 法定耐用年数 − 経過年数 + 経過年数 × 20%)。計算が複雑なため、税理士に確認することをお勧めします。

開業費の取り扱い

開業前にかかった費用(食品衛生責任者の講習費・保健所への申請手数料・初期の仕込み費用・名刺・チラシ等)は「開業費」として繰延資産に計上し、任意の期間(最長5年)で償却して経費に計上できます(法人税法・所得税法の開業費の扱い)。開業費は任意で全額を初年度に経費にすることも可能です。

プライベートと事業の按分が必要なもの

車両・スマートフォン・インターネットなど、事業とプライベートの両方で使うものは、事業利用割合を合理的な根拠で計算して、その割合分のみを経費にします。

按分が必要な費用と根拠の例
費目 按分の根拠の例
燃料費(車両) 走行距離の記録(事業用走行距離÷総走行距離)
通信費(スマートフォン) 使用時間・件数の割合(例:業務利用60%)
自動車保険 車両を事業専用にしている場合は全額。プライベートと共用なら按分

按分の根拠は記録として残しておくことが重要です。税務調査が入った際に「なぜこの割合か」を説明できる状態にしておきます。

消費税の扱い

開業初年度・前々年度の課税売上高が1,000万円以下の場合は消費税の免税事業者になります(消費税法第9条)。免税事業者の期間は消費税の申告・納付は不要です。ただし2023年10月から始まったインボイス制度(適格請求書等保存方式)への対応が必要になる場面もあります(取引先がインボイスを求める場合)。詳細は国税庁のウェブサイトまたは税理士に確認してください。

記帳と記録の保管

確定申告に必要な記帳は、発生するたびに記録するのが基本です。帳簿・領収書は原則として7年間の保存が必要です(所得税法第232条・青色申告の場合)。

記帳ツールとしては「freee会計」「マネーフォワードクラウド会計」「弥生会計」などが個人事業主向けに利用されています。スマートフォンで領収書を撮影して記録できる機能を持つものもあります。

収支の計算を事前にシミュレーションする

月次の売上・経費・利益を整理したい場合は、キッチンカー開業 収支シミュレーターで月次の収支を計算できます。確定申告の計算はシミュレーターと別の作業ですが、月次の数字を把握しておくことが帳簿付けの基礎になります。


この記事は確定申告・経費処理の一般的な解説であり、個別の税務アドバイスではありません。実際の経費の計上・申告については、税務署または税理士に確認することをお勧めします。国税庁タックスアンサー(nta.go.jp)で個人事業主の確定申告に関する情報を確認できます。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

ご質問はメールで。電話・面談はしていません。

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