放課後等デイサービスの個人情報保護研修、写真・動画・連絡帳の管理と秘密保持義務の範囲。

放課後等デイサービスの個人情報保護研修、写真・動画・連絡帳の管理と秘密保持義務の範囲。 福祉事業の開業と運営





放課後等デイサービスの個人情報保護研修、写真・動画・連絡帳の管理と秘密保持義務の範囲。

放課後等デイサービスの個人情報保護研修、写真・動画・連絡帳の管理と秘密保持義務の範囲。

放課後等デイサービス(放デイ)の運営では、利用者のお子さんと保護者に関する多くの個人情報を扱います。支援記録・連絡帳・個別支援計画・送迎表はもちろん、活動の記録として撮影する写真・動画も個人情報の一種です。

放デイの事業者には、個人情報保護法の義務に加えて、基準上の秘密保持義務があります。これは職員が業務を通じて知り得た利用者・家族の情報を、正当な理由なく第三者に漏らしてはならないという義務です。退職後も続きます。

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放デイで扱う個人情報の種類

放デイで日常的に発生する個人情報を整理します。「こんなものも個人情報だったのか」という気づきが研修の出発点になります。

放デイで扱う主な個人情報の種類
種類 具体例 注意が必要な場面
基本情報 氏名・住所・生年月日・学校名・学年・障害種別・手帳の種類 書類の保管・処分・持ち出し
支援に関する情報 個別支援計画・支援記録・相談記録・ヒヤリハット 別の利用者・保護者に見せる・メールの誤送信
連絡帳・保護者との記録 連絡帳の内容・電話・面談の記録 紛失・他の保護者が見える場所に置く
写真・動画 活動中の撮影・送迎時の記録 SNSへの投稿・職員個人のスマホでの管理
送迎情報 自宅住所・送迎ルート・乗降場所 車内の書類の置き忘れ・ナビへの保存

写真・動画の管理は特に注意が必要

活動の記録や連絡帳への添付を目的とした写真・動画の撮影は、放デイでは日常的に行われます。しかしこの場面でのルール違反が、深刻な情報漏えいにつながることがあります。

特に問題になりやすいのは次のケースです。

  • 職員個人のスマホで撮影する:事業所のルールがない場合、職員が個人のスマホで撮影し、その画像が個人のクラウド・SNSに同期・投稿されるリスクがある
  • 活動報告のSNS投稿:「顔が写っていないから大丈夫」では不十分。制服・学年・障害の特徴・場所が分かる情報が写り込んでいると個人が特定される場合がある
  • 保護者への写真の送付:LINEやメッセンジャーでの写真送付は、画像の転送・スクリーンショットを止めることができない

写真・動画の管理ルールとして事業所で定めるべき事項の例は次のとおりです。

  • 撮影は事業所指定の端末(タブレット・デジカメ等)を使用し、職員個人の端末での撮影は原則禁止
  • 撮影した画像は事業所の管理サーバー・クラウドのみに保存し、個人端末への転送を禁止
  • 活動報告の外部発信(SNS・ブログ)は個人を特定できる情報を含まないよう保護者に確認を取るか、顔・名前・特徴が分からない形に加工してから行う
  • 連絡帳・アプリで写真を送付する場合、送付先・画像の取り扱いについて保護者の同意を確認する

秘密保持義務の範囲

放デイの基準では、職員が業務を通じて知り得た利用者・家族の情報を、正当な理由なく第三者に漏らしてはならないとされています。この義務は次の点を研修で確認します。

  • 退職後も続く:職員として働いている間だけでなく、退職後も秘密保持義務は継続する
  • 「第三者」の範囲:家族・友人に話すことも「正当な理由なく漏らす」行為に当たる。「愚痴」として話す内容も、利用者・家族が特定できる情報であれば対象
  • SNS・口頭の区別なし:SNSへの投稿も、居酒屋での会話も、情報漏えいの方法として区別はない

情報漏えいが起きた場合の対応

万が一、個人情報の漏えい・紛失・不正アクセスが起きた場合は、次の手順で対応します。

  1. 管理者への即時報告:発生を知った職員はすぐに管理者に報告する
  2. 被害の拡大防止:漏えいした情報の範囲・経路を特定し、拡散を止められる手段を取る
  3. 本人(保護者)への報告:漏えいの事実と対応状況を速やかに伝える
  4. 行政への報告:漏えいの規模・内容によっては、個人情報保護委員会・指定権者への報告が必要になる
  5. 再発防止策の検討・記録:なぜ起きたか・どうすれば防げたかを記録し、手順・ルールを見直す

「書類を電車の中に忘れた」「個人のスマホをなくした」といった軽微に見えるケースでも、利用者の個人情報が含まれる場合は漏えいとして扱います。

研修の実施と記録

個人情報保護研修は、体制整備の一環として定期的な実施が求められています。写真・動画の管理ルール・SNSへの投稿禁止などの具体的な事例を盛り込むことで、「自分ごと」として理解しやすくなります。

新しく採用した職員には採用時に実施します。特に「退職後も秘密保持義務は続く」という点は、退職時の確認書(誓約書等)とセットで伝えることが一般的です。

研修記録には、実施日・参加者・テーマ・使用資料を残します。

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▶ 法定研修・訓練キット(放デイ・児発版)

放デイの法定研修義務の全体像については、放課後等デイサービスの研修は、何が義務で、年に何回かも参照してください。

毎年の研修テーマの準備や、研修資料・記録様式をひとまとめにした法定研修・訓練キット(放デイ・児発版)もあります。

(出典:指定通所支援及び基準該当通所支援に係る事業等の人員、設備及び運営に関する基準(令和5年こども家庭庁令第3号)・個人情報の保護に関する法律)


この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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