居宅介護支援事業所の管理者には、原則として主任介護支援専門員(主任ケアマネ)であることが求められます。2018年4月の制度改正でこの要件が義務化されており、現在は管理者として事業所を運営するためには主任ケアマネの資格が必要です。
この記事では、主任介護支援専門員になるための研修の受講資格と研修内容、管理者要件との関係、そして経過措置の取り扱いについて整理します。
すぐにご利用されたい方は、こちらからどうぞ。→ 居宅介護支援事業所(ケアマネ事務所)の開業 収支シミュレーター
管理者に主任ケアマネが必要になった経緯
居宅介護支援事業所の管理者に主任介護支援専門員が必要になったのは、2018年4月(平成30年4月)の指定基準の改正からです。
改正前は、管理者要件として「介護支援専門員証を保有していること」が求められていましたが、主任ケアマネである必要はありませんでした。2018年の改正により、「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」(平成11年厚生省令第38号)第3条第2項が改正され、管理者は「専ら当該事業所の職務に従事する主任介護支援専門員でなければならない」と定められました。
ただし、この改正の施行時には経過措置が設けられており、「令和9年3月31日までの間は、主任介護支援専門員でない者でも管理者になることができる」とされていました。経過措置の扱いについては後述します。
主任介護支援専門員になるための研修
主任介護支援専門員の資格を取得するためには、「主任介護支援専門員研修」を受講・修了する必要があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 根拠規定 | 介護保険法施行規則第140条の51 |
| 研修時間 | 70時間以上(厚生労働省告示によるカリキュラムに基づく) |
| 主催 | 都道府県(または都道府県から委託を受けた団体) |
| 受講後の資格 | 主任介護支援専門員(有効期間5年・更新研修が必要) |
主任介護支援専門員研修の受講資格
主任研修を受講するためには、一定の受講要件を満たす必要があります。一般的な受講資格の目安は次のとおりです。
- 介護支援専門員証を保有していること
- 介護支援専門員として5年以上の実務経験があること(実務経験の年数の計算方法は都道府県によって異なる場合がある)
- 現在も介護支援専門員として従事していること
受講要件の詳細は都道府県ごとに若干の違いがあります。「実務経験が必要な5年」の計算の起点や、複数の事業所での経験をどのように合算するかなども、都道府県の実施要綱に従います。受講を検討する際は、受講予定の都道府県の案内を確認することが必要です。
研修で学ぶ内容
主任研修は70時間以上の研修であり、内容は厚生労働省の告示によるカリキュラムに基づいています。主な学習内容として、以下が含まれるとされています。
- ケアマネジメントの専門性と倫理
- 地域における相談支援体制の構築
- 地域包括ケアシステムの実践
- 多職種協働・連携の実践
- ケアマネジャーへのスーパービジョン(OJT、指導・育成の手法)
- 地域ケア会議への参加と活用
主任ケアマネには、自身がケアプランを作成するだけでなく、チームの介護支援専門員を指導・育成するスーパービジョンの役割も期待されています。この研修はその実践力を養うことを目的としています。
管理者要件と経過措置の関係
2018年の改正で「管理者は主任ケアマネでなければならない」とされましたが、施行時には経過措置が設けられていました。
経過措置の内容(参考:「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準の一部を改正する省令」附則)としては、改正施行日の時点で管理者として従事していた主任ケアマネ以外の者については、令和9年3月31日までの間は引き続き管理者になることができるとされていました。
| 状況 | 取り扱い |
|---|---|
| 2018年4月以降に新たに管理者になる場合 | 原則として主任ケアマネであることが必要 |
| 2018年3月31日時点で管理者だった者(主任ケアマネではない) | 令和9年3月31日までは経過措置の対象とされていた |
| 令和9年4月1日以降 | 経過措置が終了し、すべての管理者に主任ケアマネ要件が適用される |
現在(2026年10月時点)は、経過措置の終了期限(令和9年3月31日)が近づいています。経過措置の対象であった管理者は、この期限までに主任研修を修了して主任ケアマネの資格を取得しておく必要があります。
これからケアマネ事務所を開業する場合の考え方
これから新たにケアマネ事務所を開業しようとしている方が管理者になる場合、主任ケアマネの資格が必要です。経過措置の対象となるのは2018年3月31日以前から管理者として従事していた者に限られるため、新規開業の場合は原則として主任ケアマネの資格を持っていることが前提になります。
ただし、自分が管理者にならず、主任ケアマネの資格を持つ別の人を管理者として置くことで事業所を設立することも可能です。この場合、法人の代表者と事業所の管理者は別の人物でも構いません。
主任ケアマネでない場合の選択肢
主任ケアマネの資格がない状態で事業所の管理者として開業したい場合、次のような選択肢が考えられます。
- 主任研修を受講して資格を取得してから開業する
- 主任ケアマネの資格を持つ別の人を管理者に迎える
- 訪問介護など他のサービスを先に立ち上げ、その間に主任研修の受講を進める
主任研修は年に数回の開催で、受講から修了まで数か月かかります。開業のスケジュールと研修のスケジュールを早めに照らし合わせて計画を立てることが重要です。
主任ケアマネの更新研修も5年ごとに必要
主任介護支援専門員の資格(専門員証)も5年ごとの更新が必要です。更新のためには「主任介護支援専門員更新研修」(38時間以上)を受講する必要があります。
主任ケアマネが管理者をしている場合、主任ケアマネの専門員証が失効すると管理者要件を満たせなくなります。管理者として事業所を運営している間は、主任ケアマネの専門員証の有効期限管理が事業所運営の継続に直接影響します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 研修名 | 主任介護支援専門員更新研修 |
| 研修時間 | 38時間以上 |
| 有効期間 | 修了後に交付される専門員証の有効期間は5年 |
| 失効した場合 | 主任ケアマネとしての資格を失い、一般の介護支援専門員に戻る。管理者要件を満たせなくなる可能性がある |
まとめ
居宅介護支援事業所の管理者は、原則として主任介護支援専門員でなければなりません。主任ケアマネになるためには都道府県が主催する「主任介護支援専門員研修」(70時間以上)を受講し、介護支援専門員としての5年以上の実務経験要件を満たす必要があります。
2018年以前からの経過措置は令和9年3月31日に終了するため、まだ主任研修を受けていない管理者はこの期限までに対応が必要です。主任ケアマネの専門員証も5年更新であるため、開業後も有効期限の管理を継続する必要があります。
出典:介護保険法施行規則第140条の51、指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第38号)第3条第2項、指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準の一部を改正する省令(平成29年厚生労働省令第109号)附則
開業後の収支の見込みをご自身で確認されたい方は、シミュレーターをご利用ください。→ 居宅介護支援事業所(ケアマネ事務所)の開業 収支シミュレーター


コメント