整体院の損益分岐点はどこか。固定費と変動費率から計算する。

整体院の損益分岐点はどこか。固定費と変動費率から計算する。 整体院の開業

整体院の損益分岐点とは、「収支がトントンになる月売上」のことです。損益分岐点を超えた売上から初めて利益が出ます。この水準を把握しておくと、「何件施術すれば赤字にならないか」が明確になります。

作成:fufumumu_design(ふふ)/作成日:2026年10月20日/数字の出典は各表の下に記載しています。

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損益分岐点の計算式

損益分岐点は、固定費と変動費を使って計算します。

整体院の費用は次のように分類できます。

費用の種類 内容 整体院の主な例
固定費 売上に関わらず毎月かかる費用 家賃・リース料・保険料・スタッフの基本給
変動費 売上に応じて増減する費用 タオル・消耗品・広告費(成果報酬型)・業務委託費

損益分岐点の計算式は次のとおりです。

損益分岐点売上 = 固定費 ÷ (1 – 変動費率)

整体院は変動費が少ない業種です。主な変動費はタオルのクリーニング代・消耗品ですが、売上に対する割合は小さくなります。このため変動費率は10〜20%程度になることが多く、残りの80〜90%が貢献利益(固定費の回収に充てられる分)になります。

計算例(固定費30万円・変動費率15%の場合)

固定費が30万円、変動費率が15%の整体院の損益分岐点売上を計算します。

損益分岐点売上 = 30万円 ÷ (1 – 0.15)= 30万円 ÷ 0.85 = 約35.3万円

この院は月売上が35.3万円を超えれば黒字、下回ると赤字になります。単価7,000円であれば35.3万円÷7,000円≒50.4件、月22日営業であれば1日あたり約2.3件こなせば損益分岐点をクリアできます。

固定費が高いと損益分岐点は上がる

スタッフを雇用すると人件費(固定費)が増えます。固定費が上がると損益分岐点も上がり、黒字に転じるために必要な売上が増えます。

固定費の水準 変動費率 損益分岐点売上 単価7,000円での必要件数/月
20万円(1人経営・家賃低め) 15% 約23.5万円 約34件
30万円(1人経営・標準) 15% 約35.3万円 約51件
50万円(スタッフ1人) 15% 約58.8万円 約84件
80万円(スタッフ2人) 15% 約94.1万円 約135件

※変動費率15%は目安です。実際の費用構造に応じて計算してください。

スタッフ2人を雇い固定費が80万円になると、月に135件(1日約6件、月22日)の施術が必要になります。これは3つのベッドを複数人で回す規模の院が目安になります。

損益分岐点比率でエステ系の全国データと比べる

損益分岐点比率は「損益分岐点売上 ÷ 実際の売上 × 100」で計算します。この比率が100%なら収支トントン、100%を下回れば利益が出ている状態です。

日本政策金融公庫総合研究所「小企業の経営指標調査」(2025年度・エステティック業n=105)のデータは次のとおりです。

区分 損益分岐点比率
全体平均 113.8%
黒字企業の平均 98.2%
中央値 100.1%

出典:日本政策金融公庫総合研究所「小企業の経営指標調査」2025年度・エステティック業(サービス業 業種別)n=105、n(黒字)=47。調査対象は従業員20名以下の法人または個人企業。

全体平均が113.8%という意味は、平均的な事業者は売上の113.8%分の費用がかかっていることを示します。売上100万円のうち113.8万円の経費がかかっている計算で、平均的には赤字です。

一方、黒字企業に絞ると98.2%です。売上に対して98.2%の費用で、1.8%の利益(経常利益)が出ています。中央値(全体の真ん中)は100.1%でほぼ収支トントンです。

「中央値100%」の意味

損益分岐点比率の中央値が100.1%であることは、調査対象のエステティック業の事業者のうち、ちょうど半分は損益分岐点比率が100%を下回っている(黒字)ことを示します。もう半分は100%を超えており(赤字または収支トントン)、事業者間の格差が大きいことがわかります。

全体の平均が113.8%になっているのは、損益分岐点比率が極端に高い(大きく赤字の)事業者が存在し、平均値を引き上げているためです。

損益分岐点を下げる方法

損益分岐点を低く抑えるには、固定費を削るか、変動費率を下げるかです。

整体院で実践しやすい固定費の削減策を示します。

固定費の種類 削減の考え方
家賃 立地を1階より2階以上に下げる・地方の割安な物件を選ぶ
スタッフ人件費 最初は1人経営で立ち上げ・稼働率が安定してから採用する
広告費 固定費化した広告(月額制のポータルサイト等)を効果で見直す

開業当初は、固定費をできるだけ小さく保つことが安定経営の鍵になります。売上が増えてきてから固定費を積み上げていく順序が、リスクを低く保てます。

自分の院の損益分岐点を試算するには

自分の院の固定費・変動費率・単価を入力して、損益分岐点と必要件数を確認するには収支シミュレーターが役立ちます。開業後3年間の収支グラフも確認できます。

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この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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