整体院の収益性、全国の数字で確認する。

eyecatch seitaiin mokaru 整体院の開業

整体院の開業 収支シミュレーター
自分の数字で3年分の収支を試算できます。

整体院を開業する前に、「本当に収益を出せるのか」という疑問は当然出てきます。日本政策金融公庫が毎年公表している「小企業の経営指標調査」には、整体院に近いカテゴリーの数字が含まれています。このページでは、そのデータをもとに整体院の収益性を確認します。

整体院の収益性、一言で言うと「黒字は出るが、水準は低い」

結論を先に述べます。整体院(エステティック業に近い構造)の収益性は、業界全体の平均では赤字です。しかし黒字企業に限定すると、営業利益率4.5%・損益分岐点比率98.2%という数字が見えてきます。事業が成立するかどうかは、固定費と集客の安定性にかかっています。

全国の営業利益率

日本政策金融公庫総合研究所「小企業の経営指標調査」(2025年度調査)エステティック業(n=105)のデータを確認します。

指標 全体平均 黒字企業平均(n=47) 中央値
売上高総利益率 83.0% 85.3% 86.0%
売上高営業利益率 −6.9% 4.5% 0.6%
売上高経常利益率 −4.6% 4.9% 0.9%
損益分岐点比率 113.8% 98.2% 100.1%
人件費対売上高比率 38.0% 31.3% 36.9%
諸経費対売上高比率 44.5% 44.5% 40.7%
従業者1人当たり売上高(千円) 10,154 11,656 8,227
従業者1人当たり人件費(千円) 2,854 2,665 2,733

出典:日本政策金融公庫総合研究所「小企業の経営指標調査」(2025年度調査)エステティック業(p.39、n=105)

黒字企業と赤字企業の違いはどこにあるか

データを見ると、黒字企業と全体平均では次の違いが目立ちます。

  1. 人件費比率が低い:黒字企業の人件費対売上高比率は31.3%で、全体平均の38.0%より約6.7ポイント低くなっています。1人運営であれば自分自身の「人件費」は事業利益から捻出する形になるため、スタッフを抱えないことが人件費比率を下げる最も直接的な方法です。
  2. 損益分岐点比率が低い:黒字企業は売上の98.2%で費用を賄っているのに対し、全体平均は113.8%です。この差は主に固定費(家賃・広告費)の水準と、安定した予約件数の確保によって生じています。
  3. 1人当たり売上高が高い:黒字企業の従業者1人当たり売上高は年11,656千円(約1,166万円)で、全体中央値の8,227千円より約42%高くなっています。施術単価・件数・稼働率がすべて高く維持されていることが、この差につながっています。

1人当たり売上高の全国平均を読む

整体院の収益性を考えるとき、「従業者1人当たり売上高」という指標が参考になります。

全体中央値8,227千円(約823万円/年)を12か月で割ると、月約685,000円になります。これが全国の同業種の「半数の事業者が達成している水準」です。

月68万円を60分コース6,000円で実現するには、1日約5件・月22日稼働で稼働率が約100%必要です。実際には稼働率が100%になることは少ないため、もう少し高い単価または長時間稼働が必要なことがわかります。

人件費比率が低いと収益性が高くなる理由

整体院の費用構造では、人件費が最大のコスト項目です(売上の38%が平均)。1人運営の場合、施術者本人への報酬は「事業所得」として処理されるため、帳簿上の人件費は発生しません。これが1人運営の収益性が見かけ上高くなる理由のひとつです。

スタッフを採用すると人件費として月15万〜30万円が加わり、損益分岐点が大幅に上昇します。スタッフを増やすことで売上の上限は上がりますが、損益分岐点も上がるため、採用前後の収支を比較した計画が必要です。

売上高総利益率83%の意味

売上高総利益率83.0%(中央値86.0%)という数字は、整体院の収益構造の特徴を示しています。整体院は仕入れコストがほぼゼロのため、売上のほぼ全額が粗利になります。これは製造業(粗利率20〜40%)や飲食業(粗利率50〜60%)と比較しても高い水準です。

ただし、粗利率が高くても営業利益率がマイナスになるのは、販売管理費(家賃・人件費・広告費)が大きいためです。売上高営業利益率の中央値は0.6%と、ほぼ利益なしの状態です。

整体院で収益を出すために必要なこと

全国のデータから見えてくる、収益化の条件をまとめます。

  • 固定費を抑えて損益分岐点を下げる:特に家賃と人件費。自宅開業や居抜き物件・1人運営は損益分岐点を下げる有効な手段
  • 安定した予約件数を維持する:全体中央値は月68万円程度。これを安定して超えることが黒字維持の前提
  • リピート率を高める:新規客の獲得コストは既存客を維持するより高い。回数券・定期来院・口コミの仕組みが重要
  • スタッフ採用のタイミングを見極める:1人の売上が安定してから採用を検討する。売上の見込みが不安定な段階での採用は損益分岐点を大幅に引き上げるリスクがある

整体院の開業 収支シミュレーター
収益性のシミュレーションを自分の数字で試算できます。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

ご質問はメールで。電話・面談はしていません。

fufumumu_designをフォローする
整体院の開業
fufumumu_designをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました