▶ 通所介護(デイサービス)法定研修・訓練キット
デイサービスでのハラスメントは「誰から」が問われる
介護現場のハラスメントには大きく2つの方向があります。「職員間のハラスメント」と「利用者・家族等から職員へのハラスメント」です。通所介護(デイサービス)では、後者が現場で問題になるケースが少なくありません。
送迎中の車内・デイルームでのケア中・電話対応で、暴言・暴力・不当な要求を受ける職員がいます。こうした行為に対して、事業者として対応方針を明確にし、職員が一人で抱え込まない体制を作ることが義務化されています。
ハラスメント防止義務の根拠(令和3年4月施行)
通所介護事業者は、ハラスメントの防止に向けた方針の明確化と体制整備が義務付けられています。根拠条文は「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)」第101条の2です。
この条文は令和3年(2021年)4月施行の改定で追加されました。施設の規模を問わず、すべての通所介護事業者に適用されます。
義務の内容は次の2点です。
- 方針の明確化:利用者・家族等からのハラスメントに対する事業者としての方針を定め、職員に周知する。
- 体制整備:相談窓口の設置・事案が起きた場合の対処手順の明文化。
「利用者・家族から職員へ」の行為への対応方針をどう作るか
厚生労働省の「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」(令和4年3月改訂)では、身体的暴力・精神的暴力・セクシュアルハラスメントの3種類を対象として整理しています。
通所介護の現場では次のような場面が起きやすいです。
- 送迎中に運転者に対して大声・暴言
- 入浴介助や排泄介助の際に身体的な暴力
- 「もっと丁寧にしろ」「あの職員はよかったのに」といった繰り返す要求・比較
- 家族から電話で長時間にわたる苦情・威圧的な発言
方針書には「どこからが対処が必要な行為か」の基準を書いておくことで、職員が迷わず報告できるようになります。
研修で伝えること
- 自施設のハラスメント対応方針と対処手順
- 相談窓口の場所・担当者
- ハラスメントを受けたときの記録の残し方(日時・行為の内容・対応者)
- 一人で抱え込まない体制(上司・管理者への報告ルート)
- サービスの制限・退所の判断基準の目安
職員間のハラスメント(別の法律で義務)
職員間のパワーハラスメント対策は、労働施策総合推進法(第30条の2)で義務付けられています。セクシュアルハラスメント対策は男女雇用機会均等法(第11条)で義務付けられています。これらは通所介護の基準条文とは別の法律ですが、研修でセットで取り上げることが多いです。
記録と運営指導への備え
ハラスメント対策方針の明文化・周知・相談窓口の有無は、運営指導で確認されます。方針は就業規則の一部に含める、または単独の文書として整備しておくことが一般的です。研修を実施した場合は、実施記録(日時・内容・参加者)を保管してください。
まとめ:通所介護のハラスメント防止の要点
- 義務の根拠:第101条の2(令和3年4月施行)
- 義務の内容:方針の明確化と体制整備(相談窓口・対処手順)
- 対象:利用者・家族等からのハラスメント(通所介護特有の場面を含む)
- 職員間のハラスメントは別の法律で義務(パワハラ:労働施策総合推進法・セクハラ:均等法)
- 記録を残し、運営指導に備える
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