認知症グループホームのBCP、訓練は年1回以上・研修も年1回の根拠と確認事項。

認知症グループホームのBCP、訓練は年1回以上・研修も年1回の根拠と確認事項。 介護

認知症グループホームのBCP訓練は年1回以上、研修も年1回以上が義務です

認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム、以下GH)の業務継続計画(BCP)に関する研修は年1回以上、訓練も年1回以上の実施が義務です。根拠は「指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準」(厚生労働省令第34号)第108条(第3条の30の2の準用)です。

非常災害訓練(自然災害を想定した避難訓練)は年2回以上です。BCPの訓練と非常災害の訓練は別の義務であることに注意が必要です。

この記事では、BCPの研修・訓練の根拠条文・感染症BCPと自然災害BCPの内容の違い・訓練で確認すべき項目を解説します。

BCPの研修・訓練の根拠条文

第108条が準用する第3条の30の2に、業務継続計画の策定・研修・訓練の義務が定められています。

指定認知症対応型共同生活介護事業者は、感染症や非常災害の発生時において、利用者に対するサービスの提供を継続的に実施するための、及びサービスの提供が一時的に困難となった場合における対応のための計画(以下この条において「業務継続計画」という。)を策定し、当該業務継続計画に従い必要な措置を講じなければならない。

出典:指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(厚生労働省令第34号)第108条(第3条の30の2の準用)

同条には計画の策定に加え、従業者への周知・定期的な研修の実施・定期的な訓練の実施が義務として定められています。

BCPの研修・訓練と非常災害訓練の違い

認知症GHには、BCPに関する訓練と非常災害(避難訓練)は別の義務があります。

取り組み 頻度 根拠
BCP研修 年1回以上 第108条(第3条の30の2の準用)
BCP訓練 年1回以上 第108条(第3条の30の2の準用)
非常災害訓練(避難訓練) 年2回以上 第108条(第3条の26の準用)

非常災害訓練はBCP訓練より頻度が高く、年2回以上の実施が義務です。BCPの訓練(年1回以上)と非常災害訓練(年2回以上)は年間計画で整理しておくことで、それぞれの義務を満たしているかを確認しやすくなります。

感染症BCPと自然災害BCPの違い

BCPには感染症を想定したものと自然災害を想定したものの2種類があります。両方の作成が義務です。

比較項目 感染症BCP 自然災害BCP
主な想定リスク インフルエンザ・ノロウイルス・新型コロナウイルスなど 地震・水害・台風・土砂崩れなど
平時の準備 防護具の備蓄・職員の連絡体制・行政との情報共有体制の整備 ハザードマップの確認・避難先の選定・備蓄品の確保・協定先の確保
発生時の対応 感染者・濃厚接触者の隔離、代替要員の確保、業務縮小基準の発動 職員の安否確認、利用者の安全確保、サービス継続の判断基準
最低限継続するサービス 食事・水分補給・服薬・排泄の介助 食事・水分補給・服薬・排泄の介助・夜間の見守り
収束・復旧後の手順 業務の段階的な再開手順 施設の点検・記録の保全・行政への報告

厚生労働省「介護施設・事業所における自然災害発生時の業務継続ガイドライン」(令和2年12月)は、業務継続に向けた取り組みの具体的な方法を示しています。同ガイドラインはBCPの内容を整理・見直す際の参考になります。

BCP訓練で確認すること

BCP訓練の目的は「計画の手順が実際に機能するかを確認する」ことです。

業務継続に向けた計画の策定や取組みを義務付けるとともに、研修及び訓練を定期的に実施することを求めています。

出典:厚生労働省「介護施設・事業所における自然災害発生時の業務継続ガイドライン」(令和2年12月)

訓練の実施方法には次のようなものがあります。

連絡網の確認(伝達訓練)

感染症や災害発生時に、全職員への連絡が滞りなく届くかを確認します。連絡が届かなかった職員・連絡手段が機能しなかった経路を記録して改善します。

  • 管理者から主任、主任から各職員という連絡の流れが機能するか
  • 夜勤帯・早出帯など時間帯による連絡の遅れが生じないか
  • 個人の携帯電話に依存しすぎていないか(停電・スマホ紛失時の代替手段があるか)

BCPの内容の確認

BCPを全職員で読み合わせ、不明点・実施できない箇所がないかを確認します。

  • BCPの保管場所を全職員が知っているか
  • 感染症発生時の「業務を縮小する基準」が具体的に書かれているか(例:職員の何割が出勤できなければ最低限のサービスに切り替えるか)
  • 代替要員(応援依頼先・近隣事業所との協定)が実際に連絡できる状態か
  • 備蓄品(防護具・食料・医薬品)の数量と保管場所を確認する

最低限継続するサービスの確認

感染症や災害で職員が不足した場合に「最低限何のサービスを継続するか」をBCPに定めておき、訓練で実際に判断できるかを確認します。

  • 食事・水分補給の提供は継続する
  • 服薬管理は継続する
  • 排泄の介助は継続する
  • 夜間の見守りは継続する
  • 入浴・外出支援は一時停止を検討する

非常災害訓練(年2回以上)との組み合わせ方

BCP訓練(年1回以上)と非常災害訓練(年2回以上)を組み合わせて年3回の訓練を計画する方法が一般的です。

  • 前半の非常災害訓練:避難経路・避難先の確認・利用者の誘導手順(地震・水害想定)
  • BCP訓練(兼 後半の非常災害訓練):連絡網の確認・BCPの内容確認・備蓄品の棚卸し

BCP訓練と非常災害訓練を同日に連続して行い、記録は「BCP訓練」と「非常災害訓練(第2回)」として別々に作成する方法は実務上広く使われています。

BCP研修の記録に残す項目

BCP研修の実施記録は運営指導で確認されます。記録に残す項目の目安を示します。

項目 記載の内容
実施日 研修・訓練を行った年月日
実施内容 研修:BCPの内容の講義・確認テスト等 訓練:伝達訓練・連絡網確認・備蓄品確認など
受講・参加者 全員の氏名(または出席記録)
訓練の結果 確認できたこと・確認できなかったこと・課題・改善点
次回へのフィードバック BCPの修正点・次回訓練に向けた改善事項
記録者 記録を作成した職員名

「訓練の結果」と「次回へのフィードバック」が具体的に書いてあると、「形式的に行っただけでなく、実際に機能を確認していた」という証拠になります。運営指導での評価にも影響します。

よくある疑問

BCPはいつまでに策定しなければなりませんか

BCPの策定義務は令和3年度報酬改定で努力義務として導入され、令和6年度(2024年4月)から義務化されています。策定が済んでいない事業所は、運営指導で指導の対象になる可能性があります。

BCPは一度作れば更新しなくてもよいですか

定期的な見直しが求められます。訓練・研修の結果をふまえた改訂、職員体制・設備の変更があった場合の更新が必要です。見直しの時期と手順をBCPに明記しておくことが推奨されます。

感染症BCPと自然災害BCPは1つの文書にまとめてよいですか

法令に「感染症BCPと自然災害BCPは別文書でなければならない」という規定はありません。1つの文書にまとめ、「第1部:感染症BCP」「第2部:自然災害BCP」という構成にする方法も認められます。

まとめ:BCP研修・訓練は年1回以上、非常災害訓練は年2回以上です

認知症グループホームのBCPに関する義務をまとめます。

  • 根拠条文:「指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準」第108条(第3条の30の2の準用)
  • BCP研修:年1回以上
  • BCP訓練:年1回以上
  • 非常災害訓練(避難訓練):年2回以上(根拠:第3条の26の準用)
  • BCPの種類:感染症BCP・自然災害BCPの両方の策定が義務
  • 訓練の目的:計画の手順が実際に機能するかの確認

各テーマの研修資料・訓練記録・確認テストをまとめて使えるツールを用意しています。

認知症GH 法定研修・訓練キット(/ninchisho-gh/)

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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