地下タンク貯蔵所はタンクを地盤下に埋設して危険物を貯蔵する施設です(危険物令第13条)。ガソリンスタンドの地下に設置されているタンクが代表例です。試験ではタンクの埋設要件(タンク頂部の地盤面からの深さ)・漏えい検知の方法・二重殻タンクの構造要件が問われます。
地下タンクの埋設要件
地下タンク貯蔵所のタンクは次の基準を満たす位置に埋設しなければなりません(危険物令第13条第1項)。
- タンクの頂部は地盤面から0.6m以上の深さに設ける
- タンクは堅固な構造のタンク室に設置するか、またはタンク室を設けずに直接地盤下に埋設する(後者はコンクリート等で覆う必要あり)
「タンクの頂部は地盤面から0.6m以上」という数値が試験でよく問われます。0.6m以上と問われた場合、0.5mは基準を満たしません。
地下タンクの構造基準
地下タンクの構造は次の基準を満たす必要があります(危険物令第13条第1項)。
- タンクの板厚は3.2mm以上(鋼鉄製の場合)
- タンクは完成検査前に水圧試験(または気圧試験)を実施して漏えいがないことを確認する
- タンクの外面には腐食防止のための塗装または電気防食の措置を講じる
- タンク底部は重量を均等に支持できる地盤上に設ける
腐食防止の措置は外面腐食による漏えいを防ぐために重要です。地下タンクは土壌中に設置されるため、外面が土壌中の水分・電流・酸等によって腐食する危険があります。
漏えい検知の方法
地下タンクからの漏えいを検知するために、次の設備が義務付けられています(危険物令第13条第1項第7号・第8号)。
二重殻タンクの場合
二重殻タンクは内殻と外殻の二重構造になっています。内殻が損傷して危険物が漏えいした場合に、外殻との間の空間(インタースペース)に危険物が溜まります。この空間の圧力や液体を検知することで漏えいを早期に発見できます。
- インタースペースに液体検知管または圧力センサーを設ける
- 漏えい検知の有無を常時監視できる設備を設ける
単殻タンクの場合(タンク室に設置)
タンク室(コンクリート製の容器)の中にタンクを設置する場合は、タンク室とタンクの間に危険物が漏えいしていないかを確認する設備を設けます。
- タンク室と危険物との間の空間に液面検知管または漏えい検知管を設ける
漏えい点検の種類と頻度
地下タンク貯蔵所には通常の定期点検に加えて「漏えい点検」が義務付けられています(危険物令第62条の2)。漏えい点検の種類と頻度は次のとおりです。
| タンクの種別 | 完成検査後の経過年数 | 点検頻度 |
|---|---|---|
| 単殻タンク(通常の一重) | 完成検査から15年以上 | 1年に1回 |
| 単殻タンク(通常の一重) | 完成検査から15年未満 | 3年に1回 |
| 二重殻タンク | (経過年数にかかわらず) | 漏えい検知設備による常時監視 |
地下タンク貯蔵所の安全距離と保有空地
地下タンク貯蔵所には安全距離の規定はありません(危険物令第13条には安全距離の条項がない)。地下に埋設されているため、地上の施設のように周囲への距離を確保する必要がないためです。
保有空地についても、地下タンク貯蔵所には保有空地の規定はありません。これは地下に埋設された構造であることから、地上への延焼の起点となりにくいためです。
試験では「地下タンク貯蔵所に安全距離は必要か」「保有空地は必要か」という形で問われます。答えはどちらも不要です。
液位計・計量口の基準
地下タンクには次の設備の設置が定められています(危険物令第13条・危険物規則第24条等)。
- 計量口:タンク内の危険物の量を計量するための開口部。計量口には見やすい位置に「計量口」と表示する
- 液位計(ゲージ):タンク内の液位(液面の高さ)を確認するための計器。液位の確認は定期的に行う
- 通気管:タンク内の圧力と外気圧を均衡させるための管。先端は地上に出して先端に防火網を取り付ける
通気管の先端は火炎を防ぐための金属製の防火網(40メッシュ以上)が必要です。
試験でよく出る誤りのパターン
| 誤りの選択肢(例) | 正しい知識 |
|---|---|
| 「地下タンクの頂部は地盤面から0.5m以上の深さに設ける」 | タンクの頂部は地盤面から0.6m以上の深さに設けなければなりません |
| 「地下タンク貯蔵所には保有空地が必要」 | 地下タンク貯蔵所には安全距離・保有空地の規定はありません |
| 「地下タンクの板厚は2.5mm以上でよい」 | 地下タンクの板厚は3.2mm以上(鋼鉄製)が基準です |
| 「15年未満の地下タンクの漏えい点検は年1回」 | 完成検査から15年未満の単殻タンクの漏えい点検は3年に1回(15年以上が年1回)です |
| 「地下タンク貯蔵所は定期点検の対象外」 | 地下タンク貯蔵所は指定数量の倍数にかかわらず全施設が定期点検の対象です |
試験対策のポイント
地下タンクの問題で最も出やすいのは次の3点です。
第1にタンクの頂部は地盤面から0.6m以上の深さに設けること。0.5mや0.4mという誤りの選択肢が出ます。
第2に地下タンク貯蔵所には安全距離・保有空地の規定がないこと。
第3に地下タンク貯蔵所は定期点検(全施設)と漏えい点検の両方が義務付けられていること。漏えい点検の頻度は完成後15年経過で年1回、15年未満で3年に1回です。
地下タンク貯蔵所と他の施設との比較
地下タンク貯蔵所は「保安距離なし・保有空地なし・全施設が定期点検対象」という特徴から、他の貯蔵所と比較する問題がよく出ます。
屋内タンク貯蔵所と地下タンク貯蔵所の違い:屋内タンク貯蔵所は建物内にタンクを設置し、タンクと建物の壁の距離・タンク容量に制限があります。地下タンク貯蔵所はタンクを地中に埋設するため、地上への延焼危険が少なく保安距離・保有空地は不要です。
移動タンク貯蔵所と地下タンク貯蔵所の違い:移動タンク貯蔵所は走行できる車両に設置したタンクで、定置型ではありません。地下タンク貯蔵所は定置型で地中に固定されています。どちらも保安距離・保有空地は不要という共通点があります。
地下タンクの水圧試験
新設した地下タンクは完成検査前に水圧試験を実施します(危険物規則第15条)。水圧試験では次の基準を満たすことが必要です。
- 圧力タンク以外は最大常用圧力の1.5倍の圧力で10分間耐える
- 圧力タンクは最大常用圧力の1.5倍の圧力で10分間(または規定の圧力で規定の時間)耐える
水圧試験(または気圧試験)で漏えいがないことを確認してから完成検査を受けます。試験では「地下タンクは完成前に水圧試験をしなければならない」という点が問われます。
地下タンク貯蔵所の完成検査前検査
製造所等は完成後に消防機関の完成検査を受けて適合の通知を受けてから使用できます(消防法第11条第5項)。地下タンク貯蔵所は完成検査前に追加で「完成検査前検査」(水圧試験・基礎地盤の確認等)を受けることが義務付けられています。
地下タンク貯蔵所の完成検査前検査と完成検査
地下タンク貯蔵所は設置後に「完成検査」と「完成検査前検査」の2段階の検査が必要です(消防法第11条・危険物規則第15条)。
完成検査前検査:タンクを土中に埋設する前に実施します。水圧試験(タンクの漏えい確認)・基礎地盤の確認・タンクの材料・板厚の確認等を行います。検査に合格した後でないと、タンクを土中に埋設できません。
完成検査:タンクの設置・配管・計量設備等の全体が完成した後に実施します。消防機関が施設全体を検査し、基準に適合していることを確認します。完成検査で適合の通知を受けてから施設を使用できます。
地下タンクの二重殻タンクの特徴
二重殻タンクは内殻(内側のタンク)と外殻(外側のタンク)の二重構造で、内殻が損傷して危険物が漏えいしても外殻で食い止めることができます。内殻と外殻の間のインタースペースに液体検知装置を設けて漏えいを早期発見します。
二重殻タンクのメリット:単殻タンクと比べて漏えい時の土壌汚染リスクが低い・漏えいの早期発見が可能・長期的な安全性が高い。デメリット:コストが高い・設置スペースが大きくなる。
試験では「二重殻タンクは漏えい検知設備の常時監視が義務付けられている」という点が問われます。単殻タンクの3年に1回や1年に1回の点検とは異なる管理方法です。
地下タンクの通気管の設置基準
地下タンクには通気管の設置が義務付けられています(危険物規則第24条の2)。通気管はタンク内の気圧変動(危険物の出し入れによる気圧の変化)を吸収するための設備です。通気管の基準は次のとおりです。
- 通気管の先端は地上に出す(屋外に開放する)
- 先端には40メッシュ以上の金属製の防火網を取り付ける(炎の逆流防止)
- 通気管の内径は30mm以上とする
- 通気管の先端は地盤面から4m以上の高さに設ける(建物の開口部から1m以上離す等の条件あり)
「通気管の先端に防火網を付ける理由」が試験で問われます。答えは炎がタンク内に逆流することを防ぐためです。
地下タンク貯蔵所のまとめと試験対策
地下タンク貯蔵所のポイントを3つに絞ります。タンクの頂部は地盤面から0.6m以上。安全距離・保有空地は不要。全施設が定期点検対象(漏えい点検は15年経過で年1回・15年未満で3年1回)。これら3点を軸に問題を解くと、地下タンク関連の問題の大半に対応できます。板厚3.2mm以上・外面の腐食防止措置も確認してください。
地下タンク貯蔵所の試験問題では「タンクの頂部の深さ(0.6m以上)」「安全距離・保有空地が不要」「定期点検は全施設義務(漏えい点検は15年で周期が変わる)」「板厚3.2mm以上」という4点を組み合わせた正誤判定問題がよく出ます。誤りの選択肢では0.5mや0.4mという数値が使われます。
出典:危険物の規制に関する政令第13条・第62条の2・危険物の規制に関する規則第24条(地下タンク貯蔵所の位置・構造・設備の基準・漏えい点検)(総務省・消防庁)


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